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[SSS12-P05] S-netデータを用いた微小地震のメカニズム解推定による東北地方沿岸域の正断層場生成機構の解明
キーワード:正断層場生成機構、東北地方沿岸域、メカニズム解、S-net
2011年東北地方太平洋沖地震の発生以降、東北地方の沿岸域や上盤プレート内では地震活動が活発化し、日本列島では珍しい正断層型の地震が多発するようになった。特に、2011年4月11日に福島県いわき市で発生したMj7.0の地震や、2016年11月22日に発生したMj7.4の福島県沖の地震など、M7を超える正断層型の大地震が起きるなど、当該地域における正断層型地震のポテンシャル評価の必要性が高まっている。
本研究では、東北地方沿岸域の地震発生場を理解するため、日本海溝海底地震津波観測網 (S-net)(Aoi et al., 2020; Kanazawa et al., 2016; Mochizuki et al., 2017; Uehira et al., 2016)に搭載された高感度速度型地震計のデータを活用し、微小地震のメカニズム解を高精度で推定することを試みた。微小地震のメカニズム解は、P波初動極性を用いる方法が一般的であるが、地震規模が小さくなるとP波初動の押し引きを認識できる観測点が限られ、一意に決定することが困難となる。これを克服するため、本研究では、P波とS波の振幅値も併用する手法を適用した(Imanishi et al., 2011)。しかしながら、S-netに搭載された速度計の固有周波数は15Hzと高いため、メカニズム解推定に重要な低周波成分の振幅が減衰している。例えば、マグニチュード2程度の場合、2Hz付近の振幅値は100倍近く小さくなっている。多数の地震データを検証した結果、S/Nがある程度担保されていれば、地震計の周波数特性を適切に補正(デコンボリューション)することで、S-net観測点の速度計から真の振幅値を復元でき、微小地震のメカニズム解推定に利用可能であることがわかった。
福島県沖や茨城県沖で発生した地震について震源決定とメカニズム解の推定を行った結果、S-netデータを加えることで解の精度が向上し、少なくともMj2.0までの微小地震のメカニズム解を推定できることを確認した。また、Imanishi et al. (2012) が茨城県沖で示唆した、プレート境界から陸側に向かって延びる分岐断層に関連する地震活動が、S-netデータを用いた解析でも確認され、分岐断層周辺の応力場が正断層すべりを促進する状態にあることも明らかになった。今後は、日本海溝全域にわたる網羅的なメカニズム解の推定を進めるとともに、速度構造や地震活動、音波探査結果などの多様な情報を統合し、正断層場生成機構の包括的な検討を行う必要がある。
謝辞:解析には防災科研H-net、S-net、気象庁、東北大学の波形データを利用させていただきました。記して感謝いたします。
本研究では、東北地方沿岸域の地震発生場を理解するため、日本海溝海底地震津波観測網 (S-net)(Aoi et al., 2020; Kanazawa et al., 2016; Mochizuki et al., 2017; Uehira et al., 2016)に搭載された高感度速度型地震計のデータを活用し、微小地震のメカニズム解を高精度で推定することを試みた。微小地震のメカニズム解は、P波初動極性を用いる方法が一般的であるが、地震規模が小さくなるとP波初動の押し引きを認識できる観測点が限られ、一意に決定することが困難となる。これを克服するため、本研究では、P波とS波の振幅値も併用する手法を適用した(Imanishi et al., 2011)。しかしながら、S-netに搭載された速度計の固有周波数は15Hzと高いため、メカニズム解推定に重要な低周波成分の振幅が減衰している。例えば、マグニチュード2程度の場合、2Hz付近の振幅値は100倍近く小さくなっている。多数の地震データを検証した結果、S/Nがある程度担保されていれば、地震計の周波数特性を適切に補正(デコンボリューション)することで、S-net観測点の速度計から真の振幅値を復元でき、微小地震のメカニズム解推定に利用可能であることがわかった。
福島県沖や茨城県沖で発生した地震について震源決定とメカニズム解の推定を行った結果、S-netデータを加えることで解の精度が向上し、少なくともMj2.0までの微小地震のメカニズム解を推定できることを確認した。また、Imanishi et al. (2012) が茨城県沖で示唆した、プレート境界から陸側に向かって延びる分岐断層に関連する地震活動が、S-netデータを用いた解析でも確認され、分岐断層周辺の応力場が正断層すべりを促進する状態にあることも明らかになった。今後は、日本海溝全域にわたる網羅的なメカニズム解の推定を進めるとともに、速度構造や地震活動、音波探査結果などの多様な情報を統合し、正断層場生成機構の包括的な検討を行う必要がある。
謝辞:解析には防災科研H-net、S-net、気象庁、東北大学の波形データを利用させていただきました。記して感謝いたします。