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[SSS08-03] 3次元地震波速度構造に基づく霧島火山のマグマ供給過程
キーワード:マグマ供給系、地震波速度トモグラフィー、霧島火山
九州南部に位置する霧島火山は20あまりの火山からなる第四紀の複合火山である。霧島新燃岳では2011年1月に準プリニー式噴火が発生し、2017年から2018年にかけて再びマグマ噴火が発生、また2018年4月には霧島硫黄山で水蒸気噴火が観測されるなど近年活発な火山活動が続いている。霧島火山でのマグマ供給過程を理解するうえで、火山内部の地殻構造を推定することが重要となる。本研究では、火山深部から浅部にかけてのマグマ供給経路についての理解を進めるため、自然地震を用いた3次元速度トモグラフィーを実施し、火山内部深さ20km以浅の地震波速度構造の推定を行った。行竹ほか(2024、地震学会)では、2011年1月末から2017年末までに霧島火山およびその周辺地域で発生した地震を用いた予備解析結果を報告したが、本発表ではさらに対象地域での解像度を改善するために2021年以降の地震データも新たに追加して解析を行った。東京大学地震研究所、九州大学、気象庁、防災科学技術研究所により設置された124点の定常地震観測点データに加えて、京都大学及び九州大学により霧島火山北部域及び西部にそれぞれ設置された機動地震観測点における地震波形データを使用した。気象庁一元地震カタログおよび気象庁火山地震カタログの発震時刻を基準に、波形記録を切り出し、P波およびS波の到達時刻をPhaseNet (Zhu and Beroza 2019)コードを用いて読み取りを行い、さらに利用できる観測点は気象庁一元化カタログの手動検測値も使用した。3次元速度構造の推定にはDouble-differenceトモグラフィー法 (Zhang and Thurber, 2003)を用いた。初期構造として三ヶ田 (1996)による霧島火山地域の1次元速度構造を用いた。霧島火山地域で水平方向に4km間隔、深さ20kmまでは鉛直方向に3km間隔のグリッドを設定した。チェッカーボードテストの結果、データの追加により行竹ほか(2024)と比較し、特に霧島火山下深さ10~20km付近までの解像度が改善されたことを確認した。推定された速度構造では、韓国岳から新燃岳にかけての領域の下深さ6kmにLow Vp、Low Vs、High Vp/Vs領域が検出され、マグマたまりの存在を示唆している。この結果は岩石学的解析による新燃岳下珪長質マグマ溜りのモデル(Suzuki et al., 2013)とも整合する。御鉢の下深さ20km付近の深部低周波地震発生域付近では、Low Vs及びHigh Vp/Vsの領域が推定され、火山深部におけるマグマ溜りの存在を示唆する。これらの低速度域に挟まれる深さ10km~15kmにかけては、Low Vp及びLow Vp/Vsの領域が推定された。この速度構造については、この領域にガスで満たされたクラックが高い密度で存在している場であると解釈できる。一方、この領域は表面波トモグラフィー解析により強いRadial anisotropy (VSV < VSH)が推定され、シル状マグマの存在が示唆されている(Nagaoka et al., 2020)ため、このような異方性媒質に斜め下方向からの地震波が卓越して入射することにより、見かけ上Vp/Vsが低く推定される可能性もある (Wang et al., 2012)。今後は推定された構造に対するレゾリューション評価を進めるとともに、速度構造に対する解釈をさらに進展させる。
謝辞
本研究では、東京大学地震研究所、京都大学、九州大学、防災科学技術研究所、気象庁の地震観測点のデータを使用しました。気象庁一元一元化震源カタログおよび火山地震カタログを使用しました。本研究はJSPS科研費22K03752及び文部科学省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」の助成を受けたものです。
謝辞
本研究では、東京大学地震研究所、京都大学、九州大学、防災科学技術研究所、気象庁の地震観測点のデータを使用しました。気象庁一元一元化震源カタログおよび火山地震カタログを使用しました。本研究はJSPS科研費22K03752及び文部科学省「次世代火山研究・人材育成総合プロジェクト」の助成を受けたものです。