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[SSS11-28] 高精度余震震源情報を用いた設定断層面に基づく2024年能登半島地震の震源モデル
キーワード:2024年能登半島地震、震源インバージョン解析、経験的グリーン関数、強震動、余震分布
2024年1月1日能登半島地震(Mj 7.6)に関する震源モデルの推定において、これまでの検討では気象庁の一元化震源要素に基づく余震分布の情報から、速報的に本震震源断層面の位置と幾何学形状を設定していた(芝: 2024a, b)。その後、震源域周辺の陸域、海域両面において、高密度の余震観測が複数の研究機関で実施され、精度の高い余震の震源情報が得られるようになった(例えば高橋・他, 2024, 篠原・他, 2024)。これらの余震分布は、本震発生直後に報告された分布と比較して系統的に浅く決定されており、また本震震源断層の傾斜方向のトレンドにも違いが認められる。本検討ではこのような余震分布の系統的な差異を本震の断層面モデルに反映させ、断層面上すべり分布モデルの再推定を行った。
高橋・他(2024)による、2024年4月から7月にかけて観測された能登半島地震余震の震源分布に基づき、本震断層面のうち、能登半島北東沖の北西傾斜の断層面を除く主要な面を再設定した。走向の異なる断層面数は3枚で旧モデルから変化はないが、余震分布に基づく断層面の下限深さは旧モデルの約20 kmから13 km程度まで浅くなり、また珠洲沖から禄剛の海底断層帯に比定され、破壊開始点を含む断層の傾斜角は、旧モデルの50度から35度と低角に再設定された。断層面の上端深さについては、深さ3 km以浅に余震の発生がほとんど認められないという高橋・他(2024)の観測結果に従い、一律3 kmに固定した。さらに、本震の約13秒前に発生したとされる前震の断層面についても、旧モデルでは本震断層と並行し、傾斜角の異なる断層面として設定したが、今回は本震と同じ断層面で断続的に破壊が発生したものと仮定した。一方、半島北東沖の北西傾斜の断層面は、海底地震観測による篠原・他(2024)の余震分布等を参考に、断層の下端が約16 kmになるように、断層面全体を浅く再設定した。
本震断層面上のすべり分布を求める震源インバージョン手法には、前報と同じShiba and Irikura (2005)の経験的グリーン関数法と高速焼きなまし法を組み合わせた最適化手法を用いた。経験的グリーン関数として用いる小地震記録も前報と同様に、断層面ごとに異なる地震を適用したが、震源位置については震央を変えずに深さのみ新しい断層面の変動量に合わせて浅く移動させている。震源インバージョンにおける破壊シナリオとしては、前報と同様に、前震の発震時刻で破壊を開始させつつも、すべての断層面で破壊伝播の因果律を確保しつつ、本震の発震時刻を包含する幅の広い時間遅れを許す条件を課した。解析には、震源域周辺のK-NET、KiK-netから、0.1‐1Hzの解析周波数帯域で著しい地盤非線形性の影響が見られないことを条件に24地点を選別し、これにF-NET輪島の記録を加えた計25観測点の水平2成分記録を速度波形に変換して用いた。隣接する断層面への破壊の乗り移りは、走向がほぼ同一の珠洲沖から輪島沖、猿山沖セグメントにかけては連続した断層面と同様に扱い、走向が変化する南西端の断層面と、傾斜の向きが異なる北東端の断層面は、先行破壊する断層面に近接する一点から放射状に破壊が広がる形式とした。
検討の結果得られたすべり分布モデルを図に示す。推定された地震モーメントは2.07E20 Nmで、Mw7.5となった。最大すべり量は8.26 mである。前報と比較して、地震モーメントはほぼ同じであるが、最大すべり量はやや大きめに求められた。これは、断層の幅や面積が前報と比較して小さくなった影響も寄与していると考えられる。すべりの空間分布の特徴としては、南西端の海士岬沖断層帯に比定される断層面の南側ですべりがほとんど生じていない。この点は前報と同様の特徴である。一方、北東端の北西傾斜断層のすべりは相対的にやや大きくなった。これは断層面が浅くなった影響と思われる。その他の、珠洲沖から猿山沖セグメントに相当する中央部のすべりの空間分布は前報とほぼ同じ特徴を示しており、合成開口レーダーの干渉解析等による地殻の隆起分布とよい一致を示す。破壊開始点を含む珠洲沖セグメントから輪島沖・猿山沖セグメントへの破壊の伝播は、前報と同様に前震のすべりを受けた先行破壊が認められるが、本震破壊時刻との差は2秒程度であり、本震からの破壊伝播の揺らぎとして解釈できる可能性もある。今後、芝(2024b)と同様に、推定されたすべり分布から強震動生成域(SMGA)を抽出し、強震動特性に影響を与える特性化震源パラメータの推定を行う。
高橋・他(2024)による、2024年4月から7月にかけて観測された能登半島地震余震の震源分布に基づき、本震断層面のうち、能登半島北東沖の北西傾斜の断層面を除く主要な面を再設定した。走向の異なる断層面数は3枚で旧モデルから変化はないが、余震分布に基づく断層面の下限深さは旧モデルの約20 kmから13 km程度まで浅くなり、また珠洲沖から禄剛の海底断層帯に比定され、破壊開始点を含む断層の傾斜角は、旧モデルの50度から35度と低角に再設定された。断層面の上端深さについては、深さ3 km以浅に余震の発生がほとんど認められないという高橋・他(2024)の観測結果に従い、一律3 kmに固定した。さらに、本震の約13秒前に発生したとされる前震の断層面についても、旧モデルでは本震断層と並行し、傾斜角の異なる断層面として設定したが、今回は本震と同じ断層面で断続的に破壊が発生したものと仮定した。一方、半島北東沖の北西傾斜の断層面は、海底地震観測による篠原・他(2024)の余震分布等を参考に、断層の下端が約16 kmになるように、断層面全体を浅く再設定した。
本震断層面上のすべり分布を求める震源インバージョン手法には、前報と同じShiba and Irikura (2005)の経験的グリーン関数法と高速焼きなまし法を組み合わせた最適化手法を用いた。経験的グリーン関数として用いる小地震記録も前報と同様に、断層面ごとに異なる地震を適用したが、震源位置については震央を変えずに深さのみ新しい断層面の変動量に合わせて浅く移動させている。震源インバージョンにおける破壊シナリオとしては、前報と同様に、前震の発震時刻で破壊を開始させつつも、すべての断層面で破壊伝播の因果律を確保しつつ、本震の発震時刻を包含する幅の広い時間遅れを許す条件を課した。解析には、震源域周辺のK-NET、KiK-netから、0.1‐1Hzの解析周波数帯域で著しい地盤非線形性の影響が見られないことを条件に24地点を選別し、これにF-NET輪島の記録を加えた計25観測点の水平2成分記録を速度波形に変換して用いた。隣接する断層面への破壊の乗り移りは、走向がほぼ同一の珠洲沖から輪島沖、猿山沖セグメントにかけては連続した断層面と同様に扱い、走向が変化する南西端の断層面と、傾斜の向きが異なる北東端の断層面は、先行破壊する断層面に近接する一点から放射状に破壊が広がる形式とした。
検討の結果得られたすべり分布モデルを図に示す。推定された地震モーメントは2.07E20 Nmで、Mw7.5となった。最大すべり量は8.26 mである。前報と比較して、地震モーメントはほぼ同じであるが、最大すべり量はやや大きめに求められた。これは、断層の幅や面積が前報と比較して小さくなった影響も寄与していると考えられる。すべりの空間分布の特徴としては、南西端の海士岬沖断層帯に比定される断層面の南側ですべりがほとんど生じていない。この点は前報と同様の特徴である。一方、北東端の北西傾斜断層のすべりは相対的にやや大きくなった。これは断層面が浅くなった影響と思われる。その他の、珠洲沖から猿山沖セグメントに相当する中央部のすべりの空間分布は前報とほぼ同じ特徴を示しており、合成開口レーダーの干渉解析等による地殻の隆起分布とよい一致を示す。破壊開始点を含む珠洲沖セグメントから輪島沖・猿山沖セグメントへの破壊の伝播は、前報と同様に前震のすべりを受けた先行破壊が認められるが、本震破壊時刻との差は2秒程度であり、本震からの破壊伝播の揺らぎとして解釈できる可能性もある。今後、芝(2024b)と同様に、推定されたすべり分布から強震動生成域(SMGA)を抽出し、強震動特性に影響を与える特性化震源パラメータの推定を行う。