日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] 口頭発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT41] 地震観測・処理システム

2025年5月30日(金) 09:00 〜 10:30 106 (幕張メッセ国際会議場)

コンビーナ:友澤 裕介(鹿島建設)、久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)、座長:新谷 昌人(東京大学地震研究所)、原 辰彦(建築研究所国際地震工学センター)

10:00 〜 10:15

[STT41-05] 極端環境における地震観測をめざしたレーザー干渉式広帯域地震計の開発

*新谷 昌人1小野寺 圭祐2川村 太一3辻 健4田中 智5 (1.東京大学地震研究所、2.岡山大学惑星物質研究所、3.パリシテ大学地球物理研究所、4.東京大学大学院工学系研究科、5.宇宙航空研究開発機構宇宙科学研究所)

キーワード:レーザー干渉計、広帯域地震計、極端環境、月震観測網

地震観測では様々なタイプの地震計が用いられており、検出精度や帯域等の性能面とともに、温度環境や設置条件、占有できるサイズ・使用電力等のリソースに応じて使い分けられる。地下深部や月・惑星探査など極限環境における地震観測では、小型・省電力とともに高温環境での連続動作など高い環境耐性が求められる。半導体をベースとした計測方法と比べ、光計測を用いるとこれらのいくつかの課題を解決することが可能であり、特にレーザー干渉計は高い検出性能と環境耐性に優れている。

 本研究では地下深部や月・惑星探査における地震観測をめざし、レーザー干渉計を用いた広帯域地震計の開発をおこなっている。広帯域地震計として長周期の地震波を捉えるためには、無定位に近い長周期の振り子を感震部として用いる必要があるが、長周期の振り子は一般的に重いマスと弱いバネで構成され、サイズが大きく振動に弱い傾向がある。そのため、低周波の高い検出性能や振動を伴う運搬・設置を求める場合、多くのリソースや振動耐性が必要となり、どの部分を妥協して実現させるか課題となる。そこで、本研究では性能やリソースから決められた様々のタイプの振り子と組み合わせて広帯域地震計を構成できるレーザー干渉計ユニット(以下干渉計ユニット)を開発した。レーザー光は光ファイバーにより干渉計ユニットに導入され、振り子のマスに鏡を付けておけば干渉計測によりマスの変位が干渉信号として高精度に検出される。干渉信号は干渉計ユニットから光ファイバーで取り出し、外部の検出器で電気信号に変換される。この信号を振り子のマスにフィードバックし、広帯域地震計として動作させる。

 市販の地震計をベースとした約4Hzの固有振動数をもつ振り子に干渉計ユニットを取り付け、広帯域地震計の制御を適用した結果、0.1Hz~50Hzで平坦な速度特性を持つ小型の広帯域地震計が構成できることがわかった。また、月探査計画(LUNAR-A)で開発され耐振動性能に優れたペネトレータ用地震計にも干渉計ユニットを取り付け、広帯域地震計の特性と低ノイズ性能を確認した。さらに、レーザー波長を基準とした地震計出力の校正を試行し、高精度に地震計単体で校正ができることが示された。これは、容易にアクセスができない極限環境での長期観測において、観測データの質を担保するために有用である。現在、LUNAR-Aのタイプの地震計を組み込んだ広帯域地震計のパッケージ化を行い、月面における地震観測ネットワーク構築を目指し、宇宙機器としての開発をすすめている。