16:15 〜 16:30
[SSS11-04] 常時微動を用いた経験則に基づく平均S波速度マップ:阿蘇カルデラ東部火砕流堆積域の事例
キーワード:斜面災害、阿蘇、微動、S波速度
阿蘇火砕流堆積物が分布する15 x 17 kmのエリアの173地点で微動アレイ観測を実施し,得られた位相速度データに経験則を適用して深さ10, 20, 30 mまでの平均S波速度(AVS)マップを作成した.経験則とは,波長13, 25, 40 mに対応する位相速度をVs10,Vs20,Vs30とみなす方法のことである.この経験則は20年程前に提案されたものだが,AVS マップ作りにはあまり利用されていないように見えるため,本研究では上記ターゲットサイトで得られた多数の観測点のデータを用いてその有効性を検討した.この経験則は,まず1地点のPS検層データを用いて検証された.すなわち,経験則とPS検層データに基づくAVSは1〜6 %のずれに留まることが確認された.次に,経験則に基づくAVS MAPが地質分布と良く整合することが確認された.削剥の激しい阿蘇3火砕流堆積物の分布域ではAVSが阿蘇4火砕流堆積物分布域よりも30〜40%大きいことが示された.また阿蘇3分布域は阿蘇4分布域よりもAVSが10%以上大きい一方,阿蘇3よりも古い堆積物の分布域よりも10%程度小さいことが示された.最後に,通常のインバージョンに基づくAVS値との比較に基づいて統計的な検証がなされた.その結果,両者の間には15 %程度の系統的な乖離があるものの,0.9を超える相関があることが示された.この乖離の原因は両手法にあるように思われる.今後この乖離の原因をさらに追求する必要があるが,現時点でも十分に,経験法に基づくAVSの同定は定量的に検証されたと言えよう.この方法には計画立案の簡易性・確実性,観測効率,データ処理の簡易性の観点でインバージョンを遥かに凌ぐ便利さがある.マップ作成のような空間分布評価の目的では極めて有用と考えられる.