日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-SS 地震学

[S-SS14] 活断層と古地震

2025年5月26日(月) 15:30 〜 17:00 展示場特設会場 (6) (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:小荒井 衛(茨城大学理学部理学科地球環境科学コース)、矢部 優(産業技術総合研究所)、大橋 聖和((国研)産業技術総合研究所)、楮原 京子(山口大学)、座長:楮原 京子(山口大学)、大橋 聖和((国研)産業技術総合研究所)

16:00 〜 16:15

[SSS14-21] 1969年に生じたHuaytapallana地震断層におけるトレンチ調査結果

*白濱 吉起1、Lorena Rosell2、Anderson Palomino2、Carlos Benavente2近藤 久雄3 (1.東京大学、2.地質鉱業冶金研究所、3.産業技術総合研究所)

キーワード:トレンチ調査、ペルー、ワイタパラナ断層、地表地震断層

ペルーはナスカプレートの南アメリカプレートへの沈み込みに伴い,地震活動が活発な地域である.沈み込み帯において発生する巨大地震は研究が進んでいるものの,内陸で発生する地震についてはよくわかっていない.内陸地震は都市近郊で発生することから,強い揺れを伴うとともに,断層のずれそのものによる被害が生じうるため,地震ハザード評価において内陸地震について知ることは重要である.Huaytapallana断層はワンカヨ市の西に延びる断層で,リマ市から約200km東に位置する.7月24日のMs 5.7の地震と10月1日のMs 6.2の地震の二つのイベントとして記録されている1969年の地震の震源断層である.この地震に伴い地表地震断層が生じたとされるが,標高4000mを越える高標高地帯にあることから野外調査が困難であり,その分布等についてよくわかっていない.我々は高解像度のAW3D衛星画像と1mグリッドのDEMから地表地震断層を再判読した.その結果,2.5kmのギャップを含む長さ約21kmの地表地震断層の分布が明らかとなった.地表地震断層の変位は北部において上下約2mで水平変位なし,南部において上下約1.8m,左横ずれ約0.7mと報告されている.しかし,地表地震断層沿いの累積変位が確認できる地形は少ないものの,北部の地震断層沿いにおいて氷河湖の湖岸線及び湖性段丘面の段丘崖に横ずれ変位が認められた.
我々は1969年の地震以前の活動を調査し,Huaytapallana断層の活動性を明らかにするため,トレンチ調査を実施した.トレンチ掘削地点は,横ずれ変位の認められた氷河湖の南側,断層沿いに約70m離れた地点とし,断層に直交するように幅約4m,長さ約20m,深さ約3mのトレンチを掘削した.掘削の結果,氷河のアウトウォッシュ堆積物とそれを覆う湖性堆積物が地層として認められ,それらを切断・変形させる北東側上がりの断層が複数条認められた.最も北東側の断層はほぼ直立しており,断層近傍において地層の落ち込みが生じていた.それより南西側に1~2条のブルドージングを伴う逆断層が認められた.これらの断層による変位を合算すると,断層帯全体の上下変位量はおおよそ2mであることから,断層沿いの変形の大半は1969年の地震時の変位によって生じたと考えられる.一方,隆起側においてアウトウォッシュ堆積物は北西側に単傾斜し,湖性堆積物がそれを不整合に覆っていた.これは湖性堆積物堆積以前に活動したことを示唆する.本発表では、トレンチ観察結果とHuaytapallana断層の活動性について議論する.