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[SSS10-10] 摩擦の基本力学法則からの法線応力変調下の速度状態依存摩擦則の再構築
キーワード:摩擦則、法線応力依存性、破壊力学
摩擦破壊の特質は、Amontons and Coulomb が規定した3つの規則に集約される: (C-I) 摩擦滑りとは閾値強度を超える応力載荷によって開始する降伏現象の型であり、摩擦強度は (C-II) 降伏に伴って直ちに静的レベルから動的レベルへと降下し、また (C-III) 法線応力に比例する。それゆえ、問題は、降伏時の加速度発散、破壊先端の応力発散、そして無限小の臨界核形成長といった力学的アーティファクトを帰結する、C-I–III の内在的欠陥である。C-II は臨界滑り弱化距離の存在によって補正され、C-I は速度状態依存摩擦 (RSF) 則以来の滑り速度の直接効果によって補正されたが、C-III を補正すべき実験室の挙動は定量的には捉えどころがない。C-III の精密化の困難に動機づけられて、本研究は、定量的に精密化しうる C-I–III のエッセンスだけから摩擦運動の公式を組み上げる。導出で仮定するのは、真実接触面積に比例して強度が変わるという凝着仮説と、これを踏襲した直接効果の rate theoryのふたつだけである。これらに整合的な energetics を組み立てると、定常状態近傍で有効な強度の時間発展の挙動は殆ど決まってしまうことを我々は見出した。その関数形は、Griffith 理論を経由して演繹され、RSF における slip law と法線応力変動への線形応答の和であり、速度ステップおよび微小法線応力ステップ時の摩擦応力の実験的挙動に合致する。しかし、この合致は、C-I–III の実験的精密化の大部分が、定常状態近傍でしか有効ではないことも示唆する。そこで、C-I–III で見落とされていた、法線応力の値によらず確認されている (C-IV) 低応力時の強度の時間回復を再現対象に加えて演繹を繰り返すと、実験室ですでに精査されている変数域での摩擦の挙動はかなり拘束できることが明らかになった: 一般に、slip rate と frictional state と normal stress derivatives の即時値で強度の発展関数が記述されると仮定する限り、direct effect の rate-theory が正しければ、C-III の精密化を阻んでいた、正の大法線応力ステップ時の急速な強度回復は、aging でしかありえない。