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[SMP29-02] ソーダ沸石の圧力誘起アモルファス化への圧力媒体の影響
キーワード:ソーダ沸石、圧力誘起アモルファス化、圧力媒体、窒素
ゼオライト(沸石)は、ミクロな細孔構造を持った含水アルミノケイ酸塩であり、その特徴的な構造から水やガス分子を取り込むことができる。天然では地球や火星の表層に存在し、またイオン交換材料、触媒、吸着剤として工業的な利用も非常に重要で数多くのゼオライトが合成され、骨格構造に応じて分類されている。ゼオライトの空孔の大きさに応じた圧媒体の貫入・吸着やアモルファス化などの高圧下での圧力応答についての研究が報告されている。Natroliteは、Na2(Si3Al2)O10·2H2Oの化学式で表され、結晶構造中にSiO6とAlO6の連結によって構成される4員環(4MR)と8員環(8MR)構造をもつ。これらの員環のサイズは水、メタノール、エタノール分子、窒素分子よりも大きい。ナトリウムイオンとH2O分子は8員環の中に配列し、Na+のカチオン部分には他の陽イオンが交換可能である。先行研究では、1.5 GPaまでに可逆な圧力誘起相転移を起こしながら、より多くの水を取り込むことが知られている (Liu et al. 2010)。より高圧下では、水やメタノール-エタノール4 : 1の混合液(ME)の圧媒体を用いた場合でのアモルファス化現象が報告されているが、それらのアモルファス化圧力に食い違いがある。そこで本研究では、natroliteにおける圧力誘起アモルファス化現象における圧力媒体の影響を調べた。出発試料に天然のnatrolite、圧力媒体として水、ME、または窒素を用い、ダイヤモンドアンビルセル(DAC)を使った高圧実験を行った。ラマン分光法と放射光X線回折(XRD)法による室温高圧下その場観察を行い、加圧および減圧過程におけるnatroliteの圧縮挙動の詳細を明らかにした。
ラマン分光測定の結果から、水媒体では、加圧に伴いnatrolite中の員環構造や水のOH伸縮振動由来のラマンバンドが高波数シフトが観察された。これらのラマンシフトは17-24 GPaで顕著にブロード化し、アモルファス化が確認された。減圧過程においても結晶構造の完全な復元は見られず、不可逆的がアモルファス化が観察された。ME媒体でも、16-19 GPaでアモルファス化が起きた。この圧力値は、先行研究(Goryainov et al. 2005)で報告された7.7 GPaを大幅に超えており、OHバンドが消失するタイミングも異なっていた。XRD測定の結果からは、ME圧媒体では13 GPaでブラッグ反射が消失し、その後常圧に戻しても回復しなかった。窒素圧媒体では、水やME圧媒体とは異なる挙動が観察された。6-8 GPaで4員環構造に由来するラマンバンドに分裂がみられ、同時にOHバンドも消失した。その後アモルファス化は12 GPa付近で起きた。XRD測定では、9-10 GPa付近で111と220反射の分裂が観察された。また、14.2 GPaまでにブラッグ反射の消失を確認したが、常圧に戻すと結晶相へと戻った。
実験結果として、窒素圧媒体では、ブロード化する圧力は他の圧媒体よりも低いものの15 GPaでは完全なアモルファス化は起きておらず、natroliteの構造を保持していたことがわかった。用いた圧媒体の中で最も分子サイズの大きな窒素がnatroliteの結晶構造の歪みを引き起こし、員環構造内に弱く結合した水分子をひっ迫し、相転移やそれに伴うアモルファス化を促進させたと考えられる。したがって、圧力媒体の性質や分子サイズがnatroliteの構造変化に影響を与えていることが示唆された。Natroliteが火星表層において窒素と相互作用することで、地下環境でのnatroliteの水の保持能力にも影響が及ぶと考えられる。今後はメタンや二酸化炭素などの他のガスを用いた場合の圧縮挙動の解明に期待される。
ラマン分光測定の結果から、水媒体では、加圧に伴いnatrolite中の員環構造や水のOH伸縮振動由来のラマンバンドが高波数シフトが観察された。これらのラマンシフトは17-24 GPaで顕著にブロード化し、アモルファス化が確認された。減圧過程においても結晶構造の完全な復元は見られず、不可逆的がアモルファス化が観察された。ME媒体でも、16-19 GPaでアモルファス化が起きた。この圧力値は、先行研究(Goryainov et al. 2005)で報告された7.7 GPaを大幅に超えており、OHバンドが消失するタイミングも異なっていた。XRD測定の結果からは、ME圧媒体では13 GPaでブラッグ反射が消失し、その後常圧に戻しても回復しなかった。窒素圧媒体では、水やME圧媒体とは異なる挙動が観察された。6-8 GPaで4員環構造に由来するラマンバンドに分裂がみられ、同時にOHバンドも消失した。その後アモルファス化は12 GPa付近で起きた。XRD測定では、9-10 GPa付近で111と220反射の分裂が観察された。また、14.2 GPaまでにブラッグ反射の消失を確認したが、常圧に戻すと結晶相へと戻った。
実験結果として、窒素圧媒体では、ブロード化する圧力は他の圧媒体よりも低いものの15 GPaでは完全なアモルファス化は起きておらず、natroliteの構造を保持していたことがわかった。用いた圧媒体の中で最も分子サイズの大きな窒素がnatroliteの結晶構造の歪みを引き起こし、員環構造内に弱く結合した水分子をひっ迫し、相転移やそれに伴うアモルファス化を促進させたと考えられる。したがって、圧力媒体の性質や分子サイズがnatroliteの構造変化に影響を与えていることが示唆された。Natroliteが火星表層において窒素と相互作用することで、地下環境でのnatroliteの水の保持能力にも影響が及ぶと考えられる。今後はメタンや二酸化炭素などの他のガスを用いた場合の圧縮挙動の解明に期待される。