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[SMP28-P02] 阿武隈帯中央部に産する変成岩類の変成温度圧力条件

キーワード:阿武隈帯、ザクロ石、温度圧力条件、石英ラマン圧力計
阿武隈帯の変成岩類は、阿武隈帯南部に分布する御斉所変成岩・竹貫変成岩・日立変成岩・西堂平変成岩・玉簾変成岩に代表され、Miyashiro (1958, J. Fac. Sci. Univ. Tokyo, Sec.Ⅱ, 11, 219-272) をはじめとして現在まで数多くの研究がなされてきた。しかし、それらの北方延長にあたる阿武隈帯中央部に点在する変成岩類の岩石学的研究はほとんど行われておらず、阿武隈帯の形成史を解明する上でそれらの情報は必要不可欠である。そこで本発表では、阿武隈帯中央部に当たる山形秋田県境の神室山及び福島県大笹生地域に分布する変成岩類の変成温度圧力条件について報告し、阿武隈帯南部に分布する変成岩類との関連性について明らかにする。
神室山に分布する変成岩類は主に砂泥質の黒雲母片麻岩・ザクロ石-黒雲母片麻岩等から構成され、近傍には白亜紀と新第三紀の花崗岩類が分布している。大笹生地域に分布する変成岩類も同様に主に砂泥質の黒雲母片麻岩・ザクロ石-黒雲母片麻岩等から構成され、変成岩体近傍には白亜紀の花崗岩類が広く分布する。また、一部の変成岩中からは珪線石が見つかっている(丸山, 2020, 山形大学理学部学士論文)。
神室山のザクロ石は粒径約0.1-1.2 mmの自形結晶を形成し、その組成累帯構造は結晶周縁部においてSps成分 (XSps: 0.17-0.31)が上昇する逆累帯構造を示し、結晶内部は均質である。同様に大笹生地域のザクロ石は粒径0.1-0.7 mmの自形結晶を形成し、その組成累帯構造は結晶周縁部においてSps成分 (XSps: 0.24-0.31)が上昇する逆累帯構造を示し、結晶内部は均質である。これらの逆累帯構造はピーク変成後の後退変成作用によって形成されたと考えられる。両地域の変成岩に対してザクロ石-黒雲母交換温度計 (Ferry & Spear, 1978, CMP, 66, 113-117)を用いて変成温度圧力条件を推定した。その結果、神室山の変成岩類の変成温度はT= 631-679 ℃ (P= 2.1 kbar)と見積もられ(森ほか, 2024, 地質学会要旨, T1-P-13)、大笹生地域の変成岩類の変成温度はT= 556-634 ℃ (P= 2.1 kbar)と見積もられた。また、ザクロ石中の石英包有物に対して石英ラマン圧力計 (Enami et al., 2007, AM, 92, 1303-1315)を適用したところ、神室山の変成岩類は石英が負の残留圧力値(Δω1=-1~-5 cm-1)を示したため、圧力条件を推定することはできなかった。低圧高温型の変成岩類では負の残留圧力値を示すことがあり、本研究で推定された値もそれらと同様の結果を再現した例となった (cf. 西山・相川, 2011, JGUM, SMP046-05,纐纈ほか, 2012, JGUM, SMP46-13)。
以上の結果を阿武隈帯南部の竹貫変成岩・西堂平変成岩の変成温度圧力条件と対比する。竹貫変成岩と西堂平変成岩の変成温度圧力条件は、それぞれ約750-850 ℃, 約4.5-7 kbar (Hiroi et al., 1998, MG, 16, 67-81)、約600 ℃, 5 kbar(廣井・小林, 1996, 岩鉱, 91, 220-234)である。したがって、本研究の両地域と比較すると、神室山の変成岩類は、竹貫変成岩と西堂平変成岩の中間をとるような温度条件を示し、大笹生地域の変成岩類は、西堂平変成岩と同じような温度条件を示すことが明らかになった。なお、変成圧力条件の推定については課題が残されている。
以上より、阿武隈帯中央部に位置する神室山の変成岩類及び大笹生地域の変成岩類は阿武隈帯南部の変成岩類との関連性が示唆され、阿武隈帯南部から中央部にかけては同一の広域変成作用によって変成岩類が形成されたと推察した。
神室山に分布する変成岩類は主に砂泥質の黒雲母片麻岩・ザクロ石-黒雲母片麻岩等から構成され、近傍には白亜紀と新第三紀の花崗岩類が分布している。大笹生地域に分布する変成岩類も同様に主に砂泥質の黒雲母片麻岩・ザクロ石-黒雲母片麻岩等から構成され、変成岩体近傍には白亜紀の花崗岩類が広く分布する。また、一部の変成岩中からは珪線石が見つかっている(丸山, 2020, 山形大学理学部学士論文)。
神室山のザクロ石は粒径約0.1-1.2 mmの自形結晶を形成し、その組成累帯構造は結晶周縁部においてSps成分 (XSps: 0.17-0.31)が上昇する逆累帯構造を示し、結晶内部は均質である。同様に大笹生地域のザクロ石は粒径0.1-0.7 mmの自形結晶を形成し、その組成累帯構造は結晶周縁部においてSps成分 (XSps: 0.24-0.31)が上昇する逆累帯構造を示し、結晶内部は均質である。これらの逆累帯構造はピーク変成後の後退変成作用によって形成されたと考えられる。両地域の変成岩に対してザクロ石-黒雲母交換温度計 (Ferry & Spear, 1978, CMP, 66, 113-117)を用いて変成温度圧力条件を推定した。その結果、神室山の変成岩類の変成温度はT= 631-679 ℃ (P= 2.1 kbar)と見積もられ(森ほか, 2024, 地質学会要旨, T1-P-13)、大笹生地域の変成岩類の変成温度はT= 556-634 ℃ (P= 2.1 kbar)と見積もられた。また、ザクロ石中の石英包有物に対して石英ラマン圧力計 (Enami et al., 2007, AM, 92, 1303-1315)を適用したところ、神室山の変成岩類は石英が負の残留圧力値(Δω1=-1~-5 cm-1)を示したため、圧力条件を推定することはできなかった。低圧高温型の変成岩類では負の残留圧力値を示すことがあり、本研究で推定された値もそれらと同様の結果を再現した例となった (cf. 西山・相川, 2011, JGUM, SMP046-05,纐纈ほか, 2012, JGUM, SMP46-13)。
以上の結果を阿武隈帯南部の竹貫変成岩・西堂平変成岩の変成温度圧力条件と対比する。竹貫変成岩と西堂平変成岩の変成温度圧力条件は、それぞれ約750-850 ℃, 約4.5-7 kbar (Hiroi et al., 1998, MG, 16, 67-81)、約600 ℃, 5 kbar(廣井・小林, 1996, 岩鉱, 91, 220-234)である。したがって、本研究の両地域と比較すると、神室山の変成岩類は、竹貫変成岩と西堂平変成岩の中間をとるような温度条件を示し、大笹生地域の変成岩類は、西堂平変成岩と同じような温度条件を示すことが明らかになった。なお、変成圧力条件の推定については課題が残されている。
以上より、阿武隈帯中央部に位置する神室山の変成岩類及び大笹生地域の変成岩類は阿武隈帯南部の変成岩類との関連性が示唆され、阿武隈帯南部から中央部にかけては同一の広域変成作用によって変成岩類が形成されたと推察した。