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[SGD03-P03] 複数のGNSS測位解を用いた2014–2016年紀伊水道長期的スロースリップイベントのすべり分布推定:誤差低減手法の検討

キーワード:スロースリップイベント、紀伊水道
GNSSデータを用いてスロースリップイベント(SSE)のすべり分布を推定するためには、共通誤差成分や大地震の余効変動の影響を適切に考慮したデータの前処理が必要である。日本におけるSSEの研究では、Wdowinski et al. (1997)で提案された空間フィルタによる共通誤差成分の低減や、2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動を対数関数と指数関数を用いた回帰分析で表現する手法(e.g. Tobita, 2016)が広く用いられてきた。さらに、主成分分析(PCA)や独立成分分析(ICA)といった多変量解析手法を用いてGNSS時系列データから共通誤差成分や余効変動を分離する研究が存在する(e.g. Dong et al., 2006; Savage and Svarc, 2009; Gualandi et al., 2016)。
本研究ではKobayashi (2017)で報告された、2014年から2016年にかけて紀伊水道で発生した長期的SSEに焦点を当てる。この長期的SSEは、南海トラフの走向方向に連続的に分布する深部微動や低周波地震の空白域との関連性が議論されており(e.g. Mitsui et al., 2022; Ohta et al., 2023)、より詳細な解析を行う価値がある。そのため、複数のアプローチにより共通誤差成分や2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響の低減を試みる。GNSSデータについても、国土地理院のF5解(村松・他, 2021)だけでなく、Nevada Geodetic Laboratoryによる精密単独測位解(Blewitt et al., 2018)、ISTerreによる二重差相対測位解(GAMITによる)、精密単独測位解(GipsyXによる)を使用し、比較検討を行う。
まず、2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響を対数関数で近似した補正を行い、ベイジアンインバージョン解析に基づいてSSEのすべり分布を推定した。その結果、精密単独測位解のデータを用いた場合、紀伊半島南西沖に集中したすべり分布が推定された。このすべりは、深部微動や低周波地震の空白域というよりも、紀伊半島下で深部微動や低周波地震が帯状に発生する領域の端、やや浅部に相当する。このすべり分布の近傍では、SSE期間中に低周波地震活動(Kato and Nakagawa, 2020に基づく)が若干活発化しており、豊後水道で報告されている長期的SSEによる微動の誘発(Hirose et al., 2010)と同様の現象が生じていることが示唆される。
一方、F5解や二重差相対測位解のデータを用いた場合、紀伊半島南西沖に加え、室戸岬沖など別の領域にもすべりが推定された。しかし、共通誤差の低減処理を施した後にインバージョン解析を行うと、これらのすべりはほとんど消失したため、共通誤差に起因するゴーストである可能性が高い。このように、データの前処理はSSEの推定結果に大きく影響を及ぼすことから、より適切な余効変動の除去手法を模索し、紀伊半島南西沖に推定されるすべり分布の妥当性についてさらに検討する必要がある。
本研究ではKobayashi (2017)で報告された、2014年から2016年にかけて紀伊水道で発生した長期的SSEに焦点を当てる。この長期的SSEは、南海トラフの走向方向に連続的に分布する深部微動や低周波地震の空白域との関連性が議論されており(e.g. Mitsui et al., 2022; Ohta et al., 2023)、より詳細な解析を行う価値がある。そのため、複数のアプローチにより共通誤差成分や2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響の低減を試みる。GNSSデータについても、国土地理院のF5解(村松・他, 2021)だけでなく、Nevada Geodetic Laboratoryによる精密単独測位解(Blewitt et al., 2018)、ISTerreによる二重差相対測位解(GAMITによる)、精密単独測位解(GipsyXによる)を使用し、比較検討を行う。
まず、2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動の影響を対数関数で近似した補正を行い、ベイジアンインバージョン解析に基づいてSSEのすべり分布を推定した。その結果、精密単独測位解のデータを用いた場合、紀伊半島南西沖に集中したすべり分布が推定された。このすべりは、深部微動や低周波地震の空白域というよりも、紀伊半島下で深部微動や低周波地震が帯状に発生する領域の端、やや浅部に相当する。このすべり分布の近傍では、SSE期間中に低周波地震活動(Kato and Nakagawa, 2020に基づく)が若干活発化しており、豊後水道で報告されている長期的SSEによる微動の誘発(Hirose et al., 2010)と同様の現象が生じていることが示唆される。
一方、F5解や二重差相対測位解のデータを用いた場合、紀伊半島南西沖に加え、室戸岬沖など別の領域にもすべりが推定された。しかし、共通誤差の低減処理を施した後にインバージョン解析を行うと、これらのすべりはほとんど消失したため、共通誤差に起因するゴーストである可能性が高い。このように、データの前処理はSSEの推定結果に大きく影響を及ぼすことから、より適切な余効変動の除去手法を模索し、紀伊半島南西沖に推定されるすべり分布の妥当性についてさらに検討する必要がある。
