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[SSS14-P02] 石川県西方沖の2024年M6.6の地震に関する地震活動と重力異常に基づく断層構造
キーワード:羽咋沖西断層、羽咋沖東断層、重力異常、震源再決定
2024年1月1日に発生した令和6年能登半島地震(M7.6)の震源域に隣接する石川県西方沖にて2024年11月26日にM6.6の地震が発生した。本発表では、M6.6の震源域周辺での震源再決定結果と重力異常から推定される断層構造について報告する。
石川県西方沖には、羽咋沖西断層、羽咋沖東断層といった海底活断層が存在する(地震調査研究推進本部, 2024)。令和6年能登半島地震によるクーロン破壊応力変化は、これらの海底活断層では正となる。実際に、石川県西方沖では、2024年1月から10月末までのM1.5以上の地震数は、2024年以前の10年間の地震数と比べると約10〜100倍以上であり、正のクーロン破壊応力変化による地震活動の活発化が顕著な地域であった。
DD法による再震源決定結果は、概ね西傾斜の震源分布を示すが、余震域の南部では西傾斜の震源分布を示す。断層面が断層深部で低角な傾斜、浅部で広角な傾斜をもつと考えると、M6.6の地震の震源断層は、羽咋沖西断層の深部延長に位置すると考えられる。M6.6の震源の浅部側で、2024年の1月下旬から2月上旬、9月末から10月、11月中旬に地震活動の活発化があった。これらの期間の地震活動域は1 km/10日程度の速さで拡大しているようにも見え、小規模なスロースリップが起こっていた可能性を示唆する。
石川県西方沖の海域では、多くの測線で音波探査が実施され、地下構造断面図が得られている(片川・他, 2005; 岡村, 2007; 井上・他, 2007)。澤田・他(2022)は、これらの地下構造断面図から、この海域の4層から成る3次元地下構造モデルを作成した。
本研究では、日本重力データベースDVD版(産業総合技術研究所, 2013)の重力データを用い、仮定密度2300 kg/m3として重力異常値を算出した。さらに、石川県西方沖の海域の基盤構造により生じる重力異常に注目するために、澤田・他(2022: 日本海域研究)による3次元地下構造モデルの上位3層と第4層の密度差により生じる重力異常を補正し、擬似的な2層構造による重力異常(以降、2層化重力異常)を推定した。この2層化重力異常は基盤構造が作る重力異常をより強く反映すると考えられる。本研究では、この2層化重力異常の水平一次微分と鉛直一次微分を計算した。
水平一次微分は、羽咋沖西断層、羽咋沖東断層に沿って、断層トレースの西側で高い値を示し、基盤での鉛直変位を伴う断層構造の存在を示す。また、鉛直一次微分は断層トレースの東側で高い値を示す。これらのことから、これらの2つの断層は、インバージョンテクトニクスにより形成され、基盤では鉛直変位が戻り切っていない、すなわち基盤では正断層の構造が現在も保持されていると考えられる。また、水平一次微分と鉛直一次微分が不連続的であることから、羽咋沖西断層や羽咋沖東断層の断層構造はこれらの北に位置する海士岬沖東断層や門前断層帯の断層構造とは連続しないと考えられる。
謝辞:気象庁の験測値データおよび防災科学研究所Hi-net、京都大学、東京大学の地震観測点で得られた地震波形、および産業総合技術研究所の重力データを使用しました。記して感謝します。
石川県西方沖には、羽咋沖西断層、羽咋沖東断層といった海底活断層が存在する(地震調査研究推進本部, 2024)。令和6年能登半島地震によるクーロン破壊応力変化は、これらの海底活断層では正となる。実際に、石川県西方沖では、2024年1月から10月末までのM1.5以上の地震数は、2024年以前の10年間の地震数と比べると約10〜100倍以上であり、正のクーロン破壊応力変化による地震活動の活発化が顕著な地域であった。
DD法による再震源決定結果は、概ね西傾斜の震源分布を示すが、余震域の南部では西傾斜の震源分布を示す。断層面が断層深部で低角な傾斜、浅部で広角な傾斜をもつと考えると、M6.6の地震の震源断層は、羽咋沖西断層の深部延長に位置すると考えられる。M6.6の震源の浅部側で、2024年の1月下旬から2月上旬、9月末から10月、11月中旬に地震活動の活発化があった。これらの期間の地震活動域は1 km/10日程度の速さで拡大しているようにも見え、小規模なスロースリップが起こっていた可能性を示唆する。
石川県西方沖の海域では、多くの測線で音波探査が実施され、地下構造断面図が得られている(片川・他, 2005; 岡村, 2007; 井上・他, 2007)。澤田・他(2022)は、これらの地下構造断面図から、この海域の4層から成る3次元地下構造モデルを作成した。
本研究では、日本重力データベースDVD版(産業総合技術研究所, 2013)の重力データを用い、仮定密度2300 kg/m3として重力異常値を算出した。さらに、石川県西方沖の海域の基盤構造により生じる重力異常に注目するために、澤田・他(2022: 日本海域研究)による3次元地下構造モデルの上位3層と第4層の密度差により生じる重力異常を補正し、擬似的な2層構造による重力異常(以降、2層化重力異常)を推定した。この2層化重力異常は基盤構造が作る重力異常をより強く反映すると考えられる。本研究では、この2層化重力異常の水平一次微分と鉛直一次微分を計算した。
水平一次微分は、羽咋沖西断層、羽咋沖東断層に沿って、断層トレースの西側で高い値を示し、基盤での鉛直変位を伴う断層構造の存在を示す。また、鉛直一次微分は断層トレースの東側で高い値を示す。これらのことから、これらの2つの断層は、インバージョンテクトニクスにより形成され、基盤では鉛直変位が戻り切っていない、すなわち基盤では正断層の構造が現在も保持されていると考えられる。また、水平一次微分と鉛直一次微分が不連続的であることから、羽咋沖西断層や羽咋沖東断層の断層構造はこれらの北に位置する海士岬沖東断層や門前断層帯の断層構造とは連続しないと考えられる。
謝辞:気象庁の験測値データおよび防災科学研究所Hi-net、京都大学、東京大学の地震観測点で得られた地震波形、および産業総合技術研究所の重力データを使用しました。記して感謝します。