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[SMP29-P01] 透過型電子顕微鏡を用いた複屈折ガーネットの対称性

キーワード:ガーネット、TEM、対称性
一般的なガーネットは(Ia-3d)の空間群を持ち、光学的等方体である。その一方、天然では偏光顕微鏡下で複屈折を示すガーネットがいくつか発見されている。なかでもgrossular (Ca3Al2Si3O12)-andradite (Ca3Fe2Si3O12)固溶体の複屈折ガーネットについて、単結晶X線回折実験が行われており、その空間群はI 2/a 1 2/d (unconventional setting for Fddd)(e.g., Xu et al., 2023)やI-1(e.g., Nakamura et al., 2017)であると報告されている。また粉末X線回折実験の結果をリートベルト解析した結果としてI 1 -3 2/d (R-3c)の可能性が示唆されているサンプルも存在する(Tančić et al., 2019)。しかし、なぜサンプル毎に異なる対称性が提唱されるかについての包括的な議論は確立しておらず、組成と対称性との関係性についても判明していない。
本研究では、組成と複屈折の有無や対称性との関係を調べるため、複屈折を有する領域と有しない領域が混在している甲武信産のガーネットを、偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分析した。
偏光顕微鏡とSEM-EDS(JSM-7001F, X-Max150)の結果、複屈折を持たない領域と弱い複屈折を持つラメラ状の領域が存在していた。また、リムでは比較的高い複屈折を持ち直消光する事が分かった。複屈折を持たない領域はEDS分析においてAlのピークはほぼ認められない一方、複屈折を持つ領域はAlを含んでおり、その組成は様々で、Al/(Al+Fe)=0–0.3, 0.5–0.8であった。
TEM(JEM-2100F)を用いてAlを含まない等方体の領域から制限視野回折図形を取得したところ、一般的なガーネット(Ia-3d)が持つd映進面や41らせん軸の消滅則に反する002反射が弱いながらも確認された。このAlを含まないガーネットの空間群がIa-3dから同じ立方晶系のI 21/a -3 1(I a-3)に低下したことでd映進面や41らせん軸が消失した結果002が出現した可能性がある。一方で、シミュレーションソフトReciPro(Seto and Ohtsuka, 2022)を使用して理想的なandradite構造の動力学電子回折シミュレーションを行ったところ、Ia-3dであっても002反射が出現しうる事が確認出来る。これは高次ラウエ帯(HOLZ)の反射を介した多重回折が原因で出現していると考えられる。この弱い002反射が多重回折によるものか対称性低下にも由来するかどうか完全には特定できていない。
次に、Al/(Al+Fe) = 約1/4, 約1/2, 約2/3の領域の明視野TEM像をそれぞれ観察したところ、どの試料も回折コントラストで微細組織を示した。そうした微細組織を避けて単一領域から[1-10]制限視野回折図形やナノビーム回折図形を取得したところ、いずれの場所からも強い110反射が確認できた。また弱いながらも002反射も確認できる領域があった。この002反射も、Alを含まない領域と同様に、その由来が多重回折か対称性低下かの判断は難しく、完全には特定できていない。
Ia-3dの部分群であり中心対称性を持つ各空間群に対し、消滅則と今回の回折結果を用いて検討すると、002反射が対称性低下によって出現しており消滅則の喪失を示すものである場合、このガーネットが持つ空間群はI 41/a, I 2/a 1 2/d(Fddd), I 1 -3 (R-3),I 2/a(C 2/c),I 1 1 2/d(C 2/c), I-1のいずれかである。ここで、I 41/aの場合、光軸となる4回らせん軸が[100], [010], [001]のいずれかとなるが、本研究で用いた薄片の切断面が(001)であるため、[001]が光軸となる場合は常に消光するはずである。また、[100]または[010]が光軸となる場合は成長面である(110)と平行でないため斜消光し、本研究での観察結果の直消光であるという条件に適さない。そのため、このガーネットはI 1 -3 2/d(Fddd), I 1 -3(R-3), I 2/a (C2/c), I 1 1 2/d(C2/c),I-1のいずれかであると考えられる。
一方、002反射がHOLZの影響によって出現しており、消滅則の喪失を意味しないものである場合、I 1 -3 2/d (R-3c)やI 1 1 2/d(C 2/c)のいずれかであると考えられる。どちらも直消光であることも矛盾しない。
今回の結果から、当試料ではandraditeからAlが1at%でも含まれると複屈折を持ち、回折図形で強い110反射が出現するような低対称構造を取ることが分かった。ただし、Alの含有量の異なるサンプルを比較したが、Al/(Al+Fe) = 約1/4, 約1/2, 約2/3の領域の間で、回折図形の特徴に有意な違いは確認されなかった。
本研究では、組成と複屈折の有無や対称性との関係を調べるため、複屈折を有する領域と有しない領域が混在している甲武信産のガーネットを、偏光顕微鏡と走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて分析した。
偏光顕微鏡とSEM-EDS(JSM-7001F, X-Max150)の結果、複屈折を持たない領域と弱い複屈折を持つラメラ状の領域が存在していた。また、リムでは比較的高い複屈折を持ち直消光する事が分かった。複屈折を持たない領域はEDS分析においてAlのピークはほぼ認められない一方、複屈折を持つ領域はAlを含んでおり、その組成は様々で、Al/(Al+Fe)=0–0.3, 0.5–0.8であった。
TEM(JEM-2100F)を用いてAlを含まない等方体の領域から制限視野回折図形を取得したところ、一般的なガーネット(Ia-3d)が持つd映進面や41らせん軸の消滅則に反する002反射が弱いながらも確認された。このAlを含まないガーネットの空間群がIa-3dから同じ立方晶系のI 21/a -3 1(I a-3)に低下したことでd映進面や41らせん軸が消失した結果002が出現した可能性がある。一方で、シミュレーションソフトReciPro(Seto and Ohtsuka, 2022)を使用して理想的なandradite構造の動力学電子回折シミュレーションを行ったところ、Ia-3dであっても002反射が出現しうる事が確認出来る。これは高次ラウエ帯(HOLZ)の反射を介した多重回折が原因で出現していると考えられる。この弱い002反射が多重回折によるものか対称性低下にも由来するかどうか完全には特定できていない。
次に、Al/(Al+Fe) = 約1/4, 約1/2, 約2/3の領域の明視野TEM像をそれぞれ観察したところ、どの試料も回折コントラストで微細組織を示した。そうした微細組織を避けて単一領域から[1-10]制限視野回折図形やナノビーム回折図形を取得したところ、いずれの場所からも強い110反射が確認できた。また弱いながらも002反射も確認できる領域があった。この002反射も、Alを含まない領域と同様に、その由来が多重回折か対称性低下かの判断は難しく、完全には特定できていない。
Ia-3dの部分群であり中心対称性を持つ各空間群に対し、消滅則と今回の回折結果を用いて検討すると、002反射が対称性低下によって出現しており消滅則の喪失を示すものである場合、このガーネットが持つ空間群はI 41/a, I 2/a 1 2/d(Fddd), I 1 -3 (R-3),I 2/a(C 2/c),I 1 1 2/d(C 2/c), I-1のいずれかである。ここで、I 41/aの場合、光軸となる4回らせん軸が[100], [010], [001]のいずれかとなるが、本研究で用いた薄片の切断面が(001)であるため、[001]が光軸となる場合は常に消光するはずである。また、[100]または[010]が光軸となる場合は成長面である(110)と平行でないため斜消光し、本研究での観察結果の直消光であるという条件に適さない。そのため、このガーネットはI 1 -3 2/d(Fddd), I 1 -3(R-3), I 2/a (C2/c), I 1 1 2/d(C2/c),I-1のいずれかであると考えられる。
一方、002反射がHOLZの影響によって出現しており、消滅則の喪失を意味しないものである場合、I 1 -3 2/d (R-3c)やI 1 1 2/d(C 2/c)のいずれかであると考えられる。どちらも直消光であることも矛盾しない。
今回の結果から、当試料ではandraditeからAlが1at%でも含まれると複屈折を持ち、回折図形で強い110反射が出現するような低対称構造を取ることが分かった。ただし、Alの含有量の異なるサンプルを比較したが、Al/(Al+Fe) = 約1/4, 約1/2, 約2/3の領域の間で、回折図形の特徴に有意な違いは確認されなかった。