17:15 〜 19:15
[SSS12-P13] 南海トラフ海底地震津波観測網を活用した日向灘から四国沖の地震,浅部微動解析
キーワード:地震カタログ、N-net、浅部微動、南海トラフ
気象庁では,文部科学省と協力して防災科学技術研究所,大学等の関係機関の地震波形を一元的に収集し,地震カタログ(以下,一元化震源)を作成している.この一元化震源では, 2020年9月からは陸域走時表(JMA2001; 上野・他,2002)に加えて,海底地震計に対して日本海溝の陸側用(JMA2020A),日本海溝の外側用(JMA2020B),南海トラフ領域用(JMA2020C)の3種類の海域走時表を追加し,S-netやDONET等の海底地震観測網を活用している.一方,南海トラフ海底地震津波観測網(N-net)の沖合システムは2024年7月に防災科学技術研究所によって整備され,現在整備中の沿岸システムと合わせて一元化震源等への活用を検討しているところである.本発表では, N-net沖合システム18地点の3成分速度波形を用いて,地震および浅部微動の解析を行ったので報告する.
まず,震源決定では重力加速度の向きから上下動が正しくなるようにベクトル変換後,PF法 (Tamaribuchi, 2018) による自動震源決定を行った.初期解析として,速度構造はDONETと同じJMA2020C,観測点補正値はDONETの平均値(P波+0.68秒,S波+2.06秒)を全地点において適用した.その結果,日向灘の海溝軸付近の地震活動が従来深さ40 km程度に決定されていたものが,10 km程度と有意に浅くなることを確認した.この結果は,プレート境界付近での活動を示唆する可能性がある.一方,2024年8月8日の日向灘の地震を含む観測網の外の地震は系統的に深く決定された.これは,震源が観測網の外であることや観測点補正値を最適化していないことが原因として考えられる.
次に,浅部微動はエンベロープ相関と最大振幅を用いたハイブリッド法 (Tamaribuchi et al., 2022) を使用した.微動検出処理,震源決定処理では0.5–5 Hzのバンドパスフィルタをかけた3成分合成波形を用いた.初期解析として観測点増幅度は全地点で一律の値とした.その結果,2024年8月8日に日向灘で発生したM7.1の地震後からその沖合側で微動活動が活発になったことを確認した.微動分布はYamashita et al. (2021) など,過去の海底地震観測から得られた結果と調和的であった.
これらのことから,N-netを活用することで,南海トラフ沿いの海溝軸付近の地震及び微動活動のより詳細な把握が可能になることを示唆する.今後,沖合システムと沿岸システムにおける観測点補正値や地盤増幅度を検討したうえで,一元化震源や浅部微動の検出への活用を目指す.
謝辞:防災科研N-net,一元化震源のデータを使用しました.
まず,震源決定では重力加速度の向きから上下動が正しくなるようにベクトル変換後,PF法 (Tamaribuchi, 2018) による自動震源決定を行った.初期解析として,速度構造はDONETと同じJMA2020C,観測点補正値はDONETの平均値(P波+0.68秒,S波+2.06秒)を全地点において適用した.その結果,日向灘の海溝軸付近の地震活動が従来深さ40 km程度に決定されていたものが,10 km程度と有意に浅くなることを確認した.この結果は,プレート境界付近での活動を示唆する可能性がある.一方,2024年8月8日の日向灘の地震を含む観測網の外の地震は系統的に深く決定された.これは,震源が観測網の外であることや観測点補正値を最適化していないことが原因として考えられる.
次に,浅部微動はエンベロープ相関と最大振幅を用いたハイブリッド法 (Tamaribuchi et al., 2022) を使用した.微動検出処理,震源決定処理では0.5–5 Hzのバンドパスフィルタをかけた3成分合成波形を用いた.初期解析として観測点増幅度は全地点で一律の値とした.その結果,2024年8月8日に日向灘で発生したM7.1の地震後からその沖合側で微動活動が活発になったことを確認した.微動分布はYamashita et al. (2021) など,過去の海底地震観測から得られた結果と調和的であった.
これらのことから,N-netを活用することで,南海トラフ沿いの海溝軸付近の地震及び微動活動のより詳細な把握が可能になることを示唆する.今後,沖合システムと沿岸システムにおける観測点補正値や地盤増幅度を検討したうえで,一元化震源や浅部微動の検出への活用を目指す.
謝辞:防災科研N-net,一元化震源のデータを使用しました.