日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 強震動・地震災害

2025年5月29日(木) 15:30 〜 17:00 201B (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、友澤 裕介(鹿島建設)、座長:長 郁夫(産業技術総合研究所)、久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

16:30 〜 16:45

[SSS11-05] 根尾谷断層水鳥地区における稠密微動観測

*香川 敬生1野口 竜也1 (1.鳥取大学工学部)

キーワード:根尾谷断層、水鳥地区、微動観測、卓越周期、MHVSRピーク

岐阜県本巣市を通る根尾谷断層水鳥地区の地表地震断層変位部において,令和6年10月27日に微動計(白山工業製JU410)6台を用いた稠密微動測定を実施した。地表地震断層直上をはさんで5m間隔に6点,その両端から10m間隔に南北それぞれ6点ずつの計18点で,3回に分けて3成分観測を実施した。サンプリングは200Hzとし,各点で概ね10分以上の観測を実施した。
観測記録から水平/上下スペクトル比(MHVSR)を算出し,ヒートマップとして測線上に並べた図を添付する。地表地震断層を挟んで,北側には周期約0.1秒,スペクトル比2倍程度のピークが連続し,南側には周期0.1秒よりもやや短い,スペクトル比が2倍を超える明瞭なピークが連続している。また,断層直上部でこの周期帯域のピークが不明瞭になっていることが分かる。これは,辻・大町(2001)による同地点での既往研究結果とも整合している。さらに地表地震断層近傍のMHVSRには,ピーク周期周辺で特定方向に震動が卓越する方位依存がみられた。これらの現象は,1943年鳥取地震で生じた吉岡・鹿野断層(野口・他, 2025),2016年熊本地震の地表地震断層(香川・他, 2017)等でも報告されており,地表地震断層ごく近傍の地震動を検討する上で興味深い。
断層両側の代表的な地盤構造を推定するため,図の水鳥駅前および根尾谷地震断層観察館の駐車場で大きさを変えた2展開のL字アレイ観測をそれぞれ実施し,位相速度分散曲線を算出した。表層S波速度に相当する短周期の位相速度は,北側の水鳥駅で400m/s,南側の地震断層観察館で200m/sとなり,顕著な差がみられている。それぞれのアレイ地点での地下構造を推定するとともに,より詳細な解析結果について報告したい。
根尾谷地震断層観察館には,駐車場でのアレイ観測を許して頂いた。位相速度分散曲線の算出には,(国研)産業技術総合研究所長郁夫博士開発のBIDOver3.2を利用させて頂いた。また,本研究の実施にあたっては,日本学術振興会科研費(課題番号24K071562)の助成を受けた。記して感謝したい。
参考文献:辻・大町,2001,土木学会第26回地震工学研究発表会,541. 香川・他,2017,土木学会論文集A1,I_841-I_846. 野口・他, 2025,日本地震工学会論文集,印刷中.