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[SSS12-16] Double-Difference法を用いた日向灘南部のM7クラスの繰り返し地震発生域の地震活動の特徴

キーワード:日向灘、海底地震計、地震活動
日向灘はユーラシアプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込んでいる領域で,地震活動が活発である.特に日向灘南部 (宮崎市や日南市の沖合) のプレート境界では,約30年に一度の頻度でM7クラスの地震が発生していることが知られており,2024年8月8日にはM7.1の地震が発生した.気象庁一元化震源カタログによると,その後の余震活動は沖合の方向へ活発化したことが分かる.しかし,気象庁一元化震源に掲載されている日向灘で発生する地震は陸上地震観測点のデータのみで解析しているため震源決定精度が低く,特に深さについては既往のプレート境界モデルの深さとのずれが沖合に行くほど顕著である.そこで,本発表では,海底地震観測期間中の精度良く求められた震源を用いて2024年8月8日の日向灘地震前後に発生した地震の震源をdouble-difference法 (Zhang and Thurber, 2003) で再決定した結果とそれらの地震活動の特徴について報告する.
海底地震観測期間中の精度良く求められた震源として,平田・他 (2024,地震学会) の結果を用いた.平田・他では,2021年から2022年にかけて,日向灘南部の浅部スロー地震と通常の地震の発生領域境界部において行われた海底地震観測により得られた10 点の海底地震計のデータと宮崎県沿岸の10点の陸上地震観測点のデータ,およびNakanishi et al. (2018) から作成した三次元速度構造を使用し,宮崎県沿岸部~海底地震観測網の間の領域で海底地震観測期間中に発生したM0 以上の地震を気象庁一元化震源カタログから抽出し,double-difference法を用いて震源再決定を行った.その結果,沖合で発生するイベントほど再決定後の震源は再決定前の位置から大きく陸の方向に移動した (最大で10 kmほど).
平田・他で抽出した地震活動の一部は,2024年8月8日の日向灘地震後にも活発化した領域と重なっており,使用した陸上地震観測点は2024年8月8日の日向灘地震時にも稼働していることから,この地震の余震活動についても同一観測点を用いたdouble-difference法によって精度良く震源位置を推定できると考えられる.暫定的な解析では,南部の余震はプレート境界付近に並ぶように再決定されていることが確認された.2024年の地震発生時には,N-net (南海トラフ海底地震津波観測網)(Aoi et al., 2023) の沖合システムが既に稼働しており,データが取得されている.今後は,海底地震計のP波・S波の検測を行ってデータを加え,沖合における東西方向の震源決定精度をさらに向上させる.さらに,2024年の地震と近接している1996年10月のM6.9地震や同年12月のM6.7地震前後の地震活動と比較するため,当時から稼働している大学の陸上地震観測点のデータの再検測や追加検測を行い,これらの地震前後のイベントについても相対震源決定を行う予定にしている.その結果得られる震源分布や先行研究による断層モデル等を比較し,日向灘南部で発生するM7クラスの繰り返し地震のより良い理解を目指す.
謝辞:本研究は文部科学省委託研究「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」および文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の一環として実施されました.海底地震計の設置・回収は長崎大学水産学部附属練習船「長崎丸」および海洋エンジニアリング株式会社所属「第三開洋丸」によって行われました.両船の船員の皆様ならびに乗船された京都大学,九州大学,鹿児島大学,東京海洋大学,東京大学の皆様に感謝の意を表します.
海底地震観測期間中の精度良く求められた震源として,平田・他 (2024,地震学会) の結果を用いた.平田・他では,2021年から2022年にかけて,日向灘南部の浅部スロー地震と通常の地震の発生領域境界部において行われた海底地震観測により得られた10 点の海底地震計のデータと宮崎県沿岸の10点の陸上地震観測点のデータ,およびNakanishi et al. (2018) から作成した三次元速度構造を使用し,宮崎県沿岸部~海底地震観測網の間の領域で海底地震観測期間中に発生したM0 以上の地震を気象庁一元化震源カタログから抽出し,double-difference法を用いて震源再決定を行った.その結果,沖合で発生するイベントほど再決定後の震源は再決定前の位置から大きく陸の方向に移動した (最大で10 kmほど).
平田・他で抽出した地震活動の一部は,2024年8月8日の日向灘地震後にも活発化した領域と重なっており,使用した陸上地震観測点は2024年8月8日の日向灘地震時にも稼働していることから,この地震の余震活動についても同一観測点を用いたdouble-difference法によって精度良く震源位置を推定できると考えられる.暫定的な解析では,南部の余震はプレート境界付近に並ぶように再決定されていることが確認された.2024年の地震発生時には,N-net (南海トラフ海底地震津波観測網)(Aoi et al., 2023) の沖合システムが既に稼働しており,データが取得されている.今後は,海底地震計のP波・S波の検測を行ってデータを加え,沖合における東西方向の震源決定精度をさらに向上させる.さらに,2024年の地震と近接している1996年10月のM6.9地震や同年12月のM6.7地震前後の地震活動と比較するため,当時から稼働している大学の陸上地震観測点のデータの再検測や追加検測を行い,これらの地震前後のイベントについても相対震源決定を行う予定にしている.その結果得られる震源分布や先行研究による断層モデル等を比較し,日向灘南部で発生するM7クラスの繰り返し地震のより良い理解を目指す.
謝辞:本研究は文部科学省委託研究「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」および文部科学省「災害の軽減に貢献するための地震火山観測研究計画(第2次)」の一環として実施されました.海底地震計の設置・回収は長崎大学水産学部附属練習船「長崎丸」および海洋エンジニアリング株式会社所属「第三開洋丸」によって行われました.両船の船員の皆様ならびに乗船された京都大学,九州大学,鹿児島大学,東京海洋大学,東京大学の皆様に感謝の意を表します.