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[SSS11-P17] 実地盤の不均質性が地震動の空間変動に与える影響
キーワード:表層地盤、不均質性、空間変動、千葉アレイ
はじめに
表層地盤の不均質性は地表の隣接地点間の地震動に空間変動をもたらし、建物の地震応答に影響を与えることが指摘されている。一方、表層地盤の不均質性については、ボーリング調査のように1次元的な情報は存在するが、空間的な不均質性の情報は極めて少ない。本検討では音響トモグラフィ探査により表層地盤の空間的な不均質性を調査するとともに、地盤の不均質性と地震動の空間変動特性との関係について分析する。
実地盤の不均質性
本検討では、東京大学生産技術研究所の千葉アレイ観測施設が存在した敷地を対象に音響トモグラフィ探査を実施した。千葉アレイ観測施設の地震計の配置と音響トモグラフィ探査の探査測線の関係を図1に示す。本検討では音響トモグラフィ探査の測線長さ、探査深さをいずれも50mとした。探査断面におけるP波速度分布の推定結果を図2に示す。現地の地下水位はGL-15m付近であったことから、本検討ではGL-15m以深をP波速度の推定範囲とした。GL-30m付近を境界としてP波速度分布に有意な差異が見られる。
表1に現地の1次元地盤モデルを示す。第1層~第4層の層厚およびS波速度は片山他(1990)が千葉アレイ観測施設のC0観測点で実施したPS検層結果に基づく。本検討では音響トモグラフィ探査によるGL-15m~GL-30mを第3層、GL-30m以深を第4層の地盤物性に相当すると判断した。また本検討ではJSHISの表層地盤モデルを参考に、GL-100m以深として第5層および第6層を付与した。
図2のP波速度分布より第3層および第4層の変動係数および相関関数を計算した。また指数型の不均質パターンを仮定し、相関関数より水平、鉛直方向のP波の相関距離を推定した。変動係数の計算結果および相関距離の推定結果を表1に示す。第3層、第4層いずれも鉛直方向に比べ水平方向の相関距離の方が大きい。
地震動の空間変動特性の評価
表1に示すS波速度および不均質パラメータに基づき、徳光他(2024)の方法で隣接地点間の地震動の空間変動を評価した。ここで表1の不均質パラメータのうち、第3層と第4層の相関距離および変動係数は、音響トモグラフィ探査で推定したP波速度の不均質性の結果を適用した。第1層および第2層の変動係数は音響トモグラフィ探査のために掘削したボーリング孔における標準貫入試験のN値のばらつきより推定し、相関距離は第3層および第4層よりも小さくかつ水平方向の方が鉛直方向よりも大きくなるようにした。第5層および第6層の変動係数は上の層よりも小さく、相関距離は上の層よりも大きく設定した。また地震動の空間変動は、2点間の地震動のコヒーレント成分に対するばらつき成分のパワースペクトル比ε2で評価することとした。2点間の離間距離が5~30mに対するln(ε2+1)の推定結果を図3に点線で示す。また千葉アレイ観測施設の観測記録より計算した各離間距離におけるln(ε2+1)を図3に実線で示す。観測記録のln(ε2+1)の方がかなり大きくなっている。この原因として、徳光他(2024)によるln(ε2+1)の評価には層境界での重複反射の影響が含まれていないこと、また有限の地盤深さに基づきln(ε2+1)を評価していることが考えられる。
謝辞 音響トモグラフィ探査の実施にあたり、千葉大学施設環境部殿のご協力をいただきました。震災予防協会(当時)より公開された千葉アレイ観測施設の観測記録を使用いたしました。一部の作図にGMTを使用いたしました。本検討は資源エネルギー庁の令和6年度原子力産業基盤強化事業補助金にて実施したものです。
表層地盤の不均質性は地表の隣接地点間の地震動に空間変動をもたらし、建物の地震応答に影響を与えることが指摘されている。一方、表層地盤の不均質性については、ボーリング調査のように1次元的な情報は存在するが、空間的な不均質性の情報は極めて少ない。本検討では音響トモグラフィ探査により表層地盤の空間的な不均質性を調査するとともに、地盤の不均質性と地震動の空間変動特性との関係について分析する。
実地盤の不均質性
本検討では、東京大学生産技術研究所の千葉アレイ観測施設が存在した敷地を対象に音響トモグラフィ探査を実施した。千葉アレイ観測施設の地震計の配置と音響トモグラフィ探査の探査測線の関係を図1に示す。本検討では音響トモグラフィ探査の測線長さ、探査深さをいずれも50mとした。探査断面におけるP波速度分布の推定結果を図2に示す。現地の地下水位はGL-15m付近であったことから、本検討ではGL-15m以深をP波速度の推定範囲とした。GL-30m付近を境界としてP波速度分布に有意な差異が見られる。
表1に現地の1次元地盤モデルを示す。第1層~第4層の層厚およびS波速度は片山他(1990)が千葉アレイ観測施設のC0観測点で実施したPS検層結果に基づく。本検討では音響トモグラフィ探査によるGL-15m~GL-30mを第3層、GL-30m以深を第4層の地盤物性に相当すると判断した。また本検討ではJSHISの表層地盤モデルを参考に、GL-100m以深として第5層および第6層を付与した。
図2のP波速度分布より第3層および第4層の変動係数および相関関数を計算した。また指数型の不均質パターンを仮定し、相関関数より水平、鉛直方向のP波の相関距離を推定した。変動係数の計算結果および相関距離の推定結果を表1に示す。第3層、第4層いずれも鉛直方向に比べ水平方向の相関距離の方が大きい。
地震動の空間変動特性の評価
表1に示すS波速度および不均質パラメータに基づき、徳光他(2024)の方法で隣接地点間の地震動の空間変動を評価した。ここで表1の不均質パラメータのうち、第3層と第4層の相関距離および変動係数は、音響トモグラフィ探査で推定したP波速度の不均質性の結果を適用した。第1層および第2層の変動係数は音響トモグラフィ探査のために掘削したボーリング孔における標準貫入試験のN値のばらつきより推定し、相関距離は第3層および第4層よりも小さくかつ水平方向の方が鉛直方向よりも大きくなるようにした。第5層および第6層の変動係数は上の層よりも小さく、相関距離は上の層よりも大きく設定した。また地震動の空間変動は、2点間の地震動のコヒーレント成分に対するばらつき成分のパワースペクトル比ε2で評価することとした。2点間の離間距離が5~30mに対するln(ε2+1)の推定結果を図3に点線で示す。また千葉アレイ観測施設の観測記録より計算した各離間距離におけるln(ε2+1)を図3に実線で示す。観測記録のln(ε2+1)の方がかなり大きくなっている。この原因として、徳光他(2024)によるln(ε2+1)の評価には層境界での重複反射の影響が含まれていないこと、また有限の地盤深さに基づきln(ε2+1)を評価していることが考えられる。
謝辞 音響トモグラフィ探査の実施にあたり、千葉大学施設環境部殿のご協力をいただきました。震災予防協会(当時)より公開された千葉アレイ観測施設の観測記録を使用いたしました。一部の作図にGMTを使用いたしました。本検討は資源エネルギー庁の令和6年度原子力産業基盤強化事業補助金にて実施したものです。