09:45 〜 10:00
[SSS10-08] 日本列島内陸の地殻応力変動
キーワード:地殻応力変動、日本列島、内陸、発震機構解
応力は地震の駆動力そのものであるため、将来発生する地震の最大規模や一定期間内の発生確率の精度向上のための基礎情報として非常に重要である。日本列島の応力場は、松田ほか(1978)が第四紀火山の構造や活断層の運動センスから応力軌跡図として提示したのを皮切りに、地震の発震機構解が蓄積されるにつれて精緻化され、応力マップとしてまとめられてきた(Townend and Zoback, 2006; Terakawa and Matsu’ura, 2010; Yukutake et al., 2015; Uchide et al., 2022)。このような研究により、応力場の空間分布が明らかになり、プレート相対運動に起因する広域応力場から局所的にずれた場になっている領域も存在することがわかってきた。一方、時間変化については、大きな応力変化を伴う大地震前後に確認されることはあるが(例えば, Hardebeck and Okada, 2018)、それ以外の期間における微小な時間変化の検出には至っていないのが現状である。活断層の応力載荷機構を明らかにするためには、応力場の微小な時間変動も同様に知る必要がある。
そこで本研究では、Terakawa et al. (2015)、Imanishi and Noda (in preparation)に従い、地震のすべり角と基準応力場から計算されるすべり角の角度差(ミスフィット角)の時間変化を追跡する方法を採用する。通常、地震は基準応力場に調和的な姿勢を持つクラックで発生するため、ミスフィット角は小さい値になると考えられる。しかし、大地震やゆっくりすべり、流体の注入など、基準応力場を乱す現象が発生すると、これまでとは異なる姿勢を持つクラックが動きやすくなるため、ミスフィット角は大きくなることが予想される。したがって、ミスフィット角の時空間平均を求めることで、応力場の変動を可視化できる。本研究では、Uchide et al. (2022)で推定された0.2°グリッドの応力場を基準応力場とし、発震機構解には気象庁一元化カタログ、JUNECカタログ(Ishibe et al., 2014)、Uchide et al. (2022)のカタログを統合したものを使用して、1985年から2022年までの40年弱の期間の変動場を推定した。
推定結果を概観すると、年オーダーの周期変動を伴う領域が多く見られることがわかった。今後詳細な分析が必要であるが、春の雪解けや秋の降水量増加に伴う地震活動の季節変動(例えば,Heki, 2003; Ueda and Kato, 2019)との関連が示唆される。また、大きなミスフィット角(50°以上)が現れる領域は、数10kmの空間スケールを持ちながら、スポット的に存在していることも確認できた。これらの領域はスラブ起源深部流体の分布域(風早ほか, 2015)に多く見られる傾向があることから、深部から間欠的に高間隙水圧が注入されるタイミングに合わせて、通常とは異なる姿勢を持つクラックでの破壊が生じている可能性がある。さらに、断層帯に沿ってミスフィット角が大きくなるケースも時折見られた。これは、ゆっくりすべりにより断層帯の固着が剥がれ、周囲の応力場が局所的に乱れた結果と解釈できる。地殻変動観測により活断層の固着の剥がれを検出するのは難しいと考えられるが、高い時空間分解能を持つ地震データを用いることで、検出できるようになる可能性がある。また、M6以上の地震が発生する前のミスフィット角に着目すると、全期間平均より小さい傾向があり、本手法は大地震が発生しやすい時期の絞り込みに役立つ可能性がある。
謝辞:本研究では、気象庁一元化震源カタログ、JUNECカタログ(Ishibe et al., 2014)を利用しました。
そこで本研究では、Terakawa et al. (2015)、Imanishi and Noda (in preparation)に従い、地震のすべり角と基準応力場から計算されるすべり角の角度差(ミスフィット角)の時間変化を追跡する方法を採用する。通常、地震は基準応力場に調和的な姿勢を持つクラックで発生するため、ミスフィット角は小さい値になると考えられる。しかし、大地震やゆっくりすべり、流体の注入など、基準応力場を乱す現象が発生すると、これまでとは異なる姿勢を持つクラックが動きやすくなるため、ミスフィット角は大きくなることが予想される。したがって、ミスフィット角の時空間平均を求めることで、応力場の変動を可視化できる。本研究では、Uchide et al. (2022)で推定された0.2°グリッドの応力場を基準応力場とし、発震機構解には気象庁一元化カタログ、JUNECカタログ(Ishibe et al., 2014)、Uchide et al. (2022)のカタログを統合したものを使用して、1985年から2022年までの40年弱の期間の変動場を推定した。
推定結果を概観すると、年オーダーの周期変動を伴う領域が多く見られることがわかった。今後詳細な分析が必要であるが、春の雪解けや秋の降水量増加に伴う地震活動の季節変動(例えば,Heki, 2003; Ueda and Kato, 2019)との関連が示唆される。また、大きなミスフィット角(50°以上)が現れる領域は、数10kmの空間スケールを持ちながら、スポット的に存在していることも確認できた。これらの領域はスラブ起源深部流体の分布域(風早ほか, 2015)に多く見られる傾向があることから、深部から間欠的に高間隙水圧が注入されるタイミングに合わせて、通常とは異なる姿勢を持つクラックでの破壊が生じている可能性がある。さらに、断層帯に沿ってミスフィット角が大きくなるケースも時折見られた。これは、ゆっくりすべりにより断層帯の固着が剥がれ、周囲の応力場が局所的に乱れた結果と解釈できる。地殻変動観測により活断層の固着の剥がれを検出するのは難しいと考えられるが、高い時空間分解能を持つ地震データを用いることで、検出できるようになる可能性がある。また、M6以上の地震が発生する前のミスフィット角に着目すると、全期間平均より小さい傾向があり、本手法は大地震が発生しやすい時期の絞り込みに役立つ可能性がある。
謝辞:本研究では、気象庁一元化震源カタログ、JUNECカタログ(Ishibe et al., 2014)を利用しました。