日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS11] 強震動・地震災害

2025年5月30日(金) 13:45 〜 15:15 コンベンションホール (CH-B) (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、友澤 裕介(鹿島建設)、座長:新井 健介(清水建設株式会社)、友澤 裕介(鹿島建設)

14:45 〜 15:00

[SSS11-22] ブロックインバージョン解析に基づく九州地域の不均質減衰構造の推定と日向灘地震の短周期レベルの推定

*友澤 裕介1、引田 智樹1 (1.鹿島建設)

キーワード:GIT、日向灘地震、短周期レベル

1.はじめに
九州地域ではフィリピン海プレート内部を地震波が伝播する影響や,活火山周辺の低減衰領域の影響により複雑な伝播経路特性を有している.また,日向灘では2024年8月8日にMJ 7.1,2025年1月13日にMJ 6.6のプレート間地震が発生しており,その震源特性を検討することは将来の地震動予測の高精度化に資すると考えられる.そこで,本検討では,ブロックインバージョン解析により九州地域の深さ方向の不均質減衰構造を推定するとともに,上記の地震を含む九州地域で発生する海溝型地震の短周期レベルを推定した.

2.データセット・解析手法
九州付近で発生した海溝型地震のうちK-NET,KiK-netで観測された以下の条件に適合する記録を収集した.対象期間は観測開始から2025年1月15日まで,F-netのMW 4.5以上,震源深さ200 km以下,震源距離範囲は200 km以下,地盤の非線形化の影響を避けるため地表記録は200 cm/s2以下の記録を用いた.対象地震と観測点の分布を図1に示す.解析にはS波到達から地震規模に応じた時間区間(MW<6.0では8秒,MW>6.0では20秒)のフーリエ振幅スペクトルを用い,対象周波数範囲は0.5~20 Hzとした.
ブロックインバージョン解析における伝播経路特性のモデル化は,深さ方向を大陸地殻,マントル,フィリピン海プレートの3層でモデル化し,各層の水平方向の不均質性を考慮してモデル化した.各層の水平方向のブロックサイズは0.2°メッシュとした.震源と観測点を結ぶ断面で2次元レイトレースを行って各層の伝播距離を評価した.プレート形状は地震本部 (2012) を参照して各層の境界は第17層のマントル,第20層の海洋性地殻第2層(フィリピン海プレート)の上面深度を用いた.S波速度はそれぞれ3.4 km/s,4.5 km/s,4.7 km/sとした.レイトレースの例を図2に示す.地震1からKGS010へはマントルの伝播の割合が多く,MYZ013へはフィリピン海プレート内部の伝播の割合が多い.地震2では大陸地殻の伝播が主であるが水平方向の位置は異なる.
震源特性とサイト特性のトレードオフはOITH09とKGSH12の地中観測点位置の理論増幅率 (E+F)/2E を拘束条件として解消した.最適化地盤モデルは笠松・他 (2014) を参照した.

3.解析結果
推定した不均質減衰構造を図3に示す.図中のカラーは10 HzのQ値を示す.大陸地殻では宮崎県南東部や火山帯周辺でlow-Qの領域が推定された.この傾向は小松・小田(2015)とも整合する.また,内陸地殻内地震のみを対象として不均質減衰構造を推定した友澤・他 (2021) と定性的な傾向は同様であった.マントルのQ値はその他の層よりも全体的にlow-Qとなり,フィリピン海プレートでは概ね均質なQ値で相対的にhigh-Qとなる傾向が得られた.
推定した震源スペクトルにω-2の震源スペクトルをフィッティングし短周期レベルを推定した結果を図4に示す.2024年8月8日と2025年1月13日に発生した日向灘地震の短周期レベルはそれぞれ2.15×1019 Nm/s2,1.22×1019 Nm/s2となった.プレート内地震の方がプレート間地震より平均的に短周期レベルが高い傾向が見える.今後は,同地震に対してエンベロープインバージョン解析も行い短周期放出領域の推定を行う.

謝辞
防災科学技術研究所K-NET,KiK-netの観測記録,F-netのメカニズム解を活用させていただきました.記して感謝します.