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[SSS14-17] 伊予灘北部海域における高分解能反射法音波探査
キーワード:海底活断層、高分解能反射法音波探査、瀬戸内海
産総研では「防災・減災のための高精度デジタル地質情報の整備事業」の一環として,2024年度から瀬戸内海西部の伊予灘(瀬戸内海西部の山口県・大分県・愛媛県の沖合の海域)に分布する海底活断層を対象とした活断層調査を実施している.瀬戸内海は日本最大の内湾であり,瀬戸内海とその臨海地域は海上交通をはじめとする交通インフラ・水産業・工業・エネルギー産業・観光産業等の観点から重要なエリアである.瀬戸内海西部,伊予灘の南縁には,北東−南西方向に中央構造線断層帯(MTL)が分布する(例えば,地震調査研究推進本部地震調査委員会,2017).佃(1990,1992)によれば,瀬戸内海の大地形はMTLの北側に数十kmの幅で発達する右横ずれ剪断帯(瀬戸内剪断帯)として説明できる.しかしながら,瀬戸内剪断帯におけるネオテクトニクスの詳細は未解明であり,海域には断層の分布等に関する資料が不足した「調査の空白域」が残されている.こうした「調査の空白域」の1つである周防灘および伊予灘では2007−2008年に音波探査等が実施され,新たに海底活断層が発見・報告された(例えば,田中ほか,2010,2011).新たに発見された海底活断層による地震災害リスクを把握するため,これらの断層帯で発生する大地震の規模・発生確率等を精度良く評価するための調査研究が急務である.こうした経緯を踏まえて,2024年度には伊予灘北部海域に新たに発見された海底活断層の正確な位置・形状を把握し,掘削調査(過去の断層活動に関する調査)のサイトサーヴェイを行うための高分解能反射法音波探査を実施した.
本研究では,調査対象海域の新第三系〜第四系の地質構造を確実に把握するとともに,後期更新世以降における断層活動の有無や具体的な活動履歴を検討するため,2種類の音源を用いたマルチチャンネル反射法音波探査(MCS探査)とパラメトリック方式のSBP探査を実施した(現地調査は2024年10月31日から12月13日に実施).MCS探査の仕様については,先行研究から推定される堆積層の層厚や海況(船舶の航行,潮流,島嶼および海峡の地理的関係や水深等)を考慮し,Mini GIガンを音源とする高分解能マルチチャンネル反射法音波探査(GIガンMCS.チャンネル数:24,チャンネル間隔:6.25 m,総測線長:約84 km)および出力400Jのスパーカーを音源とする高分解能マルチチャンネル反射法音波探査(スパーカーMCS.チャンネル数:16,チャンネル間隔:2.5 m,総測線長:約240 km)を実施することにした.また,海底面付近の堆積物の分布・地質構造を把握するためのSBP探査(総測線長:約240 km.スパーカーMCSと同時に実施)を行った.MCS探査で取得した探査記録について,各種フィルタ・速度解析・重合処理等によって高品質なマイグレーション時間断面を作成した.
取得したマイグレーション時間断面によれば,調査対象海域では起伏を持つ堆積盆(伊予灘の中央部付近における最大深度:往復走時0.6〜0.7 s)を埋積するように成層した堆積層が分布している.田中ほか(2010,2011)によって報告されたように,一連の海底活断層が屋代島(山口県周防大島町)南岸の安下庄(あげのしょう)湾から国東半島(大分県国東市国東町)の沖合にかけて分布し,海底面付近までの堆積層を累積的に変位させていることを確認できる.本発表では,伊予灘に分布する海底活断層の連続性や性状について,新たに取得した探査記録にもとづいて報告する.
謝辞:現地調査にあたって,山口県,大分県,愛媛県の地元自治体・関係機関の皆様に調査の意義をご理解いただき,全面的にご協力いただきました.特に地元の漁業関係者の方々には様々なご助言やご支援をいただきました.記して感謝いたします.
引用文献:地震調査研究推進本部地震調査委員会(2017)中央構造線断層帯(金剛山地東縁-由布院)の長期評価(第二版).佃(1990)構造地質.佃(1992)地質学論集.田中ほか(2010)日本応用地質学会発表会講演論文集.田中ほか(2011)JpGU2011.
本研究では,調査対象海域の新第三系〜第四系の地質構造を確実に把握するとともに,後期更新世以降における断層活動の有無や具体的な活動履歴を検討するため,2種類の音源を用いたマルチチャンネル反射法音波探査(MCS探査)とパラメトリック方式のSBP探査を実施した(現地調査は2024年10月31日から12月13日に実施).MCS探査の仕様については,先行研究から推定される堆積層の層厚や海況(船舶の航行,潮流,島嶼および海峡の地理的関係や水深等)を考慮し,Mini GIガンを音源とする高分解能マルチチャンネル反射法音波探査(GIガンMCS.チャンネル数:24,チャンネル間隔:6.25 m,総測線長:約84 km)および出力400Jのスパーカーを音源とする高分解能マルチチャンネル反射法音波探査(スパーカーMCS.チャンネル数:16,チャンネル間隔:2.5 m,総測線長:約240 km)を実施することにした.また,海底面付近の堆積物の分布・地質構造を把握するためのSBP探査(総測線長:約240 km.スパーカーMCSと同時に実施)を行った.MCS探査で取得した探査記録について,各種フィルタ・速度解析・重合処理等によって高品質なマイグレーション時間断面を作成した.
取得したマイグレーション時間断面によれば,調査対象海域では起伏を持つ堆積盆(伊予灘の中央部付近における最大深度:往復走時0.6〜0.7 s)を埋積するように成層した堆積層が分布している.田中ほか(2010,2011)によって報告されたように,一連の海底活断層が屋代島(山口県周防大島町)南岸の安下庄(あげのしょう)湾から国東半島(大分県国東市国東町)の沖合にかけて分布し,海底面付近までの堆積層を累積的に変位させていることを確認できる.本発表では,伊予灘に分布する海底活断層の連続性や性状について,新たに取得した探査記録にもとづいて報告する.
謝辞:現地調査にあたって,山口県,大分県,愛媛県の地元自治体・関係機関の皆様に調査の意義をご理解いただき,全面的にご協力いただきました.特に地元の漁業関係者の方々には様々なご助言やご支援をいただきました.記して感謝いたします.
引用文献:地震調査研究推進本部地震調査委員会(2017)中央構造線断層帯(金剛山地東縁-由布院)の長期評価(第二版).佃(1990)構造地質.佃(1992)地質学論集.田中ほか(2010)日本応用地質学会発表会講演論文集.田中ほか(2011)JpGU2011.