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[SSS11-25] 宮城県沖のアサイスミックフロント付近で発生する地震の震源特性
キーワード:宮城県沖の地震、アサイスミックフロント、太平洋プレート、強震動生成域、震源特性
東北地方に沈み込む太平洋プレート周辺では地震活動が活発であり,特に宮城県沖では,M6,7級の大地震を含むプレート間地震(例えば,2005年8月16日MJMA7.2の地震)や海洋性プレート内(スラブ内)の地震(例えば,2011年4月7日MJMA7.2の地震)が多く発生している.近年では,2021年3月20日(MJMA6.9)と同年5月1日(MJMA6.8)に宮城県沖でプレート間地震が発生し,宮城県でそれぞれ最大震度5強を観測した.これらの地震は,沈み込む太平洋プレートのアサイスミックフロント付近で発生したプレート間地震(AF地震)であり,宮城県沖で発生するプレート間地震の中でも,地震相対的に震源が深く,陸域に近い地震である.このように,同じプレート間地震やプレート内地震においても,様々な深さで地震が発生しており,宮城県沖は太平洋プレート周辺の多様な地震の記録が得られている地域と言える.一方で,上述のAF地震は,必ずしも充分な知見が蓄えられておらず,震源特性して未解明な部分も多い.陸域に近い位置で発生するプレート間地震であり,これらの地震を対象とした高精度な地震動予測は,地震ハザードの観点でも重要であることから,観測記録を基に震源特性を定量的に評価することは必要不可欠である.そこで,本研究では,AF地震の震源特性を明らかにすることを目的として,1)2021年3月20日(MJMA6.9)のAF地震(2021年3月の地震)の強震動生成域モデルを推定するとともに,2)AF地震を含む宮城県沖の太平洋プレート周辺で発生した中小規模地震の応力降下量の推定を行った.
1)2021年3月の地震の強震動生成域(SMGA)モデルは,震源周辺のK-NET,KiK-net,女川原子力発電所の強震記録から,経験的グリーン関数法による0.1-10 Hzの地震動シミュレーションを行うことによって推定した.SMGAのモデル化にあたって,観測波形記録から震源由来の主要な波形パケットが2つあることを確認し,それぞれの観測走時と理論走時を用いて,断層面上での2枚のSMGA破壊開始の時空間位置の推定を行った.経験的グリーン関数に使用する要素地震記録は,2020年5月18日のMw5.1の地震の記録とし,本震と要素地震のスケーリングパラメータ(重ね合わせ数Nと応力降下量比C)は,スペクトル比解析の結果に基づいて決定した.2枚のSMGAのサイズ,ライズタイム,破壊伝播速度,SMGA内の相対的な破壊開始点といったパラメータは,震源周辺の4地点の記録を用いて,残差関数とグリッドサーチを用いた最適化手法により決定した.推定された2枚のSMGAによる合成波形は観測波形を良く再現した.SMGA1と2の応力降下量は22 MPaと推定され,SMGAモデルから計算される短周期レベルを既存のスケーリング則や過去の地震のパラメータと比較すると,東日本のプレート境界地震を対象としたスケーリングや過去の地震のパラメータと良い一致を示すことがわかった.
2)2021年3月の地震系列や周辺のAF地震を含む宮城県沖の太平洋プレート周辺で発生する273の地震(Mw:3.6-7.0)について,周辺の強震記録からS波コーダスペクトル比法(Somei et al., 2014)によって震源スペクトル比を抽出し,ω-2理論震源スペクトル比によってモデル化することで,コーナー周波数,応力降下量を推定した.抽出した震源スペクトル比は,S波コーダ部を用いることによって,直達S波部よりも観測点毎のばらつきの影響を低減することができた.273地震の応力降下量は概ね0.1-10 MPaで推定され,AF地震は,同じプレート間地震の中で,浅いプレート間地震よりも応力降下量がやや大きい傾向が見られた.また,全体を俯瞰すると,プレート間地震とプレート内地震との間に明瞭な違いは無く,いずれも深さ依存性が見られた.
以上の結果から,2021年3月20日のAF地震の強震動生成域モデルからは,東日本のプレート間地震のスケーリング則や過去の地震のパラメータと良い一致を示していたが,中小規模地震を含めた結果を考慮すると,同じプレート間地震の中で,AF地震は相対的に震源が深く,浅いプレート間地震と比較すると,応力降下量や短周期レベルがやや大きい可能性がある.
1)2021年3月の地震の強震動生成域(SMGA)モデルは,震源周辺のK-NET,KiK-net,女川原子力発電所の強震記録から,経験的グリーン関数法による0.1-10 Hzの地震動シミュレーションを行うことによって推定した.SMGAのモデル化にあたって,観測波形記録から震源由来の主要な波形パケットが2つあることを確認し,それぞれの観測走時と理論走時を用いて,断層面上での2枚のSMGA破壊開始の時空間位置の推定を行った.経験的グリーン関数に使用する要素地震記録は,2020年5月18日のMw5.1の地震の記録とし,本震と要素地震のスケーリングパラメータ(重ね合わせ数Nと応力降下量比C)は,スペクトル比解析の結果に基づいて決定した.2枚のSMGAのサイズ,ライズタイム,破壊伝播速度,SMGA内の相対的な破壊開始点といったパラメータは,震源周辺の4地点の記録を用いて,残差関数とグリッドサーチを用いた最適化手法により決定した.推定された2枚のSMGAによる合成波形は観測波形を良く再現した.SMGA1と2の応力降下量は22 MPaと推定され,SMGAモデルから計算される短周期レベルを既存のスケーリング則や過去の地震のパラメータと比較すると,東日本のプレート境界地震を対象としたスケーリングや過去の地震のパラメータと良い一致を示すことがわかった.
2)2021年3月の地震系列や周辺のAF地震を含む宮城県沖の太平洋プレート周辺で発生する273の地震(Mw:3.6-7.0)について,周辺の強震記録からS波コーダスペクトル比法(Somei et al., 2014)によって震源スペクトル比を抽出し,ω-2理論震源スペクトル比によってモデル化することで,コーナー周波数,応力降下量を推定した.抽出した震源スペクトル比は,S波コーダ部を用いることによって,直達S波部よりも観測点毎のばらつきの影響を低減することができた.273地震の応力降下量は概ね0.1-10 MPaで推定され,AF地震は,同じプレート間地震の中で,浅いプレート間地震よりも応力降下量がやや大きい傾向が見られた.また,全体を俯瞰すると,プレート間地震とプレート内地震との間に明瞭な違いは無く,いずれも深さ依存性が見られた.
以上の結果から,2021年3月20日のAF地震の強震動生成域モデルからは,東日本のプレート間地震のスケーリング則や過去の地震のパラメータと良い一致を示していたが,中小規模地震を含めた結果を考慮すると,同じプレート間地震の中で,AF地震は相対的に震源が深く,浅いプレート間地震と比較すると,応力降下量や短周期レベルがやや大きい可能性がある.