17:15 〜 19:15
[SGL23-P05] 山陰帯花崗岩中の安山岩岩脈の貫入時のNNE-SSW圧縮応力
キーワード:古応力、岩脈、安山岩、白亜紀、古第三紀
【背景・目的】
西南日本の白亜紀から古第三紀の火成活動は、60 Ma以前の活発な活動期、60~46 Maの停止期、46 Ma以降の再開という変遷を辿ったことが知られており、海嶺の沈み込みなどの特徴的なテクトニクスを反映しているとされている(Yamaoka & Wallis, 2023; Imaoka et al., 2011など)。これらの火成活動の変遷は、火成岩の化学組成および年代測定により明らかにされてきている。
一方で、これら火成活動を駆動する応力の変遷に関するデータは、未だ乏しい状況である。そこで本研究では、白亜紀~古第三紀の応力場に制約を与えるため、後期白亜紀から古第三紀の花崗岩類が広く分布する山陰地方の鳥取県三朝町周辺において、花崗岩中に貫入する岩脈の姿勢データから古応力を推定する。
【地質概要】
西南日本内帯に位置する中国地方には、花崗岩が広く分布し、領家帯、山陽帯、山陰帯に区分されている。これらの花崗岩は、西から東に向かうにつれて系統的に固結年代が若くなる傾向が認められるほか、領家帯、山陽帯、山陰帯の順に北部ほど固結年代が若くなる傾向も認められる(中島, 2018)。本調査地域には白亜紀~古第三紀花崗岩類が分布する。調査地域付近の花崗岩からは、66~64 MaのジルコンU-Pb年代が報告されているが(Iida et al., 2015)、花崗岩に貫入する火山岩脈の年代測定はされておらず、これらの岩脈の貫入時期は不明である。
【結果】
調査では花崗岩中に貫入する岩脈を17枚確認し、岩石サンプルの採取および岩脈の姿勢の計測を行った。採取した岩石サンプルは、蛍光X線分析により元素組成を明らかにした。多くの岩脈が著しく風化した産状を示すことから、得られた元素組成データをNb/Y–TiO2図 (Wincheter & Floyd, 1977) にプロットしたところ、非アルカリ岩系安山岩~玄武岩が15試料、デイサイトが2試料と判別した。デイサイトと判別された岩脈からは、63.0±0.2 MaのジルコンU-Pb年代が得られた。デイサイトおよび安山岩~玄武岩の岩脈の姿勢は類似することから、両者とも同時期に貫入した岩脈とみて議論する。
安山岩~玄武岩と判別された15の岩脈について、その姿勢データを用いて古応力の推定を行った。その結果、NNE-SSW圧縮の横ずれ断層型の応力が検出された。白亜紀~古第三紀にかけての古応力の推定に関する検討事例としては、中部地方の飛騨地域および東濃地域における安山岩岩脈の姿勢を用いた古応力の推定事例がある。約60 Maの岩脈の姿勢からE-W圧縮もしくはN-S伸張の応力が推定されており(新村ほか, 1994; 及川ほか, 2006)、本地域で検出した応力とは異なる。本調査地域から南東に約40 kmの柵原地域における検討では、約54 Maの石英斑岩岩脈からN-S方向の最大水平圧縮応力軸が検出されている(升本・弘原海, 1983)。この時期の応力の時空間変遷を議論するには、さらなる岩脈の姿勢データの拡充、および年代測定などによる岩脈の貫入年代の制約が必要である。
【参考文献】
Yamaoka & Wallis, (2023), EPS, 10:62. Imaoka et al., (2011), JAES, 40, 509-533. 中島, (2018), 地質雑(総説), 124(8), 603-625. Iida et al., (2015), IAR, 24, 205-220. Winchester & Floyd, (1977), Chemical Geology, 20, 325-343. 新村ほか, (1994), 岩鉱, 89, 285-293. 及川ほか, (2006), 地質雑, 112(10), 616-619. 升本・弘原海, (1983), 地質雑, 89(2), 87-97.
【謝辞】
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和5-6年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している。
西南日本の白亜紀から古第三紀の火成活動は、60 Ma以前の活発な活動期、60~46 Maの停止期、46 Ma以降の再開という変遷を辿ったことが知られており、海嶺の沈み込みなどの特徴的なテクトニクスを反映しているとされている(Yamaoka & Wallis, 2023; Imaoka et al., 2011など)。これらの火成活動の変遷は、火成岩の化学組成および年代測定により明らかにされてきている。
一方で、これら火成活動を駆動する応力の変遷に関するデータは、未だ乏しい状況である。そこで本研究では、白亜紀~古第三紀の応力場に制約を与えるため、後期白亜紀から古第三紀の花崗岩類が広く分布する山陰地方の鳥取県三朝町周辺において、花崗岩中に貫入する岩脈の姿勢データから古応力を推定する。
【地質概要】
西南日本内帯に位置する中国地方には、花崗岩が広く分布し、領家帯、山陽帯、山陰帯に区分されている。これらの花崗岩は、西から東に向かうにつれて系統的に固結年代が若くなる傾向が認められるほか、領家帯、山陽帯、山陰帯の順に北部ほど固結年代が若くなる傾向も認められる(中島, 2018)。本調査地域には白亜紀~古第三紀花崗岩類が分布する。調査地域付近の花崗岩からは、66~64 MaのジルコンU-Pb年代が報告されているが(Iida et al., 2015)、花崗岩に貫入する火山岩脈の年代測定はされておらず、これらの岩脈の貫入時期は不明である。
【結果】
調査では花崗岩中に貫入する岩脈を17枚確認し、岩石サンプルの採取および岩脈の姿勢の計測を行った。採取した岩石サンプルは、蛍光X線分析により元素組成を明らかにした。多くの岩脈が著しく風化した産状を示すことから、得られた元素組成データをNb/Y–TiO2図 (Wincheter & Floyd, 1977) にプロットしたところ、非アルカリ岩系安山岩~玄武岩が15試料、デイサイトが2試料と判別した。デイサイトと判別された岩脈からは、63.0±0.2 MaのジルコンU-Pb年代が得られた。デイサイトおよび安山岩~玄武岩の岩脈の姿勢は類似することから、両者とも同時期に貫入した岩脈とみて議論する。
安山岩~玄武岩と判別された15の岩脈について、その姿勢データを用いて古応力の推定を行った。その結果、NNE-SSW圧縮の横ずれ断層型の応力が検出された。白亜紀~古第三紀にかけての古応力の推定に関する検討事例としては、中部地方の飛騨地域および東濃地域における安山岩岩脈の姿勢を用いた古応力の推定事例がある。約60 Maの岩脈の姿勢からE-W圧縮もしくはN-S伸張の応力が推定されており(新村ほか, 1994; 及川ほか, 2006)、本地域で検出した応力とは異なる。本調査地域から南東に約40 kmの柵原地域における検討では、約54 Maの石英斑岩岩脈からN-S方向の最大水平圧縮応力軸が検出されている(升本・弘原海, 1983)。この時期の応力の時空間変遷を議論するには、さらなる岩脈の姿勢データの拡充、および年代測定などによる岩脈の貫入年代の制約が必要である。
【参考文献】
Yamaoka & Wallis, (2023), EPS, 10:62. Imaoka et al., (2011), JAES, 40, 509-533. 中島, (2018), 地質雑(総説), 124(8), 603-625. Iida et al., (2015), IAR, 24, 205-220. Winchester & Floyd, (1977), Chemical Geology, 20, 325-343. 新村ほか, (1994), 岩鉱, 89, 285-293. 及川ほか, (2006), 地質雑, 112(10), 616-619. 升本・弘原海, (1983), 地質雑, 89(2), 87-97.
【謝辞】
本報告は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和5-6年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性総合評価技術開発)」の成果の一部を使用している。