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[SSS08-01] 2024年陸奥湾地震域の地殻内不均質構造:スラブ脱水による流体の地震発生への影響
キーワード:地震波トモグラフィー、地殻内地震、陸奥湾、流体
2024年11月16日21時22分に陸奥湾の深さ8.0 kmでM4.6の地震が、20日15時40分にほぼ同じ震央位置の深さ10.0 kmでM5.1の地震が発生した。これらはいずれも上部地殻内で発生し、発震機構は東北東-西南西方向に圧力軸を持つ逆断層型であった。これらの地震の震央付近では、11月16日から29日までに震度1以上を観測した地震が9回発生するなど地震活動が活発であった。陸奥湾を震源とするマグニチュード5以上の地震は、1934年にマグニチュード5.5を観測して以来90年ぶりである。また、この地域の2000年以降の地震活動を確認すると、今回の地震の発生前にM3.0以上の地震は発生していない。湾内の活断層の分布に関する詳細は不明であるが、今回の地震の震央付近では、ほぼ同じ震央位置の深さ5-15 kmに鉛直方向に線状に並ぶ震源分布が特徴的である。
内陸の地殻内地震の発生には流体が関与することが知られている。これまでに日本で発生した多くの内陸地震 (例えば、1995年M7.3兵庫県南部地震、2004年M6.8新潟県中越地震、2008年M7.2岩手・宮城内陸地震など)の震源域では、地震波トモグラフィーにより、断層帯に沿う顕著な地震波低速度域がマントルウェッジ中の低速度域と連続する様子がイメージングされており、沈み込むスラブの脱水により生じた流体が内陸地震の発生に影響を与えることが示唆されている (Zhao et al., 1996; Wang & Zhao, 2006; Cheng et al., 2011)。
陸奥湾は火山フロント沿いの非火山地域で、北には恐山、南には八甲田、十和田といった活火山が位置する。また、2024年11月の陸奥湾の地震の震央から北西約20 kmの地点では、1976年に最大M4.9の群発地震が発生し、その地下では低周波地震が発生している。2024年11月の地震による被害は確認されていないが、地下にマントルウェッジ由来の流体の存在することが推察される地域であり、3次元地震波速度構造の推定が重要である。しかし、青森県周辺の内陸部の地殻構造に焦点を当てた地震波トモグラフィーの先行研究は少ない。
本研究では、2000/01 から2024/10までに青森県周辺で発生した地震の到着時刻データを用いて、深さ 200 kmまでの3次元Vp・Vs・ポワソン比構造モデルを求めた。その結果、沈み込む太平洋プレートを反映する厚さ約90 kmの高速度域や、マントルウェッジ中の上昇流を反映し、背弧域の深さ約100 kmから活火山下へ続く低速度域が明瞭にイメージングされた。また、火山フロントに沿って、マントル最上部から下部地殻にかけて連続する顕著な低速度・高ポワソン比域が見られ、上部地殻内には高速度・低ポワソン比域が見られた。これらの結果は、Zhao, Kitagawa & Toyokuni (2015)の結果と良く一致している。2024/11に多発した陸奥湾の地震は、上部地殻内の高速度域と低速度域の境界部に位置し、その下の下部地殻やマントル最上部には顕著な低速度・高ポワソン比域が存在する。2024/11の陸奥湾の地震活動は、マントルウェッジ由来の流体が上部地殻内の断層面に侵入し、高間隙水圧により断層強度が低下したことにより活発化したものである可能性がある。
内陸の地殻内地震の発生には流体が関与することが知られている。これまでに日本で発生した多くの内陸地震 (例えば、1995年M7.3兵庫県南部地震、2004年M6.8新潟県中越地震、2008年M7.2岩手・宮城内陸地震など)の震源域では、地震波トモグラフィーにより、断層帯に沿う顕著な地震波低速度域がマントルウェッジ中の低速度域と連続する様子がイメージングされており、沈み込むスラブの脱水により生じた流体が内陸地震の発生に影響を与えることが示唆されている (Zhao et al., 1996; Wang & Zhao, 2006; Cheng et al., 2011)。
陸奥湾は火山フロント沿いの非火山地域で、北には恐山、南には八甲田、十和田といった活火山が位置する。また、2024年11月の陸奥湾の地震の震央から北西約20 kmの地点では、1976年に最大M4.9の群発地震が発生し、その地下では低周波地震が発生している。2024年11月の地震による被害は確認されていないが、地下にマントルウェッジ由来の流体の存在することが推察される地域であり、3次元地震波速度構造の推定が重要である。しかし、青森県周辺の内陸部の地殻構造に焦点を当てた地震波トモグラフィーの先行研究は少ない。
本研究では、2000/01 から2024/10までに青森県周辺で発生した地震の到着時刻データを用いて、深さ 200 kmまでの3次元Vp・Vs・ポワソン比構造モデルを求めた。その結果、沈み込む太平洋プレートを反映する厚さ約90 kmの高速度域や、マントルウェッジ中の上昇流を反映し、背弧域の深さ約100 kmから活火山下へ続く低速度域が明瞭にイメージングされた。また、火山フロントに沿って、マントル最上部から下部地殻にかけて連続する顕著な低速度・高ポワソン比域が見られ、上部地殻内には高速度・低ポワソン比域が見られた。これらの結果は、Zhao, Kitagawa & Toyokuni (2015)の結果と良く一致している。2024/11に多発した陸奥湾の地震は、上部地殻内の高速度域と低速度域の境界部に位置し、その下の下部地殻やマントル最上部には顕著な低速度・高ポワソン比域が存在する。2024/11の陸奥湾の地震活動は、マントルウェッジ由来の流体が上部地殻内の断層面に侵入し、高間隙水圧により断層強度が低下したことにより活発化したものである可能性がある。