日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD03] 地殻変動

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:加納 将行(東北大学理学研究科)、富田 史章(東北大学災害科学国際研究所)、野田 朱美(気象庁)、姫松 裕志(国土地理院)


17:15 〜 19:15

[SGD03-P02] GNSS・SARデータによる八幡平・岩手山における2020-2024年の地殻変動

*姫松 裕志1宗包 浩志1 (1.国土地理院)

キーワード:地殻変動、GNSS、SAR、火山、八幡平、岩手山

秋田県と岩手県の県境付近には秋田焼山・八幡平・岩手山・秋田駒ヶ岳といった活動的火山が集中して分布している.これらの火山では岩手山における1998年噴火未遂や2011年東北地方太平洋沖地震に伴う収縮などが報告されている.最近では2020年頃から八幡平で,2024年上旬から岩手山で膨張を伴う地殻変動が報告されている.
本発表では2015年以降のGNSSとSARのデータを用いて八幡平と岩手山における地殻変動の時空間変化の特徴と圧力源の構造を推定した結果を報告する.GNSSデータはGEONET,気象庁,V-net(防災科研)のGNSSデータを使用した.東日本における火山性地殻変動を抽出するためには2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動を含む長波長の地殻変動を補正する必要がある.そこで火山周辺以外のGNSS観測点のデータを用いて,長波長の地殻変動を高次の多項式で近似して補正した.SARデータはALOS-2/PALSAR-2のデータを使用し,電離層補正を適用した後に残る長波長の位相変化は多項式曲面で近似して補正した.
GNSSのデータを解析した結果は2020年以降に八幡平を中心とした膨張が開始し,2024年末時点では膨張が継続していることを明らかにした.変動速度は2020年から2024年にかけておおむね一定であった.SARデータも同様に八幡平を中心とする視線距離短縮が認められた.一方,岩手山周辺ではGNSSデータにより2024年4月頃から膨張が開始し,SARデータにより岩手山西麓を中心に膨張を示唆する視線距離短縮領域が認められた.岩手山における膨張も2024年末時点で継続していた.
GNSSとSARのデータから明らかになった地殻変動を駆動する圧力源の構造をマルコフ連鎖モンテカルロ法により推定した.本研究では解析したデータを2時期に区分して八幡平と岩手山における圧力源構造を推定した.① 2020~2023年末の地殻変動を示すデータを使用して八幡平における圧力源構造を推定した.② 2024年の地殻変動を示すデータを使用して,前出の八幡平における圧力源の構造を固定した上で,岩手山西麓における圧力源構造と2つの圧力源に対する圧力変化量を推定した.八幡平における圧力源は深さ4 km付近に球に近い構造をもつ圧力源が推定され,岩手山では西麓の深さおよそ10 km付近に扁平で水平な回転楕円体で近似される圧力源の構造が求まった.岩手山では1998年の火山活動に伴う地殻変動の圧力源(球状)は深さ8 km以浅に求まることが報告されているが,本研究におけるモデル推定の誤差を考慮すると既知の圧力源分布のおおよそ下端付近に位置している.