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[SGL23-P04] 順序外衝上断層沿いの鉱物脈群を用いた古応力解析:丹波帯灰屋川衝上断層の例

キーワード:沈み込み帯、順序外衝上断層、丹波帯
沈み込み帯のプレート境界断層から分岐する順序外衝上断層 (OST) または巨大分岐断層は,巨大地震や津波を発生させる断層であると考えられている(例えば,Moore et al., 2007).海溝型巨大地震が発生すると,応力が解放されることによって逆断層型から正断層型に応力場が変化することが指摘されている(例えば,Lin et al., 2013).OSTの活動に伴い形成された構造を解析することで,海溝型巨大地震発生前後の応力を検出できることが期待される.しかし,現在は海底下にあるOSTの周囲の構造を直接観察することは難しい.
西南日本の四万十帯では,陸上に露出した過去のOSTである延岡衝上断層の周囲の構造を用いた古応力解析が行われている.Kawasaki et al. (2017), Otsubo et al. (2016) は,延岡衝上断層の周囲の小断層群および鉱物脈群から,地震発生前後のものと考えられる逆断層型応力と正断層型応力を検出した.しかし,延岡衝上断層以外の過去のOSTを対象とした古応力解析はこれまでに行われていない.そこで本研究では,西南日本の丹波帯に露出するOSTである灰屋川衝上断層の周囲に発達する鉱物脈群を用いた古応力解析を行った.
灰屋川衝上断層は,丹波帯を構造的下位のI型地層群と構造的上位のII型地層群に二分する断層である(木村,2000;丹波地帯研究グループ,1980).破砕帯の下盤側にはI型地層群のメランジュが,上盤側にはII型地層群の千枚岩が露出している.また,破砕帯の周囲には石英脈および方解石脈が発達している.
本研究では,鉱物脈群の方位分布に混合ビンガム分布をフィッティングするYamaji and Sato (2011) の手法を用いて古応力解析を行った.更に,灰屋川衝上断層が活動していた際の傾斜角を,現在の地震発生帯におけるOSTや,延岡衝上断層の傾斜角と同程度(約10°N)であったと仮定し,傾動補正を行った.測定した96枚の鉱物脈の方位データを解析したところ,応力比 (σ2-σ3)/(σ1-σ3)(圧縮を正としてσ1≧σ2≧σ3)が低い (0.10) 横ずれ断層型応力,正断層型応力,応力比が中程度 (0.50) の横ずれ断層型応力が検出された.応力比が低い横ずれ断層型応力と正断層型応力が検出されたという結果は,Kawasaki et al. (2017), Otsubo et al. (2016) と整合的である.応力比が中程度の横ずれ断層型応力は,灰屋川衝上断層がOSTとしての活動を終えた後の応力である可能性がある.
西南日本の四万十帯では,陸上に露出した過去のOSTである延岡衝上断層の周囲の構造を用いた古応力解析が行われている.Kawasaki et al. (2017), Otsubo et al. (2016) は,延岡衝上断層の周囲の小断層群および鉱物脈群から,地震発生前後のものと考えられる逆断層型応力と正断層型応力を検出した.しかし,延岡衝上断層以外の過去のOSTを対象とした古応力解析はこれまでに行われていない.そこで本研究では,西南日本の丹波帯に露出するOSTである灰屋川衝上断層の周囲に発達する鉱物脈群を用いた古応力解析を行った.
灰屋川衝上断層は,丹波帯を構造的下位のI型地層群と構造的上位のII型地層群に二分する断層である(木村,2000;丹波地帯研究グループ,1980).破砕帯の下盤側にはI型地層群のメランジュが,上盤側にはII型地層群の千枚岩が露出している.また,破砕帯の周囲には石英脈および方解石脈が発達している.
本研究では,鉱物脈群の方位分布に混合ビンガム分布をフィッティングするYamaji and Sato (2011) の手法を用いて古応力解析を行った.更に,灰屋川衝上断層が活動していた際の傾斜角を,現在の地震発生帯におけるOSTや,延岡衝上断層の傾斜角と同程度(約10°N)であったと仮定し,傾動補正を行った.測定した96枚の鉱物脈の方位データを解析したところ,応力比 (σ2-σ3)/(σ1-σ3)(圧縮を正としてσ1≧σ2≧σ3)が低い (0.10) 横ずれ断層型応力,正断層型応力,応力比が中程度 (0.50) の横ずれ断層型応力が検出された.応力比が低い横ずれ断層型応力と正断層型応力が検出されたという結果は,Kawasaki et al. (2017), Otsubo et al. (2016) と整合的である.応力比が中程度の横ずれ断層型応力は,灰屋川衝上断層がOSTとしての活動を終えた後の応力である可能性がある.