17:15 〜 19:15
[SSS09-P10] 深発およびやや深発地震に伴うsP波の震源位置依存性とその要因

キーワード:深発地震、sP波、反射、変換
深発地震では様々な変換波が明瞭に現れることが知られている。変換波は直逹波よりも長い距離を伝播し、震源の深さから地表までの多くの情報を伝えることが期待される。本研究では、震源から上向きに放射されたS波が地表でP波に変換されたsP波に着目する。深発地震のsP波は極めて顕著に見られる事がある一方、同程度の震源深さと震央距離においても、レコードセクション上で視認できないほど振幅が小さいことがある。そこで、本研究では日本周辺の数多くの深発地震に対して、日本列島全体の広帯域観測点におけるsP波の観測記録の特徴を整理した。
本研究では東経123度から150度、北緯25度から50度で発生する深発およびやや深発地震を調査した。上記緯度経度範囲内で、2004年4月から2023年3月までの期間に発生した震源深さが100 km以深かつマグニチュードが5以上の地震を解析対象とした。これらの地震は、北日本においては千島海溝、本州南部においては伊豆・小笠原海溝にそれぞれほぼ並行な直線的な分布を示す。なお、千島海溝の北部には深さ約100 km付近と200 km以深の2列の深発地震分布が見られる。これらの地震に対して、広帯域地震観測網F-net全観測点の上下動成分の地震波形を利用した。周波数0.05-0.8 Hzの中の複数の帯域におけるレコードセクションを作成し、幅広い震央距離範囲でiasp91モデルで得られるsP波理論走時の5秒前から15秒間の時間窓に連続的に相が観測されたとき、それをsP波が観測されたと認定した。P波到来前のノイズ部分およびS波部分の振幅とも比較しつつ、各地震イベントに対してsP波の有無を目視で確認した。
その結果、sP波の有無には震源位置に関する強い地域性があることが明らかになった。北日本の北東沖合の震源深さ200 km以深、および南西諸島周辺を震源とする場合にのみ、sP波が明瞭であった。その他の日本海から小笠原諸島まで直線上に分布している深発地震や千島海溝に沿って発生する深さ100 km程度のやや深発地震に対しては、sP波が確認できなかった。
この地域性を示す要因について検討を進めている。まず、2次元P-SV地震波動伝播数値シミュレーションによって、成層構造におけるsP波の形成とその性状を調査した。震源のラディエーションパターンの影響を最小化するため、震源においてトルク状の力源を与えることにより等方S波を放射させ、さまざまな距離におけるsP波の性状を調査した。その結果、1次元地震波速度構造では震源の深さによらず明瞭なsP波が確認できた。しかし、地表におけるsP波の振幅の大きさは常にS波に比べて非常に小さく、観測波形とは大きくその特徴が異なった。次に、ダブルカップル型震源を仮定した数値シミュレーションも実施し、震源のdip角を変化させつつ震央距離が2500 kmまでのsP波の有無を調べた。その結果、震源深さが600 km以浅かつdip角が約10度のとき、地表におけるsP波の振幅の大きさが観測点位置によらず非常に小さくなった。
数値シミュレーションの結果とsP波の波線追跡結果から、sP波が観測されない理由の可能性の一つとして、S波の放射パターンが挙げられる。一般に、直逹波の場合は震央距離によって震源からの地震波放射角度が異なるため、空間一様な振幅の大小を震源メカニズムで説明することは難しい。しかし、波線追跡の結果から、地表で変換反射するsP波の地震波放射角は、幅広い震央距離範囲において互いに非常に近しいものであった。したがって、もし震源から放射されるS波振幅の小さい方向とsP波の波線経路が一致していた場合、広い範囲でsP波が観測されなくなる可能性はある。しかし、これはあくまでも2次元深さ断面に基づく考察であり、実際に観測されたsP波の有無は、今後3次元的の波線追跡ならびに数値シミュレーションを通じて検証していく必要があるだろう。
本研究では東経123度から150度、北緯25度から50度で発生する深発およびやや深発地震を調査した。上記緯度経度範囲内で、2004年4月から2023年3月までの期間に発生した震源深さが100 km以深かつマグニチュードが5以上の地震を解析対象とした。これらの地震は、北日本においては千島海溝、本州南部においては伊豆・小笠原海溝にそれぞれほぼ並行な直線的な分布を示す。なお、千島海溝の北部には深さ約100 km付近と200 km以深の2列の深発地震分布が見られる。これらの地震に対して、広帯域地震観測網F-net全観測点の上下動成分の地震波形を利用した。周波数0.05-0.8 Hzの中の複数の帯域におけるレコードセクションを作成し、幅広い震央距離範囲でiasp91モデルで得られるsP波理論走時の5秒前から15秒間の時間窓に連続的に相が観測されたとき、それをsP波が観測されたと認定した。P波到来前のノイズ部分およびS波部分の振幅とも比較しつつ、各地震イベントに対してsP波の有無を目視で確認した。
その結果、sP波の有無には震源位置に関する強い地域性があることが明らかになった。北日本の北東沖合の震源深さ200 km以深、および南西諸島周辺を震源とする場合にのみ、sP波が明瞭であった。その他の日本海から小笠原諸島まで直線上に分布している深発地震や千島海溝に沿って発生する深さ100 km程度のやや深発地震に対しては、sP波が確認できなかった。
この地域性を示す要因について検討を進めている。まず、2次元P-SV地震波動伝播数値シミュレーションによって、成層構造におけるsP波の形成とその性状を調査した。震源のラディエーションパターンの影響を最小化するため、震源においてトルク状の力源を与えることにより等方S波を放射させ、さまざまな距離におけるsP波の性状を調査した。その結果、1次元地震波速度構造では震源の深さによらず明瞭なsP波が確認できた。しかし、地表におけるsP波の振幅の大きさは常にS波に比べて非常に小さく、観測波形とは大きくその特徴が異なった。次に、ダブルカップル型震源を仮定した数値シミュレーションも実施し、震源のdip角を変化させつつ震央距離が2500 kmまでのsP波の有無を調べた。その結果、震源深さが600 km以浅かつdip角が約10度のとき、地表におけるsP波の振幅の大きさが観測点位置によらず非常に小さくなった。
数値シミュレーションの結果とsP波の波線追跡結果から、sP波が観測されない理由の可能性の一つとして、S波の放射パターンが挙げられる。一般に、直逹波の場合は震央距離によって震源からの地震波放射角度が異なるため、空間一様な振幅の大小を震源メカニズムで説明することは難しい。しかし、波線追跡の結果から、地表で変換反射するsP波の地震波放射角は、幅広い震央距離範囲において互いに非常に近しいものであった。したがって、もし震源から放射されるS波振幅の小さい方向とsP波の波線経路が一致していた場合、広い範囲でsP波が観測されなくなる可能性はある。しかし、これはあくまでも2次元深さ断面に基づく考察であり、実際に観測されたsP波の有無は、今後3次元的の波線追跡ならびに数値シミュレーションを通じて検証していく必要があるだろう。
