日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL23] 日本列島および東アジアの地質と構造発達史

2025年5月29日(木) 13:45 〜 15:15 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、羽地 俊樹(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)、座長:羽地 俊樹(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)、大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

14:00 〜 14:15

[SGL23-02] 阿武隈花崗岩類の地球化学地質調査総合センター保管サンプルの再分析と、地球化学的特徴の再検討

*原口 悟1田中 明子2飯塚 毅3上木 賢太4 (1.東京大学地震研究所、2.産業技術総合研究所地質調査総合センター、3.東京大学理学部、4.海洋研究開発機構)

キーワード:阿武隈深成岩体、アーカイブサンプル、全岩組成分析技術、微量元素組成

日本列島の西南日本内帯から東北日本に分布する巨大な花崗岩体はガブロから中性の深成岩を伴うことが多く、成因的な関連が注目されている。本報告で対象とする阿武隈花崗岩体もガブロから閃緑岩、トーナライト等非常に広い範囲の化学、岩石学的特徴を有する深成岩を伴っている。
地質調査所では、日本国内の花崗岩体は石原舜三博士を中心とするグループによって1960年代から2000年代に渡って調査、化学分析が行われ、化学データが公表されている。1970年代までの全岩化学分析は湿式分析で行われた(石原1971等)が、1980年代に入ると螢光X線分析(XRF)が導入され、次第に置き換わっている。この流れの中で2000年頃に微量成分の測定に効果的な偏光蛍光X線分析(Polarized XRF)が開発され(Heckel and Ryon 2002)、1970年代までに化学データを報告した各地の深成岩サンプルの再分析を行い、新たにデータを報告している。これらの石原博士が採取、収集した岩石サンプルは地質調査総合センター内、地質情報基盤センター(https://unit.aist.go.jp/gsc/ja/organization/index.html)に保管されており、アクセスが可能である。一方、化学分析はその後も進歩しており、2010年代以降微量元素分析はICP-MSに置き換わりつつあり、2020年代にはLA-ICP-MSの導入も進んでいる。この化学分析技術の進展の中、本報告は、石原博士の収集したサンプルに再注目し、LA-ICP-MS等現在の最新の分析技術を用いて化学分析を行い、改めて化学的特徴を検討した。
今回、東北日本の阿武隈帯に分布する「阿武隈花崗岩体」を対象とした。石原博士による阿武隈花崗岩の化学的研究は1973年に当時の地質調査所月報に発表された。同研究はウラン資源探索の側面も有しており、主要元素の他、U, Thも分析しているのが特徴である。その後、Polarized XRFを導入して、2003年に地質調査研究報告に分析値を新たに報告している。両調査は「68A」で始まるサンプル番号を持つ一連のグループを用いており、阿武隈帯の中での南部に相当する北緯37度00分から10分の間にサンプリング点が分布している。
今回報告する分析は、「72A」で始まるサンプル番号を持つグループで、サンプリング点は68Aグループの北の北緯37度20分から30分の間に分布している。化学分析は東京大学地震研究所のXRF及び東京大学理学部のLA-ICP-MSを用いた。分析結果は石原博士の両論文による68Aグループの岩石によく似ており、両論文で指摘されている、東側ほど放射性元素濃度が高い傾向が同様に認められた。他、今回の新分析データをもとに、阿武隈深成岩体の化学的特徴を検討したい。

本研究で測定を行った試料は,産業技術総合研究所地質調査総合センターの角井朝昭博士、柳澤教雄博士にご提供いただきました。感謝いたします。