日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS10] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:柴田 律也(防災科学技術研究所)、澤井 みち代(千葉大学)、奥田 花也(海洋研究開発機構 高知コア研究所)、津田 健一(清水建設 株式会社 技術研究所)

17:15 〜 19:15

[SSS10-P12] ハイレートGNSSデータの変曲点解析に基づく2011年・2013-2014年・2018年・2024年の房総スロースリップイベント高解像度推定

*三井 雄太1新井 璃子1渡邉 栞1,2 (1.静岡大学、2.筑波大学(現所属))

キーワード:スロースリップイベント、房総半島、すべり分布、変曲点解析

先行研究(Fukuda, 2018)では、1996年から2014年にかけての1日解のGlobal Navigation Satellite System (GNSS)データを用いて、ネットワークインバージョンフィルターに基づくインバージョン解析から、房総半島沖スロースリップイベント(SSE)の核生成パターンが一定ではないことを示した。たとえば、2011年SSEと2013-2014年SSEでは、前者は核生成が高速で、後者はゆっくりと始まったことを示している。

 本研究では、このようなSSEの多様性に着目する。5分サンプリングの精密単独測位解(Nevada Geodetic LaboratoryのハイレートGNSS)を用いて、2011年・2013-2014年・2018年・2024年の4回の房総SSEの詳細な時空間発展を推定する。ハイレートGNSSの時間分解能を活かすため、Taylor & Letham (2017)のスパースモデリングに基づく変曲点解析を採用し、各SSEの開始・成長・終了について、各観測点の時系列データから特徴を抽出する。その後、断層すべりの事前分布として馬蹄分布(Carvalho et al., 2009)を導入したハミルトニアンモンテカルロ法に基づき、局所的に大きいすべりが生じることを許しながら、すべり分布の時空間発展の推定を行う。時間分解能はイベントによって多少異なるが、おおむね20時間程度とする。

 結果として、4回のSSEの特徴づけに成功した。2011年SSEは、「最も陸側で発生し」「比較的単純にup-dip方向に伝播し」「開始が終了より急激な」イベントだった。2013-2014年SSEは、「2011年SSEと住み分けた沖合側で生じ」「あまり伝播せず規模が小さい」イベントだった。2018年SSEは、「2013-2014年SSEと同様の位置から始まって2011年SSEの発生域の一部もすべらせ」「終盤は向きを変えて沖合側に伝播し」「終了が開始より急激な」イベントだった。2024年SSEは「2013-2014年SSEと似た位置で生じたがより規模の大きな」イベントだった。

 広い意味では「繰り返すSSE」であっても、各回のイベントの多様性は小さくないことが示唆された。地震と異なり、SSEにおける動的破壊の効果は僅少なはずなので、例えば10 kmスケール以下の(準)静的な摩擦不均質が重要な役割を果たしていると考えられる。