14:45 〜 15:00
[SSS10-21] ICDP Dseis計画:地下3㎞の地震発生帯から回収された超塩基性ダイクの弾性波速度と変質の空間変化

キーワード:ICDP、DSeis、地震発生場、弾性波速度、Vp
2014年に、南アフリカMoab Khotsong金鉱山の真下で発生したM5.5地震(オークニー地震)による断層破壊域は深さ3.5~7 km (West Rand層群のほぼすべての深度範囲)に及び、その上縁部は鉱山の最深部の坑道から数百m下に位置していた。その後、2017- 2018年にICDP;DSeisでは地下2.9kmの坑道からHole A, B, C を掘削し、オークニー地震による断層破壊域上縁部とその周囲の総延長1.6 kmのコアサンプル回収と孔内検層に成功した(Ogasawara et al., 2019; Nkosi et al., 2022)。
West Rand層群は、オークニー地震の本震及び余震による破壊域であり、鉱山の位置するWitwatersrand盆地を構成する層序のうち、主にWitwatersrand超層群(2.8-2.9Ga)の下部に分類され、その大部分は砂泥性の海洋堆積物の変成岩で構成されている。これらの岩石密度やP波速度は、日本列島上部地殻のもの(密度2.7g/cm3、 P波速度約6km/s)と同程度であり、中には密度と弾性波速度が下部地殻並に大きい火成貫入岩も散見された。これらの貫入岩は、少なくとも3世代の火成活動を経験し、特に約27億年前の地溝帯形成後には、West Rand層群が日本列島の上部地殻底部に近い温度圧力下での変成変質を経験したことが示唆されており、その後の隆起・浸食に伴い、現在では地下3kmにこれらの貫入岩が分布している。それに加え、隆起中において、例えばオフィオライトや地表付近に持ち上げられた沈み込み帯で見られる大規模なテクトニック変形による攪乱や、地表付近の影響も大きく受けていないことから、本研究で使用した試料は、地下大深度の地震発生場における、変成変質と地震発生の関係を考察する際に非常に有利である。
Fujita et al. (2022 JpGU)では、回収された試料を用いてVp測定を行い、余震をホストするダイク内の数cm間隔で得られたVpの空間変化を密度、帯磁率、CT値と比較した予察的結果を報告した。本研究では、さらに孔内速度検層と、ダイクの変質についてより詳細な比較を行った。
測定は、断層ガウジとコアロスゾーンとの交差が確認されたHole BとCから回収されたコア試料について行われ、ほぼ平行に貫入する2つの異なるダイクを含む計5m分の試料を使用した。一つは変成堆積岩を母岩とする余震のないマフィックなダイクで、もう一つは玄武岩質安山岩溶岩層を母岩とする余震の多いランプロファイアダイクである。多くの余震をホストしたランプロファイアダイク内では、コアロスゾーンに向かって速度が低下していることが確認され、これはHole BとCに共通している。それぞれ2m程度の区間で、密度は3.0g/cm3程度でほぼ一定のまま、Vpは 6.0km/sから5.0km/s以下まで変化し、密度の変化に比べ、Vpの1km/s以上の低下が顕著な特徴だった。一方、変成堆積岩に貫入したマフィックダイク内では、密度とVpが3.0g/cm3と6.5km/sで、Vpの大きな変化は観察されなかったが、周囲の母岩とは明確に異なっていた。速度低下が顕著にみられるコアピース内での蛍光X線元素マップ(数十μm分解能;Tornado)により、ランプロファイアダイク内での変質の空間変化を連続的に捉えることにも成功した。Ogasawara et al. (2024)では、上部マントル物質の部分溶融した岩石がダイクとして貫入している示唆も得られた。本研究では、これらの成果の詳細について報告する。
謝辞:本研究は、日本、南アフリカ、アメリカ、スイス、ドイツ、インド、オーストラリアなどの地震学・地質学・地球微生物学・岩盤力学・鉱山工学の研究者からなるDSeisチームの活動成果であり、ICDP、JSPS、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)、アメリカNSF、南アフリカNRF、ドイツDFG、立命館大学、高知大学海洋コア国際研究所、東北大学などの支援を受けました。
West Rand層群は、オークニー地震の本震及び余震による破壊域であり、鉱山の位置するWitwatersrand盆地を構成する層序のうち、主にWitwatersrand超層群(2.8-2.9Ga)の下部に分類され、その大部分は砂泥性の海洋堆積物の変成岩で構成されている。これらの岩石密度やP波速度は、日本列島上部地殻のもの(密度2.7g/cm3、 P波速度約6km/s)と同程度であり、中には密度と弾性波速度が下部地殻並に大きい火成貫入岩も散見された。これらの貫入岩は、少なくとも3世代の火成活動を経験し、特に約27億年前の地溝帯形成後には、West Rand層群が日本列島の上部地殻底部に近い温度圧力下での変成変質を経験したことが示唆されており、その後の隆起・浸食に伴い、現在では地下3kmにこれらの貫入岩が分布している。それに加え、隆起中において、例えばオフィオライトや地表付近に持ち上げられた沈み込み帯で見られる大規模なテクトニック変形による攪乱や、地表付近の影響も大きく受けていないことから、本研究で使用した試料は、地下大深度の地震発生場における、変成変質と地震発生の関係を考察する際に非常に有利である。
Fujita et al. (2022 JpGU)では、回収された試料を用いてVp測定を行い、余震をホストするダイク内の数cm間隔で得られたVpの空間変化を密度、帯磁率、CT値と比較した予察的結果を報告した。本研究では、さらに孔内速度検層と、ダイクの変質についてより詳細な比較を行った。
測定は、断層ガウジとコアロスゾーンとの交差が確認されたHole BとCから回収されたコア試料について行われ、ほぼ平行に貫入する2つの異なるダイクを含む計5m分の試料を使用した。一つは変成堆積岩を母岩とする余震のないマフィックなダイクで、もう一つは玄武岩質安山岩溶岩層を母岩とする余震の多いランプロファイアダイクである。多くの余震をホストしたランプロファイアダイク内では、コアロスゾーンに向かって速度が低下していることが確認され、これはHole BとCに共通している。それぞれ2m程度の区間で、密度は3.0g/cm3程度でほぼ一定のまま、Vpは 6.0km/sから5.0km/s以下まで変化し、密度の変化に比べ、Vpの1km/s以上の低下が顕著な特徴だった。一方、変成堆積岩に貫入したマフィックダイク内では、密度とVpが3.0g/cm3と6.5km/sで、Vpの大きな変化は観察されなかったが、周囲の母岩とは明確に異なっていた。速度低下が顕著にみられるコアピース内での蛍光X線元素マップ(数十μm分解能;Tornado)により、ランプロファイアダイク内での変質の空間変化を連続的に捉えることにも成功した。Ogasawara et al. (2024)では、上部マントル物質の部分溶融した岩石がダイクとして貫入している示唆も得られた。本研究では、これらの成果の詳細について報告する。
謝辞:本研究は、日本、南アフリカ、アメリカ、スイス、ドイツ、インド、オーストラリアなどの地震学・地質学・地球微生物学・岩盤力学・鉱山工学の研究者からなるDSeisチームの活動成果であり、ICDP、JSPS、災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)、アメリカNSF、南アフリカNRF、ドイツDFG、立命館大学、高知大学海洋コア国際研究所、東北大学などの支援を受けました。