11:45 〜 12:00
[SMP28-11] 中部地方新城地域三波川帯における泥質片岩の最高被熱温度と微細構造の比較
キーワード:三波川変成帯、炭質物ラマン温度計、泥質片岩
三波川帯は中央構造線に隣接した外帯側に関東から九州まで続いている低温高圧型の変成帯である.愛知県新城市南部には三波川結晶片岩と断続的に分布する御荷鉾緑色岩が分布し,三波川結晶片岩の変成度は最も低変成度の緑泥石帯である[1].三波川帯の変形機構は研究地域により解釈が異なり,三波川帯全体の構造発達史を明らかにするためには各地域の丁寧な研究を必要とする.本研究はこの地域に分布する三波川結晶片岩の中でも泥質片岩に着目し,最高被熱温度と変形機構を明らかにすることを目的とした.24個の試料について研磨薄片を偏光顕微鏡で観察した.泥質片岩の主要構成鉱物は石英,白雲母,曹長石,緑泥石,炭質物であった.16個の泥質片岩試料に対しては,炭質物のラマンスペクトルから最高被熱温度を算出する炭質物ラマン温度計[2–5]を適用した.また,走査型電子顕微鏡の電子線後方散乱回折(SEM-EBSD)によって泥質片岩中の石英,曹長石の粒径と結晶方位定向配列を測定した.結果として,炭質物ラマン温度計で算出された温度は約300〜400℃の範囲であった.研究地域に分布する緑色片岩を挟んで中央構造線側に分布する北側の泥質片岩は350–400℃程度と比較的高い温度を示すのに対し,南側に分布する泥質片岩は300–330℃程度と低温を示した.SEM-EBSD分析により,石英と曹長石はどの温度帯でも共存していることが明らかになった.本研究ではCross et al. (2017)[6]に基づき石英の再結晶粒子と残存粒子を分離した.その結果,石英の再結晶粒子平均粒径は温度によらず9〜14 µm,残存粒子の平均粒径は低温側から高温側に向かって15 µmから43 µmまで増大した.また,最大粒径は30–100 µmで最高被熱温度と正の相関を示した.共存する曹長石粒子平均粒径は低温側から高温側に向かって10 µmから25 µm,最大粒径は22 µmから144 µmまで増大した.本研究では,これらの結果をふまえて泥質片岩の微細構造の発達過程を議論する.
[引用文献]
[1]牧本 博 ほか (2004) 20万分の1地質図幅「豊橋及び伊良湖岬」産業技術総合研究所, 地質調査総合センター
[2]Beyssac, O. et al. (2002) Journal of Metamorphic Geology, 20, 859–871.
[3]Aoya, M. et al. (2010) Journal of Metamorphic Geology, 28, 895–914.
[4]Kouketsu, Y. et al. (2014) Island Arc, 23, 33–50.
[5]Kaneki, S., Kouketsu, Y. (2022) Island Arc, 31, e12467.
[6]Cross, A. J. et al. (2017) Geophysical Research Letters, 44, 6667–6674.
[引用文献]
[1]牧本 博 ほか (2004) 20万分の1地質図幅「豊橋及び伊良湖岬」産業技術総合研究所, 地質調査総合センター
[2]Beyssac, O. et al. (2002) Journal of Metamorphic Geology, 20, 859–871.
[3]Aoya, M. et al. (2010) Journal of Metamorphic Geology, 28, 895–914.
[4]Kouketsu, Y. et al. (2014) Island Arc, 23, 33–50.
[5]Kaneki, S., Kouketsu, Y. (2022) Island Arc, 31, e12467.
[6]Cross, A. J. et al. (2017) Geophysical Research Letters, 44, 6667–6674.