日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT40] 合成開口レーダーとその応用

2025年5月25日(日) 15:30 〜 17:00 105 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:阿部 隆博(三重大学大学院生物資源学研究科)、姫松 裕志(国土地理院)、朴 慧美(上智大学地球環境学研究科)、木下 陽平(筑波大学)、座長:阿部 隆博(三重大学大学院生物資源学研究科)

15:30 〜 15:45

[STT40-07] ALOS-4の初期校正検証運用結果と現在の運用状況について

★招待講演

*伊藤 奎政1勘角 幸弘1本岡 毅1、田殿 武雄1、大木 真人1柳谷 一輝1重光 勇太朗1 (1.宇宙航空研究開発機構)

キーワード:ALOS-4、合成開口レーダ

宇宙航空研究開発機構(以下,JAXA)は,先進レーダ衛星「だいち4号」(Advanced Land Observing Satellite-4,以下,ALOS-4)を,2024年7月1日12時6分42秒(日本時間,以下同じ)に種子島宇宙センターからH3ロケット3号機により打ち上げた.ALOS-4に搭載されるフェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(Phased Array type L-band Synthetic Aperture Radar-3,以下,PALSAR-3)は衛星搭載SARでは世界初となるデジタル・ビーム・フォーミング(DBF)技術を採用し、前号機であるALOS-2搭載のPALSAR-2から観測幅を最大4倍に拡大させ,観測頻度を大きく向上している.また,ALOS-4は,ALOS-2と同一軌道上で運用しており,両衛星の観測データを用いた高頻度かつ長期的な時系列解析など,幅広い分野への貢献が期待されている.打上げから約3か月間にわたり,衛星システム及び観測センサ等の搭載機器の機能を確認する初期機能確認運用を実施した.2025年2月時点においては,基本観測シナリオ(Basic Observation Scenario,以下,BOS)に基づいた観測及びユーザへのPALSAR-3標準プロダクトの配布開始に向け,PALSAR-3標準プロダクトの初期校正検証運用を実施中である.本発表では初期校正検証運用を含むALOS-4打上げ後の運用結果,及び今後の観測計画について説明する.
ALOS-4はロケットから分離後,太陽電池パドル及びPALSAR-3等のミッション機器アンテナの展開を正常に完了し,初期機能確認運用へと移行した.初期機能確認運用中の2024年7月15日から17日にかけてPALSAR-3による初観測を実施し, PALSAR-2の4倍となる200 km観測幅での観測に成功した.その後2024年10月より,BOSで使用する観測モード/ビームを優先に初期校正検証運用を実施中である.初期校正検証では,画像の幾何精度,アンテナパターン,ラジオメトリック精度,偏波精度,及びアンビギュイティをはじめとした画質の評価を実施しており,評価には地上に設置したCR(Corner Reflector)やARC(Active Radar Calibrator)などの校正機器やアマゾン森林などの自然ターゲットを利用している.
初期校正検証運用完了後はBOSに基づき主に災害用のベースマップ観測及び定常的な時系列観測を開始する予定であり,この際,時系列観測においては日本域とその他の世界全域で観測モードを分けて観測を行う.また,上記に加えユーザからの要望に応じたテーマ別観測を実施する予定であり,テーマ別観測の内容を含め,BOSについてはALOS-2との同時運用成果やユーザの意見を踏まえ,継続的にシナリオの見直し・改善を図っていく.最新のBOSについては下記のウェブサイト(https://www.eorc.jaxa.jp/ALOS/jp/alos-4/a4_observation_j.htm)にて公開している.