日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD03] 地殻変動

2025年5月26日(月) 09:00 〜 10:30 コンベンションホール (CH-A) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:加納 将行(東北大学理学研究科)、富田 史章(東北大学災害科学国際研究所)、野田 朱美(気象庁)、姫松 裕志(国土地理院)、座長:西村 卓也(京都大学防災研究所)、岡崎 智久(理化学研究所革新知能統合研究センター)


10:00 〜 10:15

[SGD03-05] 2023年8月と2024年1月に発生した日向灘の地震(M7.1, M6.6)の地殻変動と震源断層モデル

*西村 卓也1山崎 健一1、小松 信太朗1 (1.京都大学防災研究所)

キーワード:プレート間地震、地殻変動、GNSS 、断層モデル

2024年8月8日と2025年1月13日に日向灘南部でそれぞれM7.1、M6.6の地震が発生した。これらの地震のメカニズム解は、低角逆断層型を示し、沈み込むフィリピン海プレートと陸側プレートの境界で発生したプレート間地震であると考えられる。これらの地震に伴い日向灘沿岸域の国土地理院GEONET観測点では、明瞭な地殻変動が観測されており、断層モデルの推定が行われている。
京都大学防災研究所宮崎観測所では、新学術領域研究「スロー地震学」の一環として、2017-18年に日向灘沿岸域の13か所にGNSS連続観測点を設置し、地殻変動の観測体制を強化していた。2024年と2025年の地震は、これらの観測網の目前で発生した地震であり、京都大学の国土地理院のGNSS観測データを統合解析することによって、より詳細な震源域の議論が可能になると考えられる。そこで、本研究では、これらの観測網で得られた2つの地震の地震時地殻変動を報告するとともに、震源断層モデルの推定を行った結果について報告する。
GNSS日座標値の計算には、GipsyX2.3のバイアス整数化精密単独測位法(PPP-AR)を用い、米国のジェット推進研究所(JPL)精密暦を用いて、マッピング関数にはVMF1、電離層高次効果とFES2014bモデルによる海洋潮汐荷重変形の補正を行った。得られたITRF2020準拠の日座標からGEONET三隅(950388)に対する相対座標を計算し、地震前後の10日間の平均座標値から地震時地殻変動を計算した。
2024年と2025年の2つの地震の地震時地殻変動を比較すると、どちらも東向きで沿岸域が沈降する変動が観測されているが、2025年の地震の方が変動の中心が北にずれている。また、最大水平変位は2024年では15.2cmであるのに対し、2025年では5.5cmと半分以下になっている。次に、半無限弾性体媒質中の矩形断層を仮定し、プレート境界面に深さ、走向、傾斜を拘束してMatsu’ura and Hasegawa(1987)の手法で断層モデルを推定すると2024年の地震のすぐ北隣に2025年の地震の断層モデルが推定された。推定されたモーメントマグニチュードは、剛性率を40GPaとすると2024年が7.00、2025年が6.85であった。また、1996年10月と12月の日向灘の地震(M6.9、M6.7)の断層モデルも同様に推定すると、これらの2つの地震の断層モデルは、2025年の断層モデル内の東側と西側に推定され、2つの地震の地震モーメントの合計は、2025年の地震のものの1.25倍であった。よって、2025年の地震は、1996年の2つの地震の震源域を再破壊したが、規模は2つの地震を合わせたものより小さかったと解釈できる。なお、1931年や1961年の日向灘地震に関連すると考えられる上下変動も水準測量によって得られており、講演では水準測量のデータの解析結果についても報告する予定である。

謝辞:国土地理院GEONETデータ及び気象庁一元化震源データを使用しました。ここに記して感謝いたします。