11:45 〜 12:00
[SSS05-11] GLISN観測網15周年 (1):観測
キーワード:グリーンランド、地震観測、氷床
グリーンランドは表面積の80%以上が氷床に覆われている.近年は地球温暖化の影響により,氷床の融解が指摘されており,融解の状況をモニタリングするための地震観測が注目されている.しかし内陸部での観測の難しさにより,2008年の時点では,周辺の島々を合わせても地震観測点は16点,うち氷床上はわずか1点という状況で,観測網の拡充が望まれていた.
こうした経緯で,2009年に「グリーンランド氷床モニタリング観測網(GreenLand Ice Sheet monitoring Network,略称GLISN)」と呼ばれる国際プロジェクトが発足した (Clinton et al., 2014).11ヶ国の国際協力で観測点の増強が進められ,現在は計34点の地震観測点が運用されている.
GLISN観測網最大の特長は,氷床上の観測点3点(DY2G,ICESG,NEEM)の新設であった (Toyokuni et al., 2014).この設置とメンテナンスは日米共同観測隊によって担われており,日本の貢献度は極めて高い.日米共同観測隊は2011年から2018年まで毎年派遣され,氷床上3点に加え露岩上の3観測点のメンテナンスにも携わってきた.氷床上の新設3点では全て,寒冷地仕様の広帯域地震計(Güralp CMG-3T)を設置し,100 Hzサンプリングで3成分地震波形を記録している.DY2GとNEEM観測点では,氷床コア掘削の竪坑を利用して,深さ300 mにボアホール地震計(Güralp CMG-3TB)も設置されている.地震計の近傍には氷床の流動や積雪を調べるためのGPSアンテナも設置された.
GLISN観測網のもう一つの特長は,データの即時公開である.衛星通信を用いることで,2014年に氷床上からの広帯域地震波形データ(20 sps)転送に初めて成功した.これにより全GLISN観測点からのデータを準リアルタイムでダウンロードできるようになった.
2019年以降はアメリカ国立科学財団(NSF)の予算縮小とコロナ禍のため氷床上の観測は停止しているが,これまで蓄積されたデータは鋭意解析されている.得られた成果については,「GLISN観測網15周年 (2):成果」(M-TT36セッション)で発表予定である.
参考文献
Clinton, J. F., Nettles, M., Walter, F., Anderson, K., Dahl-Jensen, T., Giardini, D., Govoni, A., Hanka, W., Lasocki, S., Lee, W. S., McCormack, D., Mykkeltveit, S., Stutzmann, E., Tsuboi, S. (2014) Eos, Trans. AGU, 95(2), 13–14.
Toyokuni, G., Kanao, M., Tono, Y., Himeno, T., Tsuboi, S., Childs, D., Anderson, K., Takenaka, H. (2014) Antarct. Rec., 58(1), 1–18.
こうした経緯で,2009年に「グリーンランド氷床モニタリング観測網(GreenLand Ice Sheet monitoring Network,略称GLISN)」と呼ばれる国際プロジェクトが発足した (Clinton et al., 2014).11ヶ国の国際協力で観測点の増強が進められ,現在は計34点の地震観測点が運用されている.
GLISN観測網最大の特長は,氷床上の観測点3点(DY2G,ICESG,NEEM)の新設であった (Toyokuni et al., 2014).この設置とメンテナンスは日米共同観測隊によって担われており,日本の貢献度は極めて高い.日米共同観測隊は2011年から2018年まで毎年派遣され,氷床上3点に加え露岩上の3観測点のメンテナンスにも携わってきた.氷床上の新設3点では全て,寒冷地仕様の広帯域地震計(Güralp CMG-3T)を設置し,100 Hzサンプリングで3成分地震波形を記録している.DY2GとNEEM観測点では,氷床コア掘削の竪坑を利用して,深さ300 mにボアホール地震計(Güralp CMG-3TB)も設置されている.地震計の近傍には氷床の流動や積雪を調べるためのGPSアンテナも設置された.
GLISN観測網のもう一つの特長は,データの即時公開である.衛星通信を用いることで,2014年に氷床上からの広帯域地震波形データ(20 sps)転送に初めて成功した.これにより全GLISN観測点からのデータを準リアルタイムでダウンロードできるようになった.
2019年以降はアメリカ国立科学財団(NSF)の予算縮小とコロナ禍のため氷床上の観測は停止しているが,これまで蓄積されたデータは鋭意解析されている.得られた成果については,「GLISN観測網15周年 (2):成果」(M-TT36セッション)で発表予定である.
参考文献
Clinton, J. F., Nettles, M., Walter, F., Anderson, K., Dahl-Jensen, T., Giardini, D., Govoni, A., Hanka, W., Lasocki, S., Lee, W. S., McCormack, D., Mykkeltveit, S., Stutzmann, E., Tsuboi, S. (2014) Eos, Trans. AGU, 95(2), 13–14.
Toyokuni, G., Kanao, M., Tono, Y., Himeno, T., Tsuboi, S., Childs, D., Anderson, K., Takenaka, H. (2014) Antarct. Rec., 58(1), 1–18.