日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS12] 地震活動とその物理

2025年5月28日(水) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:千葉 慶太(公益財団法人 地震予知総合研究振興会)、吉光 奈奈(京都大学)

17:15 〜 19:15

[SSS12-P07] Epidemic-Type Aftershock Sequenceモデルを
用いた新潟県中越地方の地震活動の時空間解析 (2)

*内田 晴海1岡田 知己1藤村 遼太郎1田上 綾香2 (1.東北大学大学院理学研究科附属地震・噴火予知研究観測センター、2.北海道大学)

キーワード:ETASモデル、地震、地震活動

ETAS(Epidemic-Type Aftershock Sequence)モデル(Ogata, 1988)は、すべての地震が余震をもつという仮定のもとである期間における対象領域での地震発生率を表す統計モデルである。また、新潟県中越地方は日本海東縁変動帯に属し、かつ新潟-神戸歪み集中帯に位置しており、過去に大地震が頻繁に起きている。近年では2004年に発生したM6.8の新潟県中越地震や2007年に発生したM6.8の新潟県中越沖地震が大規模な地震として知られている。
本研究では気象庁一元化震源カタログのデータ(M3以上)をもとに、時空間ETASモデル(Ogata, 1998)を用いて新潟県中越地方の2000-2020年の地震活動の時空間解析を行った。ETASパラメータの推定にはA. Jalilian (2019)のパッケージを使用した。
 新潟県中越地震(2004)・新潟県中越沖地震(2007)を含む時系列でETASパラメータのフィッティングを行ったところ、実際の地震活動はETASモデルを下回る結果となった(図)。これは、新潟県中越地震では本震後にM6以上の余震が複数回発生し一時的にb値が低下したためETASモデルが実際の地震活動を過大評価した可能性がある。
さらに、これらの時系列において、その前後の期間と比較して背景地震活動率の低下が見られた。背景地震活動率の低下について詳しく検討するために、新潟県中越地方の研究対象領域全体と新潟県中越地震の震源域それぞれで、新潟県中越地震の本震直後の時系列に対してETASパラメータを推定したところ、研究領域全体で推定した背景地震活動率 μ が、同じ領域の他の期間に対して推定した場合や、同じ期間で震源域に範囲を設定してパラメータ推定した場合よりも一桁以上小さくなることがわかった。これについて、新潟県中越地震のすべりによるクーロン破壊応力の変化が影響している可能性を考え、本震断層に対するΔCFFを計算したところΔCFFが上昇したのは震源域のみで、その周辺では比較的広い範囲で低下したことが分かった。したがって、新潟県中越地震の震源域周辺ではクーロン破壊応力の低下により地震活動が静穏化し、背景地震活動率が低下した可能性がある。
また。新潟県中越沖地震は本震震源が余震域の端の方にあり、ETASモデルでは本震から同心円状に余震が広がることを仮定して地震活動を表すため、本震震源をより余震域の中央に近いセントロイドに置き換えて新潟県中越沖地震を含む時系列でETASモデルのフィッティングを行った。その結果、新潟県中越沖地震の本震震央をセントロイドに置き換えてフィッティングを行う方が実際の地震活動とモデルがよく合う結果となることが分かった。さらに、セントロイドに置き換えた場合のETASパラメータについて、余震の生産性であるA が新潟県中越地震を含む時系列よりも小さくなることが分かった。これについて、新潟県中越沖地震の方が震源断層が成熟していること、新潟県中越沖地震の震源が新潟県中越地震によってΔCFFが減少した地域であることなどが原因として挙げられる。