日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[E] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS07] Environmental Seismology: from deep earth to surface process

2025年5月25日(日) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:Bai Ling(Institute of Tibetan Plateau Research, Chinese Academy of Sciences)、西田 究(東京大学地震研究所)、Cui Yifei(Tsinghua University)、石川 有三(国立大学法人 静岡大学 防災総合研究センター)

17:15 〜 19:15

[SSS07-P03] AELUMA法を用いた2023年10月孀婦岩周辺で発生した震源の探索

*青木 泰智1奥脇 亮1 (1.筑波大学)


地震以外の振動源として,地すべりや氷河の移動・崩壊,海洋波浪といった地震とは異なるイベントが知られている.このような地震以外のシグナルは地震のシグナルに比べて,振幅が小さく,波相の到達が不明瞭なため,ノイズの中に埋もれてしまうものが多い.そのため,通常の震源決定手法では非地震性のイベントの震源を決めるのは難しい.例えば,2023年10月8日 19時〜21時頃 (UTC) に鳥島近海で発生した一連のイベントは,伊豆・小笠原諸島や千葉県から沖縄県沿岸で津波が観測されたにもかかわらず,揺れの規模が小さいかつ観測された地震波形の波相が不明瞭なため震源決定の困難さが気象庁により指摘されている.一方,米国地質調査所 (USGS) は,関連する15個の震源とマグニチュードを決定した.また,先行研究においては,津波を引き起こしたイベントが14個存在し,それらが 20時〜21 時 30 分頃の間に断続的に発生したことを報告している.津波を引き起こしたメカニズムについては,先行研究において鳥島近海での複数の海底変動イベントが指摘されている.USGS や先行研究の決定した震源の位置や津波モデリングによる海底変動イベントの発生回数にはばらつきがある.また、このイベントで観測された地震波形を見ると,波形が小規模なことに加えて,P 波などの波相や波の立ち上がりが不明瞭である.したがって,このイベントは波の到達時刻の精密な読み取りや理論走時の仮定を要する従来手法での震源決定が困難なイベントであった可能性があり,主要なイベント前後における活動についてはさらなる検討の余地がある.

そこで本研究は, Automated Event Location Using a Mesh of Arrays (AELUMA) 法を基に,地震観測網をドロネー三角形分割によって,三つ組アレイ (隣接する 3 つの観測点で構成される三角形型の観測点配置) の集合体として再構成し,三つ組アレイの各辺の両端の観測点 (ペア) 同士での波形同士の相関を用いて,地震波形データのノイズの中から中〜長周期域に卓越する地震以外の震源に由来するシグナルを検知し,その震源の位置と時刻を地震波形同士の類似度を利用して決定するデータ駆動型の手法を開発した.開発した手法を防災科学技術研究所 (NIED) の広帯域地震観測網 F-net の2023年10月8日 (UTC) の24時間分の連続地震波形データに適用して震源の探索・決定を行い,鳥島近海で発生した一連の地震活動を解析した.また,震源探索に効果的な周期帯域を検討するために,複数の中〜長周期帯域 (10–30 s, 20–50 s, 30–60 s) のデータを用いた.

2023年10月8日 (UTC) の24時間分の連続地震波形データを対象に震源決定を実施した結果,47のイベントを検出した.このうち,地震カタログに未記載の震源を新たに27 決定した.先行研究で指摘されている震源に加えて,新たに3つの震源を鳥島近海・孀婦岩周辺で決定した.これらの震源は,先行研究で指摘されている主要なイベント発生時間帯よりも前の時刻に発生しているものを含んでいる。また,検出に用いる地震波形データの周期帯域を検討した結果,海洋波浪に起因するノイズの影響を受けにくい20–50 s の周期帯域が当該イベントの検出に効果的であることがわかった.本発表では,上記の検出結果に加えて,津波を引き起こしたイベントの前駆的な現象と考えられる3つのイベントに対して,津波を引き起こしたイベントと地震波形の類似度をもとにその検証を行う.また,鳥島近海における本イベント発生前後一ヶ月分の検出を行い,長期的な活動推移について議論する。