日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS12] 地震活動とその物理

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:千葉 慶太(公益財団法人 地震予知総合研究振興会)、吉光 奈奈(京都大学)

17:15 〜 19:15

[SSS12-P06] 地熱地域の微小地震へのETAS解析適用に向けた解析条件の基礎検討

青栁 直樹1、*岡本 京祐1浅沼 宏1椋平 祐輔2 (1.産業技術総合研究所、2.東北大学)

キーワード:微小地震、地熱地域、ETASモデル

地熱地域では蒸気生産量の増大・安定化のため,地熱貯留層に人工的に注水することがある。その際に発生する微小地震の発生時刻・分布から地熱貯留層の挙動を間接的に評価することができるが,注水にかかわる流体流動起因以外の地震との弁別が必要である。そのための手段の一つとして, ETAS解析が挙げられる。ETAS解析では,観測された地震群をポアソン過程に従う独立なイベント(μ)と改良大森公式に従う余震群の重ね合わせで説明する。地熱地域のような流体活動が活発な地域では,µは流体流動起因の微小地震の発生確率に近いと考えることが可能である。注水の際には,注水に伴うETASパラメータの時空間的な変化を検討する必要がある。加えてETAS解析では,安定した解析のために十分な地震イベント数があることが望ましい。一方で,時空間ETAS解析の際には,地震カタログを複数に分割する必要があるため,安定したパラメータ推定が困難となることが危惧される。さらに,地熱地域では流体活動が活発なため,地熱地域の微小地震は通常の自然地震とは大きく異なるETASパラメータを持つ可能性があり,地熱地域の地震活動に特化した検討が必要となる可能性がある。そこで,本研究では,奥会津地熱地域(福島県)の地震発生傾向を模擬した人工地震カタログを対象に,ETAS解析に必要な地震イベント数の最小閾値を検討する。まず,人工カタログに対して,解析窓に含まれる地震イベント数を系統的に変化させながら(全16パターン),各パターン1000回ずつ解析を行った。パターンごとに,推定された1000個のETASパラメータの分布が正規分布であることを確認し,平均と標準偏差を算出した。その結果,解析窓に含まれる地震イベント数が100以上の条件で,µの推定結果が正規分布に従うことが確認された。同様に,100イベント以上の条件で,µの推定結果の1σ内に人工カタログ作成時のパラメータ(真値)が含まれることが確認された。本研究では,地熱地域における微小地震を対象としたETAS解析では,100イベント以上を用いれば高精度にパラメータ推定が可能であると示唆された。今後,この知見を活かして,地熱地域におけるETASパラメータの時空間変化の検討を行う予定である。