日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GD 測地学

[S-GD03] 地殻変動

2025年5月26日(月) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:加納 将行(東北大学理学研究科)、富田 史章(東北大学災害科学国際研究所)、野田 朱美(気象庁)、姫松 裕志(国土地理院)


17:15 〜 19:15

[SGD03-P12] 令和6年能登半島地震前後の航空レーザ測深(ALB)データを用いた海底地形の変位量の推定

*佐々木 寿1加藤 幸弘2、楠 勝浩2、加藤(成毛) 志乃1、高柳 茂暢1、後藤 和郎1 (1.アジア航測株式会社、2.一般財団法人 日本水路協会)

キーワード:令和6年能登半島地震、航空レーザ測深(ALB)、地形変化、ICP

令和6年能登半島地震では斜面崩壊や地すべりの発生,海岸付近の隆起などの様々な地形変化が生じた.このような地形変化に対して,地表踏査や航空機や人工衛星等を用いて,主に陸上部の調査が進められてきたが,海底の地形変化について面的な調査は実施されていない.そこで我々は航空レーザ測深(ALB)データを用いて,令和6年能登半島地震で生じた能登半島周辺の浅海域の面的な地形変化を調査した.本調査は日本財団と日本水路協会が2022年より日本全国の海岸につづく浅海域を測量・地図化する「海の地図PROJECT」の一環として行ったものである.能登半島の外浦(羽咋郡志賀町~珠洲市三崎町)の沿岸総距離約225kmの海底(水深0mから20m)を測深し,大きな隆起を伴う地震前後で沿岸浅海域での詳細な海底地形データ取得に成功した.
浅海域のデータ取得には航空レーザ測深(ALB)を使用した.令和6年能登半島地震前は2022年9~10月に回転翼機に搭載したChiroptera4Xを用いて,令和6年能登半島地震後は2024年4~5月に固定翼機に搭載したChiroptera-5およびHawkeye-5を用いて測深した.測深したデータについてノイズ処理やフィルタリング処理を行い,標高データを作成し,0.5m間隔の数値標高モデル(DEM)を作成した.
令和6年能登半島地震による地形変化を把握するため,地震前後の標高データ(0.5m間隔のDEM)の差分解析および変位量の算出を行った.上下方向および水平方向の変位量の推定には,3次元点群の位置合わせ技術ICP (Iterative Closest Point)を応用して変位量を算出する地形変化解析手法(特許第6817721号)を用いた.変位量の算出は国土基本図図郭の地図情報レベル500(南北300m,東西400m)の単位で解析を行い,各図郭の上下変位量および水平変動量を算出した.
差分解析を用いて令和6年能登半島地震による陸地化した面積を算出した.能登半島全体で陸地化した面積は4.56km2であり,隆起量の大きかった門前黒島周辺では陸地が最大で250mまで沖合に広がった.ICPを応用して求めた上下変位量および水平変動量の結果を図1および図2に示す。上下変位量は東西2か所のピークを示し、西部では猿山岬~猿山崎周辺で最大約5.2m,東部では中田浜周辺で最大約2.7mであった.佐々木・他(2024)およびSasaki et al. (submitted)は,陸域について航空レーザ測量データを用いて同様の解析を行っている.能登半島の陸域の上下変位量は猿山岬~猿山崎周辺の山地で最大約4.6mである.陸域の最大値を示す図郭の西側に,浅海域の最大値の図郭が隣接していることから,両者の結果は整合している(図3).水平変動量は猿山岬~鹿磯漁港周辺で西-西南西方向へ平均2.2m程度,曽々木海岸~中田浜周辺で西北西-北西方向へ平均2.5m程度の変位が確認された(図2).陸域の解析結果と比較すると,陸域から浅海域に向けて,徐々に大きくなる傾向にあり,矛盾しない結果が得られている.
以上のように令和6年能登半島地震で生じた浅海域の地形変化について,航空レーザ測深(ALB)データを用いて定量的に把握することが出来た.地震直後は余震活動に伴う津波も懸念されることから,本手法は安全に浅海域の地形変化を把握する手法として有効であると考えられる.

引用文献
佐々木寿・船越和也・千葉達朗(2024) 令和6年能登半島地震で生じた地盤変動とその特徴-地震前後の航空レーザ計測データを用いた解析事例.アジア航測 技術報 For the Future 2025,22-23.
Sasaki, H., Funakoshi, K., Chiba, T., Fujita, H., and Misono, T. (submitted) Estimation of ground surface displacement caused by the 2024 Noto Peninsula earthquake using airborne LiDAR survey data.