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[SGD03-P11] 精密水準測量によって検出された御嶽山東山麓群発地震域での上下変動とその解釈(2016年~2023年)
キーワード:御嶽火山、精密水準測量、群発地震
御嶽山の火山活動を捉えることを目的に、御嶽山東山麓において精密水準測量を繰り返し実施してきた。路線の位置する御嶽山東山麓においては、1970年代後半から現在まで群発地震が継続しており、2017年6月25日、御嶽山東山麓の長野県南部を震源とするM5.6の地震が発生した。2017年4月~2018年4月の水準測量データには、2017年6月25日のM5.6の地震による変動が含まれている。群発地震活動に関係する地殻変動をモデリングする事は、御嶽山東麓での群発地震活動を理解するうえで重要であるのみならず、群発地震活動による変動を推定除去できることで御嶽山の火山活動による変動を明瞭化することが期待される。そこで、本研究では、2016年9月~2023年5月に実施した東山麓の水準測量結果を用いて、群発地震域の地殻変動モデリングを行い、群発地震活動との関連を議論する。
御嶽山の東山麓の群発地震活動域には、桟路線、屋敷野路線、木曽温泉路線が設置されている。本研究では2016年9月、2017年4月、2018年4月、2023年5月の測定結果を用いた(村瀬・他,2017; 2018; 2019; 2023)。M5.6の地震により路線全体が影響を受けている可能性があるため、国土地理院GEONETの奈川観測点を参照点とした三岳観測点の1か月平均値を使い上下変動を計算し、GEONET三岳の電子基準点付属標を参照点とした水準測量の上下変動に加えた。
M5.6の地震の発生後の2018年4月~2023年5月の約5年間の水準測量結果からは、群発地震活動域の東部で沈降が検出された。この変動を説明する圧力源の候補として、球状圧力源及び開口クラックを仮定しAICを用いて最適モデルの判断を行った。M5.6の地震の変動を含む2017年4月~2018年4月の隆起については、矩形断層1枚のモデル及び、矩形断層と開口クラックの2つのソースを仮定したモデルを検討した。開口クラックのジオメトリは、2018年4月~2023年5月の上下変動から推定されたものと同じと仮定した。M5.6の地震の発生前の2016年9月~2017年4月においても僅かな隆起が見られたため、2018年4月~2023年5月の上下変動から推定された開口クラックのジオメトリを仮定し、開口量のみを推定した。
その結果としては、M5.6の地震の発生後の2018年4月~2023年5月の約5年間の水準測量結果からは、深さ4㎞、長さ1.5㎞、幅4.5㎞、開口量-8㎝となり、収縮するクラックが推定された。その場所はM5.6の地震の余震域の東側の地震活動が低調な領域であった。 M5.6の地震の変動を含む2017年4月~2018年4月の上下変動からは、矩形断層と開口クラックが推定された(図1)。矩形断層は、長さ2.5㎞、幅1.5㎞、深さ2.5㎞、滑り量69㎝の左横ずれ成分を含む逆断層として推定された。クラックは2018年4月~2023年5月の約5年間は閉口であったが、この期間には24㎝の開口が推定された。M5.6の地震の発生前の2016年9月~2017年4月には、2.6㎝のわずかな開口が推定されたが、路線の東側では観測値と計算値の間に不一致が見られた。
M5.6の地震の震源域の東側の地震活動が低調な領域の深さ4㎞にクラックが推定されたことから、クラックが群発地震域への流体を供給する通り道になっている可能性が示唆される。Ichihara et al.(2018)では、群発地震域の北東部の1.5~3.5㎞に低比抵抗帯を推定しており、浅い流体の存在を示唆している。クラックはこの低比抵抗帯の約3㎞南に位置する。このクラックは、M5.6の地震の変動を含む2017年4月~2018年4月および地震の発生前の2016年9月~2017年4月の期間に開口が推定されており、間隙水圧が高まったと考えられ、群発地震活動の活発化やM5.6の地震の発生に影響を与えた可能性が示唆される。
御嶽山の東山麓の群発地震活動域には、桟路線、屋敷野路線、木曽温泉路線が設置されている。本研究では2016年9月、2017年4月、2018年4月、2023年5月の測定結果を用いた(村瀬・他,2017; 2018; 2019; 2023)。M5.6の地震により路線全体が影響を受けている可能性があるため、国土地理院GEONETの奈川観測点を参照点とした三岳観測点の1か月平均値を使い上下変動を計算し、GEONET三岳の電子基準点付属標を参照点とした水準測量の上下変動に加えた。
M5.6の地震の発生後の2018年4月~2023年5月の約5年間の水準測量結果からは、群発地震活動域の東部で沈降が検出された。この変動を説明する圧力源の候補として、球状圧力源及び開口クラックを仮定しAICを用いて最適モデルの判断を行った。M5.6の地震の変動を含む2017年4月~2018年4月の隆起については、矩形断層1枚のモデル及び、矩形断層と開口クラックの2つのソースを仮定したモデルを検討した。開口クラックのジオメトリは、2018年4月~2023年5月の上下変動から推定されたものと同じと仮定した。M5.6の地震の発生前の2016年9月~2017年4月においても僅かな隆起が見られたため、2018年4月~2023年5月の上下変動から推定された開口クラックのジオメトリを仮定し、開口量のみを推定した。
その結果としては、M5.6の地震の発生後の2018年4月~2023年5月の約5年間の水準測量結果からは、深さ4㎞、長さ1.5㎞、幅4.5㎞、開口量-8㎝となり、収縮するクラックが推定された。その場所はM5.6の地震の余震域の東側の地震活動が低調な領域であった。 M5.6の地震の変動を含む2017年4月~2018年4月の上下変動からは、矩形断層と開口クラックが推定された(図1)。矩形断層は、長さ2.5㎞、幅1.5㎞、深さ2.5㎞、滑り量69㎝の左横ずれ成分を含む逆断層として推定された。クラックは2018年4月~2023年5月の約5年間は閉口であったが、この期間には24㎝の開口が推定された。M5.6の地震の発生前の2016年9月~2017年4月には、2.6㎝のわずかな開口が推定されたが、路線の東側では観測値と計算値の間に不一致が見られた。
M5.6の地震の震源域の東側の地震活動が低調な領域の深さ4㎞にクラックが推定されたことから、クラックが群発地震域への流体を供給する通り道になっている可能性が示唆される。Ichihara et al.(2018)では、群発地震域の北東部の1.5~3.5㎞に低比抵抗帯を推定しており、浅い流体の存在を示唆している。クラックはこの低比抵抗帯の約3㎞南に位置する。このクラックは、M5.6の地震の変動を含む2017年4月~2018年4月および地震の発生前の2016年9月~2017年4月の期間に開口が推定されており、間隙水圧が高まったと考えられ、群発地震活動の活発化やM5.6の地震の発生に影響を与えた可能性が示唆される。
