日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS10] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:柴田 律也(防災科学技術研究所)、澤井 みち代(千葉大学)、奥田 花也(海洋研究開発機構 高知コア研究所)、津田 健一(清水建設 株式会社 技術研究所)

17:15 〜 19:15

[SSS10-P16] 房総半島新第三系保田層群に発達する主滑り帯の粘性流動化の定量的評価

*福田 成1廣野 哲朗1 (1.大阪公立大学)

地震時の断層の動的滑り弱化は,動摩擦力の低下や滑り速度の上昇など滑り挙動を変化させる.例えば1999年台湾集集地震や2011年東北地方太平洋沖地震では,断層にてthermal pressurization (TP) が発動し,これによって破壊伝播域が拡大,地表および海底面付近の断層滑り量が増大し、地震のマグニチュードが増大したと報告されている.このように地震時の動的滑り弱化は,特に海溝型地震では巨大津波の原因になりえる.そのため,断層での弱化機構を解明することは極めて重要である.動的弱化機構の一つであるTPについて,これまでに室内摩擦試験機を用いた実験でTPの発動が再現されているが,断層内の間隙水圧の変化と断層ガウジの構造発達の関係性は未だ明らかでない.そこで,本研究では先行研究によりTPが発動したと報告されている,房総半島新第三系の保田層群に発達する主滑り帯を研究対象とした.まず,フィールドにおける地質調査および断層試料の採取,偏光顕微鏡観察,電子プローブマイクロアナライザーによる元素分布の面分析を実施した.これらの結果,主滑り帯には流動化に伴う粒径の淘汰,層状構造,乱流により形成されたと推測される渦状の流理構造が観察された.また,顕微鏡下での主滑り帯の層状構造に元素分布は対応していなかった.さらに,粒子構造とレイノルズの式との対応を検討した結果,この断層では滑り時に低い粘性抵抗であったと推定された.以上のように,地震時の摩擦発熱によって,断層では高温流体が発生するとともに,水圧変化に何らかの影響をうけつつ,断層ガウジが粘性流動化することで,さらなる断層弱化が引き起こされている可能性がある.