09:15 〜 09:30
[SSS12-14] 北海道東部の浅部地殻の応力場
キーワード:北海道、応力場、地震、北海道東部
北海道の浅部地殻は太平洋プレートの沈み込みの影響を受けている。プレート収束方向はおよそN66°Wである(e.g., Itoh and Nishimura, 2016)。北海道東部の浅部地殻では横ずれ断層型の応力場が分布し、屈斜路カルデラ周辺には引張応力場が分布することが推定されている(Terakawa and Matsu’ura, 2010; Uchide et al., 2022)。この横ずれ断層型の応力場はプレートの斜め沈み込み運動の影響と考えられている(Kimura, 1994;1996)。北海道東部はアトサヌプリや雌阿寒岳といった活火山・第四紀火山が複数分布する(AIST, 2024)。また、走向NE-SWの活断層が分布し、羅臼岳セグメントのみが正断層、それ以外は逆断層と定義されている(AIST, 2024)。北海道東部における問題点として、メカニズム解が作成可能な規模の地震が少ないことが挙げられ、本地域に着目して応力場を論じた研究が少ない。そこで、本研究では現在利用可能なメカニズム解を用いて応力場の再推定を行い、北海道東部の空間的な応力変化を見出した。
データ・手法
モーメントテンソルインバージョン法(Michael 1984; 1987)で応力場を推定した。データはF-net モーメントテンソル解(1997-2024, Mjma 3.5-, VR > 60)とUchide et al. (2020)のP波初動押し引きの解(2003-2020, Mjma0.5-3.1, 品質A・B)を使用した。対象領域として日高山脈より東の143.3°E-146.0°E, 43.0°N-44.0°N、深さ0-30 kmを設定した。
結果
メカニズム解の分布
領域内には64個のメカニズム解が分布し、29個が逆断層型、25個が横ずれ断層型を示した。雌阿寒岳の南には逆断層型が多く分布する。また2つの正断層型のメカニズム解が屈斜路カルデラと摩周湖内に位置する。全体の57 %のメカニズム解がN60°W-N80°WのP軸方向を示し、プレート収束方向とおよそ整合的であった。屈斜路カルデラ内ではメカニズム解のP軸方向のばらつきが大きい。
応力場 全体
最初に等間隔領域(緯度1°×経度0.5°)を設定し、北海道東部の全体的な応力場を推定した。推定した応力場は北海道東部の西側で逆断層型、東側で横ずれ断層型であった。最大水平圧縮方向(SHmax)は118.84°(N61.16°W)を示し、プレート収束方向とおよそ整合的であった。屈斜路カルデラを含む領域はSHmaxの誤差が大きく、P軸のばらつきを反映していた。
屈斜路カルデラ〜摩周湖
メカニズム解の数が少ないため、Uchide カタログの品質Cを含め応力場を推定した。応力場は誤差が大きく不安定であり、横ずれ断層型と正断層型の中間を示した。カルデラ内のメカニズム解を取り除いて該当領域の応力場を再推定したところ、SHmaxの誤差が小さくなり、最適値はプレート収束方向とおよそ整合的な104.93°(N75.07°W)を示した。
雌阿寒岳の南
応力場は逆断層型であり、応力比がおよそ0.5と純粋な逆断層型の応力場を表していた。SHmax方向はプレート収束方向に整合的であった(118.84°; N61.16°W)。雌阿寒岳南のメカニズム解を取り除いた場合、該当地域は横ずれ断層と逆断層の中間(トランスプレッシブ)の応力場が推定された。
考察
断層のすべり方向が断層面上の最大剪断応力方向と一致すると仮定し、推定した応力場に対するすべり角の計算を行なった。メカニズム解のすべり角を再現できた場合は、実際の応力場と推定した応力場が整合的であると考えられる。横ずれ断層型の応力場では、横ずれ断層型のすべり角を再現することができた。さらに摩周湖内に分布する正断層型のすべり角を再現した。逆断層型の応力場を使用した場合、雌阿寒岳南の逆断層型のすべり角を再現できた。これらのことから、雌阿寒岳の南には逆断層型応力場が局所的に分布し、北海道東部全体ではトランスプレッシブまたは横ずれ断層型の応力場が分布すると考えられる。
まとめ
北海道東部の西側はトランスプレッシブ、東側は横ずれ断層型の応力場が分布しSHmax方向はプレート収束方向と整合的である。本結果は、先行研究の傾向と整合的である。雌阿寒岳の南に局所的に逆断層型の応力場が分布することを見出した。雌阿寒岳南には活断層が定義されていないため、第三紀断層の弱面が地下で活動している可能性がある。屈斜路カルデラ〜摩周湖地域では、メカニズム解のP軸方向がプレート収束方向と異なる。この地域の応力場には火山活動や地形が影響している可能性がある。今回この地域で限定的に引張応力場が存在することは明示できなかった。
データ・手法
モーメントテンソルインバージョン法(Michael 1984; 1987)で応力場を推定した。データはF-net モーメントテンソル解(1997-2024, Mjma 3.5-, VR > 60)とUchide et al. (2020)のP波初動押し引きの解(2003-2020, Mjma0.5-3.1, 品質A・B)を使用した。対象領域として日高山脈より東の143.3°E-146.0°E, 43.0°N-44.0°N、深さ0-30 kmを設定した。
結果
メカニズム解の分布
領域内には64個のメカニズム解が分布し、29個が逆断層型、25個が横ずれ断層型を示した。雌阿寒岳の南には逆断層型が多く分布する。また2つの正断層型のメカニズム解が屈斜路カルデラと摩周湖内に位置する。全体の57 %のメカニズム解がN60°W-N80°WのP軸方向を示し、プレート収束方向とおよそ整合的であった。屈斜路カルデラ内ではメカニズム解のP軸方向のばらつきが大きい。
応力場 全体
最初に等間隔領域(緯度1°×経度0.5°)を設定し、北海道東部の全体的な応力場を推定した。推定した応力場は北海道東部の西側で逆断層型、東側で横ずれ断層型であった。最大水平圧縮方向(SHmax)は118.84°(N61.16°W)を示し、プレート収束方向とおよそ整合的であった。屈斜路カルデラを含む領域はSHmaxの誤差が大きく、P軸のばらつきを反映していた。
屈斜路カルデラ〜摩周湖
メカニズム解の数が少ないため、Uchide カタログの品質Cを含め応力場を推定した。応力場は誤差が大きく不安定であり、横ずれ断層型と正断層型の中間を示した。カルデラ内のメカニズム解を取り除いて該当領域の応力場を再推定したところ、SHmaxの誤差が小さくなり、最適値はプレート収束方向とおよそ整合的な104.93°(N75.07°W)を示した。
雌阿寒岳の南
応力場は逆断層型であり、応力比がおよそ0.5と純粋な逆断層型の応力場を表していた。SHmax方向はプレート収束方向に整合的であった(118.84°; N61.16°W)。雌阿寒岳南のメカニズム解を取り除いた場合、該当地域は横ずれ断層と逆断層の中間(トランスプレッシブ)の応力場が推定された。
考察
断層のすべり方向が断層面上の最大剪断応力方向と一致すると仮定し、推定した応力場に対するすべり角の計算を行なった。メカニズム解のすべり角を再現できた場合は、実際の応力場と推定した応力場が整合的であると考えられる。横ずれ断層型の応力場では、横ずれ断層型のすべり角を再現することができた。さらに摩周湖内に分布する正断層型のすべり角を再現した。逆断層型の応力場を使用した場合、雌阿寒岳南の逆断層型のすべり角を再現できた。これらのことから、雌阿寒岳の南には逆断層型応力場が局所的に分布し、北海道東部全体ではトランスプレッシブまたは横ずれ断層型の応力場が分布すると考えられる。
まとめ
北海道東部の西側はトランスプレッシブ、東側は横ずれ断層型の応力場が分布しSHmax方向はプレート収束方向と整合的である。本結果は、先行研究の傾向と整合的である。雌阿寒岳の南に局所的に逆断層型の応力場が分布することを見出した。雌阿寒岳南には活断層が定義されていないため、第三紀断層の弱面が地下で活動している可能性がある。屈斜路カルデラ〜摩周湖地域では、メカニズム解のP軸方向がプレート収束方向と異なる。この地域の応力場には火山活動や地形が影響している可能性がある。今回この地域で限定的に引張応力場が存在することは明示できなかった。