09:15 〜 09:30
[SMP28-02] ミグマタイト帯におけるメルト移流と蓄熱機能:深成-変成-火山弧の形成での役割
キーワード:熱モデル、領家、メルト、ミグマタイト
日本における代表的高温型変成帯である領家変成帯の温度圧力構造を,地殻下底からのメルト移流に加えて,地殻部分溶融とメルトの生成と移流を組み込んだ熱モデルで再現した.これをもとに,地殻部分溶融帯(ミグマタイト帯)が地殻内部の熱的進化や地表での火山活動に及ぼす役割について議論する.
柳井領家では,ミグマタイトは, Ikeda (1998)のカリ長石-菫青石帯(KC)帯,珪線石-カリ長石(KS)帯,ざくろ石-菫青石(GC)帯に広く分布する.前2帯では白雲母 + 石英の脱水溶融 (R1),GC帯では珪線石 + 黒雲母 + 石英の脱水溶融(R2)が進行する.柳井領家変成泥岩の全岩化学組成とPerplexを用いてR1及びR2が起こる温度圧力を求めた.シュードセクション計算結果をもとに,反応の起こる温度圧力を線形近似した.地殻の部分溶融を組み込んだ熱移流モデルのベースはMiyazaki et al. (2023)のものを用いた.また,柳井地域でのジルコン及びざくろ石の成長に複数回のパルス的成長が認められることから,地殻下底からのメルトの流入は,複数回パルス的に起こるとした.
モデル計算では,地殻の部分溶融がない場合(model-I),地殻の部分溶融がある場合(model-II),地殻の部分溶融がありそこで生じたメルトの移流を許す場合(model-III)の3通りを計算した.model-IIIでは,移流できるメルトの量は最大で5%までとした.計算の結果,model-IIとmodel-IIIは,model-Iに比べ,地殻内の温度上昇を抑える効果が顕著に表れた.地殻の部分溶融により,地殻下部から運ばれる熱が消費されるためである. model-IIIは,R1及びR2に相当する反応曲線上に,計算された温度圧力曲線が沿うような形になり, model-I及びmodel-IIとは異なった温度構造が出現した.このような温度構造は,部分溶融メルトが地殻内を移流することで出現する.Model-IIIの温度構造はKS帯の温度圧力条件を,model-Iの温度構造はGC帯の温度圧力構造をよく再現する.このような違いは,両帯における部分溶融を起こした泥質岩の量の違いを反映している可能性がある.ミグマタイト帯に多く見られる優白質花崗岩は,model-IIIの地殻部分溶融によって生じたメルト移流の証拠であると推定される.
移流メルトの蓄熱機能は,地殻内の温度の上昇と下降を抑える.この効果は,model-IIIで最も顕著に認められた.また,すべてのモデルで,地殻中-深部はメルト移流のため比較的均一な高温の状態が長く保たれる.これにより地殻浅部は典型的な高温低圧状態が達成される.計算の結果,model-IIIにおいて最も高温低圧の条件が地殻浅部で達成できた.このような高温低圧条件は,地殻浅部でのマグマチャンバーの維持を有利にする.従って,地表での火山活動の維持に貢献する.
柳井地域のGC帯及びKS帯は地殻の部分溶融が進行した地域として認識できる(Ikeda et al., submitted).同地域では周囲より温度が高い領域が直径数10kmにわたって認められる(Ikeda et al., submitted).このような領域は,圧力も周辺より高くなっている.高温領域は,メルトが変成帯の深部で長時間存在したために,浮力でドーム状に盛り上がった部分と考えることができる.領家変成帯の高温領域の大きさは,西南日本のカルデラ群を伴う白亜紀イグニンブライトの分布域の大きさにほぼ等しい.高温領域とカルデラクラスターの分布と規模の類似性は,領家変成帯の高温域が白亜紀カルデラクラスターのマグマ供給システムの根に相当する可能性を示唆している.
柳井領家では,ミグマタイトは, Ikeda (1998)のカリ長石-菫青石帯(KC)帯,珪線石-カリ長石(KS)帯,ざくろ石-菫青石(GC)帯に広く分布する.前2帯では白雲母 + 石英の脱水溶融 (R1),GC帯では珪線石 + 黒雲母 + 石英の脱水溶融(R2)が進行する.柳井領家変成泥岩の全岩化学組成とPerplexを用いてR1及びR2が起こる温度圧力を求めた.シュードセクション計算結果をもとに,反応の起こる温度圧力を線形近似した.地殻の部分溶融を組み込んだ熱移流モデルのベースはMiyazaki et al. (2023)のものを用いた.また,柳井地域でのジルコン及びざくろ石の成長に複数回のパルス的成長が認められることから,地殻下底からのメルトの流入は,複数回パルス的に起こるとした.
モデル計算では,地殻の部分溶融がない場合(model-I),地殻の部分溶融がある場合(model-II),地殻の部分溶融がありそこで生じたメルトの移流を許す場合(model-III)の3通りを計算した.model-IIIでは,移流できるメルトの量は最大で5%までとした.計算の結果,model-IIとmodel-IIIは,model-Iに比べ,地殻内の温度上昇を抑える効果が顕著に表れた.地殻の部分溶融により,地殻下部から運ばれる熱が消費されるためである. model-IIIは,R1及びR2に相当する反応曲線上に,計算された温度圧力曲線が沿うような形になり, model-I及びmodel-IIとは異なった温度構造が出現した.このような温度構造は,部分溶融メルトが地殻内を移流することで出現する.Model-IIIの温度構造はKS帯の温度圧力条件を,model-Iの温度構造はGC帯の温度圧力構造をよく再現する.このような違いは,両帯における部分溶融を起こした泥質岩の量の違いを反映している可能性がある.ミグマタイト帯に多く見られる優白質花崗岩は,model-IIIの地殻部分溶融によって生じたメルト移流の証拠であると推定される.
移流メルトの蓄熱機能は,地殻内の温度の上昇と下降を抑える.この効果は,model-IIIで最も顕著に認められた.また,すべてのモデルで,地殻中-深部はメルト移流のため比較的均一な高温の状態が長く保たれる.これにより地殻浅部は典型的な高温低圧状態が達成される.計算の結果,model-IIIにおいて最も高温低圧の条件が地殻浅部で達成できた.このような高温低圧条件は,地殻浅部でのマグマチャンバーの維持を有利にする.従って,地表での火山活動の維持に貢献する.
柳井地域のGC帯及びKS帯は地殻の部分溶融が進行した地域として認識できる(Ikeda et al., submitted).同地域では周囲より温度が高い領域が直径数10kmにわたって認められる(Ikeda et al., submitted).このような領域は,圧力も周辺より高くなっている.高温領域は,メルトが変成帯の深部で長時間存在したために,浮力でドーム状に盛り上がった部分と考えることができる.領家変成帯の高温領域の大きさは,西南日本のカルデラ群を伴う白亜紀イグニンブライトの分布域の大きさにほぼ等しい.高温領域とカルデラクラスターの分布と規模の類似性は,領家変成帯の高温域が白亜紀カルデラクラスターのマグマ供給システムの根に相当する可能性を示唆している.