日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-GL 地質学

[S-GL23] 日本列島および東アジアの地質と構造発達史

2025年5月29日(木) 13:45 〜 15:15 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)、羽地 俊樹(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)、座長:羽地 俊樹(産業技術総合研究所 地質調査総合センター 地質情報研究部門)、大坪 誠(産業技術総合研究所 活断層・火山研究部門)

14:30 〜 14:45

[SGL23-04] 愛知県東部中新統北設亜層群に貫入する砂岩岩脈が示す古応力

*藪田 桜子1、星 博幸2、竹内 誠1,3 (1.産業技術総合研究所地質調査総合センター、2.愛知教育大学自然科学系、3.名古屋大学大学院環境学研究科)

キーワード:砂岩岩脈、古応力、中新世、北設亜層群

日本海拡大時に西南日本で形成された堆積盆の地質構造から,これらの堆積盆の形成時に西南日本は広域的に引張場であったことが推定されている.日本海拡大時に西南日本東部で形成された北設亜層群においては,堆積盆地(設楽盆地と呼ぶ)北部の基盤岩近くの小断層解析により,堆積時にNW-SE方向の引張場であったことが示唆されている(Fournier et al., 1995). しかし,この引張場の詳細な時期や,堆積時に設楽盆地が全体的に引張場であったかなどは明らかにされていない.
 設楽盆地南東部の中央構造線(MTL)付近では,北設亜層群下部の下田層泥岩中にNE-SW方向の砂岩岩脈群が発達する(入月・高橋,1997;藪田ほか, 2024).先行研究では,砕屑性岩脈を含む岩脈の方向性から貫入時の応力の方向を推定することができるとされており(例えば,山路,2012), 北設亜層群においても,砂岩岩脈を用いることで古応力が推定できると考えられる.また,これらの砂岩岩脈の供給源は,下田層上部の梅平砂岩部層であると解明されており(藪田ほか, 2024),貫入時期に関しても制約されている.本研究の目的は,これらの砂岩岩脈の形態を詳細に明らかにし,貫入時の古応力を推定することである.
 はじめに,北設亜層群の盆地南東部の野外調査を実施し,同地域の砂岩岩脈の形態を明らかにした.次に,砂岩の板状貫入岩に対して混合ビンガム分布法による応力解析法(Yamaji and Sato, 2011)を適用した.解析には応力解析ソフトウェアであるGArcmB(Yamaji, 2016)を用いた.
 野外調査の結果,調査地域内の砂岩岩脈は,基本的には母岩との境界が明瞭な平板状の岩脈で,岩脈の幅は1〜80 cmである.これらの砂岩岩脈の貫入面はNE–SW走向でほぼ鉛直傾斜の平行岩脈群をなし,調査地域のMTLと平行である.砂岩岩脈はMTLから北西2 km付近に集中して分布し,MTLに平行なNE–SW方向約2 kmの範囲に分布する.また,MTLから北西に3.5 km離れたところにも分布する.一方,砂岩岩脈の形態は供給源の梅平砂岩部層からの距離によって異なることが判明した.梅平砂岩部層の直下の露頭(Sd-3周辺)では,上述した鉛直な岩脈に加えて,中程度に傾斜して貫入するタイプおよび貫入境界が不明瞭で湾曲するタイプの砂岩岩脈がみられる.また,岩脈だけでなく,岩脈とシルの複合岩体も認められる.これらの貫入岩から得られた合計51個の貫入面姿勢データを用いて応力解析を行った結果,NW-SE方向の伸張を示す応力が検出されるとともに,それと異なる応力も検出された.供給源からの距離による貫入形態の相違も含めて,これらの貫入岩を形成した時期の古応力について考察する.
<文献>
Fournier, M., Jolivet, L. and Fabbri, O., 1995, Neogene stress field in SW Japan and mechanism of deformation during the Sea of Japan opening. J. Geophys. Res.: Solid Earth, 100, no. B12, 24295–24314.
入月俊明・高橋 徹,1997,鳳来寺山東部の設楽層群にみられる砕屑性岩脈についての予報.鳳来寺山自然科学博物館館報,26,23–29.
藪田桜子・竹内誠・淺原良浩・李琪,2024, 中新統北設亜層群に貫入する砂岩岩脈の産状と砕屑性ジルコンU–Pb年代に基づく砂岩岩脈の供給砂岩層の解明.日本地質学会第131年学術大会講演要旨,T15-P-18.
山路 敦, 2012, 岩脈法発展史.地質雑, 118, 335–350.
Yamaji, A., 2016, Generic algorithm for fitting a mixed Bing-ham distribution to 3D orientations: a tool for the statistical and paleostress analyses of fracture orientations. Isl. Arc, 25, 72–83.
Yamaji, A. and Sato, K., 2011, Clustering of fracture orientations using a mixed Bingham distribution and its application to paleostress analysis from dike or vein orientations. J. Struct. Geol., 33, 1148–1157.