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[SSS10-P20] 断層調査から知るOff-faultダメージ発達

キーワード:断層粉砕岩、Off-fault ダメージ、糸魚川静岡構造線
サンアンドレアス断層帯(SAL)や有馬高槻断層帯(ATTL)といった大規模な横ずれ断層帯のOff-faultでは,「断層粉砕岩」と呼ばれる特徴的な断層岩が存在することが知られている(たとえば,Brune,2001 ;Dor et al., 2006a ;Mitchell et al., 2011;Muto et al., 2015.).粉砕岩の特徴として,鉱物内で著しい亀裂の発達が見られ,剪断ひずみがほとんど存在しないことが挙げられる. この特徴は,粉砕岩が地震発生時に通常の断層滑りとは異なる動的な破壊様式によって形成されていることを表すものである(Muto et al., 2015).一方,この粉砕岩の形成プロセスを求めるには未だサンプル数が少なく,ATTLでは熱水による変質鉱物の存在が示されている(Shimizu et al., 2021)など,粉砕岩形成に関連する条件や要因についても未だ明確にはなっていない.そこで本研究では,未だ不明である粉砕岩形成プロセスの理解のために,新たな粉砕岩の存在が示唆されている糸魚川静岡構造線(ISTL)Off-faultにおける破砕された花崗岩に関する調査を行った.その結果,ISTLの衝上断層のOff-faultでもこれまでに報告されている粉砕岩と同様の特徴を持つ岩石が発見された.また,断層近傍の数メートルの範囲内において,粒度分布に関するフラクタル次元を用いたOff-faultダメージの詳細かつ定量的な記録を行った.本研究で発見したISTLにおける新たな粉砕岩の存在は,横ずれ断層以外で発見された粉砕岩の初めての例であり,岩石の粉砕現象が断層の形態や変質によらない,より普遍的な現象である可能性が高いことを示している.また,フラクタル次元の測定では,衝撃粉砕を示すような3に近い高フラクタル次元が幅広く記録される結果となった.これは,断層近傍において地震発生時に高エネルギー散逸が発生していることを示唆するものである.また,これまでOff-fault全体で記録されていたダメージの不均質性が断層近傍の高粉砕度の岩石の中でも見られることが明らかとなった.このOff-faultダメージの不均質性は岩石のひずみ速度場や強度にばらつきを生むことが知られており,すなわち次の地震時の地震波伝播やエネルギー散逸過程に影響を及ぼすこと明らかとなっている(Ostermeijier et al., 2022).よって,本研究は地震時のエネルギー散逸過程を求める上で重要な,粉砕岩などのOff-faultダメージに関して,特に断層近傍における新たな知見を提供するものである.