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[SSS08-02] 2024年岩手県北部の地震活動に伴うS波偏向異方性推定の時間変化
キーワード:S波偏向異方性、S波スプリッティング
S波スプリッティングは異方性媒質中においてS波が偏向異方性として分裂し, 互いに直交し速度が異なる2つの剪断波として検出される現象である. 上部地殻においては主に応力による亀裂の選択的配向によって生じ, SHmax(最大水平圧縮軸)方向に平行な異方性を示す. ただし断層帯や火山の近傍においては広域応力場と異なる方向の異方性が見られる場合もあり, 断層平行のフラクチャや局所応力場, 流体の上昇経路などを反映していると推測される(Boness and Zoback, 2006 ; Johnson et al., 2011 ). S波スプリッティングを用いた応力場や地殻構造の推定の利点として, 震源と観測点1ペアからデータを得ることができるため観測点の少ない領域や検知できる観測点数が少ない微小地震に対しても有効であること, 地震の発生間隔がそのまま時間分解能となるので異方性の時間変化を追うことに適していることが挙げられる. 加えてS波スプリッティングのパラメータには周波数依存性が見られることも知られており, 地殻内の微小亀裂の幅や異方性媒質の規模が原因であると考えられている.
岩手県内陸北部では2024年7月19日にMw 4.0, 28日にMw 4.2の地震が地殻上部内で発生し, それに伴いM1-2程度の地震が余震や近傍の地震活動として100個近く検出されるなど地震活動の活発化が見られた. 本解析では同領域にて2024年7月後半に得られた気象庁一元化震源に基づく地震波形データを利用し, MFAST(Multiple Filter Automatic Splitting Technique, Savage et al., 2010)を用いてS波スプリッティングの パラメータを測定した. 同アルゴリズムのフィルタと時間窓の調整を行うことで, 周波数依存性を検討した. また2つのM4地震の震源近傍で発生したM1-2程度の微小な地震も検証に加えることで詳細な時間変化を検証した.
周波数依存性の検討によると, 低周波帯ではS波の高速成分の振動方向 φ(異方性の方向)がある程度均質化かつ遅延時間 δt (異方性の大きさ)が長く, 対して高周波帯では φが不均質であり δtが短い傾向にあった. これは波長の違いにより, それぞれ波線経路上の平均的な異方性と局所的な異方性をそれぞれ反映しているとみられる. また異方性の時間変化については特に高周波帯で顕著に見られた. 7月19日のMw 4.0地震直後に発生した余震と比較し, Mw4.2地震が発生した28日前後の地震からはSHmax方向に平行な異方性の割合が減少し, かつ断層平行の異方性の割合が増加する結果となった. 特に断層平行の異方性については遅延時間の増加も顕著に見られた. プリッティングのパラメータについて, 周波数依存性を考慮して詳細な時間変化を検証することで, 局所応力場および断層の破壊過程を従来よりも高い時間分解能で推測することが期待できる.
1995年兵庫県南部地震(Tadokoro et al., 1999)などにおいては地震活動に伴って応力が解放され, 断層平行のフラクチャが生じる場合が報告されているが, 本研究で見られた異方性の時間変化は そうした地殻内の応力場や構造の変化に整合的である. S波スプリッティングのパラメータについて, 周波数依存性を考慮して詳細な時間変化を検証することで, 局所応力場および断層の破壊過程を従来よりも高い時間分解能で推測することが期待できる.
岩手県内陸北部では2024年7月19日にMw 4.0, 28日にMw 4.2の地震が地殻上部内で発生し, それに伴いM1-2程度の地震が余震や近傍の地震活動として100個近く検出されるなど地震活動の活発化が見られた. 本解析では同領域にて2024年7月後半に得られた気象庁一元化震源に基づく地震波形データを利用し, MFAST(Multiple Filter Automatic Splitting Technique, Savage et al., 2010)を用いてS波スプリッティングの パラメータを測定した. 同アルゴリズムのフィルタと時間窓の調整を行うことで, 周波数依存性を検討した. また2つのM4地震の震源近傍で発生したM1-2程度の微小な地震も検証に加えることで詳細な時間変化を検証した.
周波数依存性の検討によると, 低周波帯ではS波の高速成分の振動方向 φ(異方性の方向)がある程度均質化かつ遅延時間 δt (異方性の大きさ)が長く, 対して高周波帯では φが不均質であり δtが短い傾向にあった. これは波長の違いにより, それぞれ波線経路上の平均的な異方性と局所的な異方性をそれぞれ反映しているとみられる. また異方性の時間変化については特に高周波帯で顕著に見られた. 7月19日のMw 4.0地震直後に発生した余震と比較し, Mw4.2地震が発生した28日前後の地震からはSHmax方向に平行な異方性の割合が減少し, かつ断層平行の異方性の割合が増加する結果となった. 特に断層平行の異方性については遅延時間の増加も顕著に見られた. プリッティングのパラメータについて, 周波数依存性を考慮して詳細な時間変化を検証することで, 局所応力場および断層の破壊過程を従来よりも高い時間分解能で推測することが期待できる.
1995年兵庫県南部地震(Tadokoro et al., 1999)などにおいては地震活動に伴って応力が解放され, 断層平行のフラクチャが生じる場合が報告されているが, 本研究で見られた異方性の時間変化は そうした地殻内の応力場や構造の変化に整合的である. S波スプリッティングのパラメータについて, 周波数依存性を考慮して詳細な時間変化を検証することで, 局所応力場および断層の破壊過程を従来よりも高い時間分解能で推測することが期待できる.