日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS10] 地震発生の物理・断層のレオロジー

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:柴田 律也(防災科学技術研究所)、澤井 みち代(千葉大学)、奥田 花也(海洋研究開発機構 高知コア研究所)、津田 健一(清水建設 株式会社 技術研究所)

17:15 〜 19:15

[SSS10-P29] 陽イオンを交換した黒雲母の摩擦特性

*奥田 花也1、山口 瑛子2 (1.海洋研究開発機構 高知コア研究所、2.日本原子力研究開発機構 システム計算科学センター)

キーワード:層状ケイ酸塩、摩擦、層間陽イオン

粘土鉱物などの層状ケイ酸塩は、その力学的な弱さから岩石の変形を支配する。層間および層表面の陽イオンの種類や、層の結晶構造によって摩擦強度が変わることが知られている。このような層状ケイ酸塩の摩擦特性は、天然において温度圧力条件に依存した鉱物組成の変化に伴って断層の挙動を変化させる。そのため、層間および層上の陽イオンや層自体が層状ケイ酸塩の摩擦特性にどのように影響するかを別々に理解する必要がある。

本研究では、Kitayama et al. (2020)に従って、黒雲母の層間のKをNa-TPBおよびEDTAによってNaと水分子に交換した。そして、このNa型風化黒雲母および元の黒雲母を用い、油圧三軸試験機における直接剪断機構による摩擦実験を行った。20 MPaの有効垂直応力、水による10 MPaの間隙水圧をかけ、0.1-0.3-1.3 μm/sでのvelocity step試験と、30-100-300-1000-3000秒でのslide-hold-slide試験を行った。

Na型風化黒雲母と元の黒雲母の定常摩擦係数はそれぞれ0.18と0.40であった。速度状態依存摩擦構成則におけるパラメータaはどちらも似た値であった一方で、Na型風化黒雲母は元の黒雲母に比べて低いbを示した。Na型風化黒雲母は元の黒雲母より低いヒーリングレートを示した。陽イオンを交換したモンモリロナイトと比較すると(Sakuma et al., 2022)、本結果はKを層間に含む層状ケイ酸塩がNaを層間に含む層状ケイ酸塩より高い摩擦係数を示すという傾向は整合的であった。一方で、Na型風化黒雲母と元の黒雲母はどちらもNaモンモリロナイトとKモンモリロナイトに比べて高い摩擦係数を示した。このことは層間の陽イオンだけでなく、層自体の化学組成もしくは結晶構造も層状ケイ酸塩の摩擦特性に影響していることを表している。