17:15 〜 19:15
[SSS10-P14] 2000年鳥取県西部地震余震域に分布する含方解石カタクレーサイトと非ダブルカップル型地震
キーワード:断層岩、引張せん断、地殻流体、鉱物脈
一般に,断層の破壊は,破壊面に平行な剪断であるモードII(もしくはモードIII)破壊である.また,断層運動と等価な力の組み合わせはダブルカップルであり,単一の平面断層に沿ったすべりとして表現される.一方で,ダブルカップルでは説明できない非ダブルカップル型(non-double-couple, NDC)地震も火山地域や地熱地帯で報告されており,断層形状や破壊過程の複雑さに加え,流体の存在を示すものと考えられている.Hayashida et al. (2020)は,2000年鳥取県西部地震余震域で行った超多点稠密地震観測(0.1満点地震観測)においてマグニチュード1〜3程度のNDC地震を報告し,それらの多くは開口成分を伴うせん断破壊(tensile-shear)で説明できるとした.本研究では,同じく2000年鳥取県西部地震余震域に産する方解石を含む断層岩を構造地質学的手法を用いて解析し,NDC地震との関連性を明らかにする.
解析に用いた断層岩は,鳥取県西伯郡南部町の緑水湖西側に位置する露頭(相澤ほか, 2005; 鈴木ほか, 2016)から採取した.断層岩は試料スケールで固結性を有する部分(カタクレーサイト帯)と,それを貫く未固結で連続性の良いすべり帯(断層ガウジ帯)からなる.研磨片および薄片観察の結果,断層岩を7つの要素(形成順に,I. ウルトラカタクレーサイト帯,II. 弱葉片状カタクレーサイト帯,III. 珪酸塩鉱物を含むカタクレーサイト帯(フラグメント化),IV. 断層平行方解石脈,V. イライトを含む断層ガウジ,VI. 断層直交方解石脈,VII. スメクタイトを含む薄いガウジ帯)に区分した.I,IV,VIIは地震性の破壊やすべりを示唆する構造(implosion brecciaやprincipal slip zone)を伴う.また,II,IV,VIに伴われる方解石は等粒状の粗いポリゴナル組織を呈し,繊維状や伸長結晶組織を示さない.母岩である花崗岩は方解石を含まないことから,地震に伴って開口した断層面において,外部由来の流体から急速に析出したものと解釈できる.断層の累積変位量は岩相のずれから≧5.4 m,変形イベントは組織観察から7回と見積もられ,各イベントでの変位量を一定と仮定すると1イベントでの横ずれ変位量は≧0.77 mである.方解石の体積割合などから求めたIIとIVの開口量は最大5 mmであり,開口量/横ずれ変位量比は≦0.006となる.この値はHayashida et al. (2020)で得られているtensile angle(約0.2–6°,開口量/横ずれ変位量比で約0.003–0.1)とオーダーで一致することから,断層面における方解石脈の形成は,本地域で現在生じているNDC地震の説明になりうる.
【文献】
相澤泰隆ほか (2005): 地質学雑誌, 111, 737-750.
Hayashida, Y. et al. (2020). Geophysical Research Letters, 47, e2019GL084841.
鈴木 俊ほか (2016): 日本地球惑星科学連合2016年大会講演要旨, SCG63-P39.
解析に用いた断層岩は,鳥取県西伯郡南部町の緑水湖西側に位置する露頭(相澤ほか, 2005; 鈴木ほか, 2016)から採取した.断層岩は試料スケールで固結性を有する部分(カタクレーサイト帯)と,それを貫く未固結で連続性の良いすべり帯(断層ガウジ帯)からなる.研磨片および薄片観察の結果,断層岩を7つの要素(形成順に,I. ウルトラカタクレーサイト帯,II. 弱葉片状カタクレーサイト帯,III. 珪酸塩鉱物を含むカタクレーサイト帯(フラグメント化),IV. 断層平行方解石脈,V. イライトを含む断層ガウジ,VI. 断層直交方解石脈,VII. スメクタイトを含む薄いガウジ帯)に区分した.I,IV,VIIは地震性の破壊やすべりを示唆する構造(implosion brecciaやprincipal slip zone)を伴う.また,II,IV,VIに伴われる方解石は等粒状の粗いポリゴナル組織を呈し,繊維状や伸長結晶組織を示さない.母岩である花崗岩は方解石を含まないことから,地震に伴って開口した断層面において,外部由来の流体から急速に析出したものと解釈できる.断層の累積変位量は岩相のずれから≧5.4 m,変形イベントは組織観察から7回と見積もられ,各イベントでの変位量を一定と仮定すると1イベントでの横ずれ変位量は≧0.77 mである.方解石の体積割合などから求めたIIとIVの開口量は最大5 mmであり,開口量/横ずれ変位量比は≦0.006となる.この値はHayashida et al. (2020)で得られているtensile angle(約0.2–6°,開口量/横ずれ変位量比で約0.003–0.1)とオーダーで一致することから,断層面における方解石脈の形成は,本地域で現在生じているNDC地震の説明になりうる.
【文献】
相澤泰隆ほか (2005): 地質学雑誌, 111, 737-750.
Hayashida, Y. et al. (2020). Geophysical Research Letters, 47, e2019GL084841.
鈴木 俊ほか (2016): 日本地球惑星科学連合2016年大会講演要旨, SCG63-P39.