17:15 〜 19:15
[SSS14-P07] 珠洲市若山川沿いに生じた断層の掘削調査と周辺の露頭観察
キーワード:若山川、地表変状、能登半島地震、褶曲、断層
令和6年能登半島地震に伴い,珠洲市若山町を流れる若山川に沿って部分的に 2 m を超える断層崖が生じた.この崖の一部は,既存の崖地形と重なることから,崖をつくる断層が過去に繰り返し活動していた可能性がある.我々は,この崖の成因と過去にも同じような活動があったかどうかを明らかにするために,断層崖を横切るトレンチ掘削調査を実施した.また,令和 6 年 9 月能登半島豪雨により若山川が氾濫し,その際の侵食によって断層露頭が出現したことから,その露頭の観察も実施した.
掘削地点は,珠洲市若山町宗末の若山川左岸側,県道 40 号の北側の畑である.令和6年能登半島地震の際に,この畑に山側(北側)が低下する高さ約 1 m の断層崖が生じた.過去の空中写真では,この断層崖と同じ場所に類似の崖が認められる.また,ハンドオーガーを用いた調査から,断層崖の低下側に未固結の砂層,シルト層,泥層,礫混じり砂層などが分布することを確認した.以上のことから,この場所では,過去に繰り返し活動した証拠が残っている可能性が高いと考えて,この地点で断層崖に直交する方向のトレンチ掘削調査を実施した.露頭観察地点は,珠洲市若山町中の若山川左岸,須郷多橋の下流 20 m 付近である.洪水に伴い護岸ブロックが流され,幅約 40 m の連続露頭が現れた.この地点では,LiDARやトータルステーションを用いた地形計測も合わせて実施し,断層周辺の地形と地質との関係にも注目しながら観察した.
トレンチ壁面には,断層崖付近を境に南側に割れ目が発達するシルト岩が分布し,北側に円礫層・角礫層・砂礫層・泥層などが分布する.崖付近の地下には,礫層を変位させる断層が少なくとも6条認められる.多くの断層はほぼ東西走向で南へ20°〜44°傾斜する.この断層の姿勢は,トレンチ調査地点から東へ約 200 m 離れた露頭で見られるシルト岩の層理面の走向・傾斜と調和的である.地表まで達する断層については,2024年1月1日の地震の際の上下変位量が約1 m であるのに対して,シルト岩の上面は少なくとも断層を挟んで南側が 1.7 m 以上高い.また,断層の礫層中への延長部では,礫層に挟まれる砂層や細礫層が変形しているが,地表面に変形は見られない.また,礫の長軸の姿勢は,一般的に低角なものが多いが,断層付近では高角のものが多くなる.なお,礫層中から採取した植物片の放射性炭素年代測定の結果は,770-658 cal BPであった.
洪水によって露出した露頭では,高角な割れ目が発達したシルト岩を未固結の礫層と砂礫互層が覆う.露頭の北端付近の地表には約 1.4 m の南上がりの断層崖が分布しており,その崖の地下ではシルト岩と礫層の地層境界が断層を境に約 2.4 m 南側が高くなっている.その下流側約 20 m 付近では,シルト岩と礫層の境界が断層を境に約 0.3 m 南側が隆起しており,その地表では高さ約 0.2 m の断層崖が分布している.
これらの特徴から,一部の断層はシルト岩の層理面に沿った剪断によって形成されたと考えられる.その変位は今回の地震だけでなく,過去にも同じ場所で変位していた可能性が高く,過去約700年の間に少なくとも2回の変位があったと考えられる.
本研究は,JSPS科研費JP23K17482, JP23K04326, JP24K07162および令和6年能登半島地震金沢大学合同調査チーム(KUD)の助成を受けたものである.
掘削地点は,珠洲市若山町宗末の若山川左岸側,県道 40 号の北側の畑である.令和6年能登半島地震の際に,この畑に山側(北側)が低下する高さ約 1 m の断層崖が生じた.過去の空中写真では,この断層崖と同じ場所に類似の崖が認められる.また,ハンドオーガーを用いた調査から,断層崖の低下側に未固結の砂層,シルト層,泥層,礫混じり砂層などが分布することを確認した.以上のことから,この場所では,過去に繰り返し活動した証拠が残っている可能性が高いと考えて,この地点で断層崖に直交する方向のトレンチ掘削調査を実施した.露頭観察地点は,珠洲市若山町中の若山川左岸,須郷多橋の下流 20 m 付近である.洪水に伴い護岸ブロックが流され,幅約 40 m の連続露頭が現れた.この地点では,LiDARやトータルステーションを用いた地形計測も合わせて実施し,断層周辺の地形と地質との関係にも注目しながら観察した.
トレンチ壁面には,断層崖付近を境に南側に割れ目が発達するシルト岩が分布し,北側に円礫層・角礫層・砂礫層・泥層などが分布する.崖付近の地下には,礫層を変位させる断層が少なくとも6条認められる.多くの断層はほぼ東西走向で南へ20°〜44°傾斜する.この断層の姿勢は,トレンチ調査地点から東へ約 200 m 離れた露頭で見られるシルト岩の層理面の走向・傾斜と調和的である.地表まで達する断層については,2024年1月1日の地震の際の上下変位量が約1 m であるのに対して,シルト岩の上面は少なくとも断層を挟んで南側が 1.7 m 以上高い.また,断層の礫層中への延長部では,礫層に挟まれる砂層や細礫層が変形しているが,地表面に変形は見られない.また,礫の長軸の姿勢は,一般的に低角なものが多いが,断層付近では高角のものが多くなる.なお,礫層中から採取した植物片の放射性炭素年代測定の結果は,770-658 cal BPであった.
洪水によって露出した露頭では,高角な割れ目が発達したシルト岩を未固結の礫層と砂礫互層が覆う.露頭の北端付近の地表には約 1.4 m の南上がりの断層崖が分布しており,その崖の地下ではシルト岩と礫層の地層境界が断層を境に約 2.4 m 南側が高くなっている.その下流側約 20 m 付近では,シルト岩と礫層の境界が断層を境に約 0.3 m 南側が隆起しており,その地表では高さ約 0.2 m の断層崖が分布している.
これらの特徴から,一部の断層はシルト岩の層理面に沿った剪断によって形成されたと考えられる.その変位は今回の地震だけでなく,過去にも同じ場所で変位していた可能性が高く,過去約700年の間に少なくとも2回の変位があったと考えられる.
本研究は,JSPS科研費JP23K17482, JP23K04326, JP24K07162および令和6年能登半島地震金沢大学合同調査チーム(KUD)の助成を受けたものである.