日本地球惑星科学連合2025年大会

講演情報

[J] ポスター発表

セッション記号 S (固体地球科学) » S-TT 計測技術・研究手法

[S-TT41] 地震観測・処理システム

2025年5月30日(金) 17:15 〜 19:15 ポスター会場 (幕張メッセ国際展示場 7・8ホール)

コンビーナ:友澤 裕介(鹿島建設)、久保 久彦(国立研究開発法人防災科学技術研究所)

17:15 〜 19:15

[STT41-P06] スマートフォンによる長周期地震動階級の判定

*村越 匠1、室田 光希1 (1.防衛大学校)

キーワード:長周期地震動階級、スマートフォン、絶対速度応答スペクトル、地震ザブトン

スマートフォンや比較的安価なMEMSセンサーを利用した地震動や震度の計測は広く行われるようになってきている。その観測の精度の評価も多くされてきているが、長周期地震動に注目した報告は少ない。長周期地震動に関して、2023年2月1日から気象庁は長周期地震動階級を緊急地震速報の発表基準の項目として追加している。長周期地震動階級は、概ね14~15階建以上の高層ビルを対象とした地震時の被害の程度をもとに揺れの大きさを4階級に区分した指標である。

本研究では長周期地震動階級に注目して、スマートフォンや比較的安価なMEMSセンサーで長周期地震動階級の判定がどの程度できるのかの検証を目的とした実験を行った。実験では、長周期地震動を再現する振動台の上に加速度センサーを設置した。振動台には、数メートルの振幅を持つ長周期地震動の揺れを再現できる地震動シミュレーターである地震ザブトン(白山工業)を用いた。評価するスマートフォンには、iPhone 12 mini (Apple) を用いた。比較用の加速度センサーには、iPod touch (Apple)、WT901BLECL (WitMotion)、JU-410(白山工業)を用いた。地震ザブトンで再現する長周期地震動は、長周期地震動階級4を記録した2024年1月1日の能登半島地震(M7.6)、2022年3月16日の福島県沖の地震(M7.4)、2016年4月16日の熊本地震(M7.3)から選択した。それぞれの地震について、長周期地震動階級1、2、3、4を記録した観測データを1個ずつ選び、合計12個の長周期地震動について実験した。気象庁の長周期地震動階級の判定は、地上にある地震計の観測波形から求めた絶対速度応答スペクトルの最大値を使っている。本研究でも、気象庁と同じ方法を用いて振動台に設置した加速度センサーの観測波形から周期1.6秒から7.8秒までの範囲の絶対速度応答スペクトルを計算し、その最大値から長周期地震動階級を判定した。実験データから得られた結果と気象庁がWebで公開している絶対速度応答スペクトルおよび長周期地震動階級を比較した。また、振動台に設置した加速度センサーの種類による違いも比較した。長周期地震動階級の判定については、長周期地震動階級階級の大小に関係なく、どの加速度センサーを用いた判定でも気象庁の判定とほぼ同じ結果となった。絶対速度応答スペクトルについては、iPhone、iPod touch、JU-410は、どの地震および長周期地震動階級階級においても気象庁が公開している絶対速度応答スペクトルと近い結果となった。比較的安価なMEMSセンサーであるWT901BLECLについては、周波数の測定範囲が5秒までということもあり、イベントによりばらつきがあるが、気象庁が公開している絶対速度応答スペクトルとの数値およびスペクトルの形状の差が相対的に大きくなる結果となった。本研究の結果、iPhone、iPod touchに搭載の加速度センサーの性能があれば、絶対速度応答スペクトルの測定および長周期地震動階級の判定ができる可能性があることがわかった。