17:15 〜 19:15
[STT41-P07] 小型震源装置の開発と試運転
キーワード:小型震源装置、ポータブル震源、精密制御、地震波探査
背景・目的
物理探査の分野では地震波の伝わり方を解析することで地下構造を探査する技術が用いられてきた。名古屋大学地震火山研究センターでは以前から精密に振動をコントロールできるシステム(ACROSS)の開発を進めている。ACROSSは“Accurately Controlled Routinely Operated Signal System“の略であり、日本語では精密制御定常信号システムとなる。昨年度はこのアクロスの小型版を開発したため、この小型アクロスについて発表を行う。
従来の震源装置(アクロス)は、大型で強力な起振力(数トン)を持ち、深部までの探査が可能である。しかし、このような装置は重量が数トンにも及び、設置・移動には重機が必要であり、運用コストも非常に高い。
アクロスを小型化することにより、人力や小型自動車での運搬や設置が可能になり、応用の範囲が広がる。また、装置の制作コストを大幅に削減することができるため、複数台を同時に運用することでトモグラフィックな地震波速度モニタリングも可能となる。
開発・製作の概要
小型アクロスの設計は以下の5つの要件を満たすように行った。 人力で持ち運べること(各部品20kg以下) 安全性を確保すること(遠心力に対する十分な重量設計) 組み立てが簡単であること(現場での組み立てが容易) 100V単相電源で駆動可能であること(簡易な電源確保) 既存の制御システムが利用できること 装置の大きさは50cm×50cm×33cmに収め、偏芯重りの回転による振動を地面に伝達する設計とした。また、偏芯重りの遠心方向に固定用のおもしを配置することで、小型化と安全な設計に近づくことができた。軸受けには25mmの小型ベアリングを採用し、コストを抑えながら高精度な加工を可能にした。
材質については、初期設計では鉄を使用していたが、錆の問題が発生したため、精度の影響が大きい回転部分にはステンレスを使用するように変更した。出力は最大30Hzを想定していたが、実験の結果、モーターの制約により現在は18Hzまでの動作にとどまっている。さらなる高回転は、重りの偏心量を小さくすることで実現可能である。
実験・評価
装置の試験は、三河観測所の敷地内において実施した。観測豪内の50m、100m、200m地点に速度型地震計を設置し、地震波の確認を行った。装置は地面にアンカーボルトで固定することで安定化を図った。
期待していた30Hz程度での動作は脱調のため実現できなかったが、18Hzでの稼働により1時間の実験を行い、200m地点の地震計でも明瞭な信号を観測できた。制御システムも期待通りの動作を示し、安定した発振が確認された。
結論・展望
本装置は、従来のアクロスと比較してコストが大幅に削減された。これにより、複数台の震源装置を用いた三次元的な解析が容易になり、応用の幅が広がると期待される。また、装置が故障してもラボで容易に修理できるため、運用の柔軟性も向上している。
さらに、実際の実験において、従来のアクロスと同様の信号受信ができた。今後は、より高い周波数での稼働や、数日〜数週間にわたる長期実験を実施し、小型アクロスが様々な場所で実際に使用できることを確認するつもりである。
物理探査の分野では地震波の伝わり方を解析することで地下構造を探査する技術が用いられてきた。名古屋大学地震火山研究センターでは以前から精密に振動をコントロールできるシステム(ACROSS)の開発を進めている。ACROSSは“Accurately Controlled Routinely Operated Signal System“の略であり、日本語では精密制御定常信号システムとなる。昨年度はこのアクロスの小型版を開発したため、この小型アクロスについて発表を行う。
従来の震源装置(アクロス)は、大型で強力な起振力(数トン)を持ち、深部までの探査が可能である。しかし、このような装置は重量が数トンにも及び、設置・移動には重機が必要であり、運用コストも非常に高い。
アクロスを小型化することにより、人力や小型自動車での運搬や設置が可能になり、応用の範囲が広がる。また、装置の制作コストを大幅に削減することができるため、複数台を同時に運用することでトモグラフィックな地震波速度モニタリングも可能となる。
開発・製作の概要
小型アクロスの設計は以下の5つの要件を満たすように行った。 人力で持ち運べること(各部品20kg以下) 安全性を確保すること(遠心力に対する十分な重量設計) 組み立てが簡単であること(現場での組み立てが容易) 100V単相電源で駆動可能であること(簡易な電源確保) 既存の制御システムが利用できること 装置の大きさは50cm×50cm×33cmに収め、偏芯重りの回転による振動を地面に伝達する設計とした。また、偏芯重りの遠心方向に固定用のおもしを配置することで、小型化と安全な設計に近づくことができた。軸受けには25mmの小型ベアリングを採用し、コストを抑えながら高精度な加工を可能にした。
材質については、初期設計では鉄を使用していたが、錆の問題が発生したため、精度の影響が大きい回転部分にはステンレスを使用するように変更した。出力は最大30Hzを想定していたが、実験の結果、モーターの制約により現在は18Hzまでの動作にとどまっている。さらなる高回転は、重りの偏心量を小さくすることで実現可能である。
実験・評価
装置の試験は、三河観測所の敷地内において実施した。観測豪内の50m、100m、200m地点に速度型地震計を設置し、地震波の確認を行った。装置は地面にアンカーボルトで固定することで安定化を図った。
期待していた30Hz程度での動作は脱調のため実現できなかったが、18Hzでの稼働により1時間の実験を行い、200m地点の地震計でも明瞭な信号を観測できた。制御システムも期待通りの動作を示し、安定した発振が確認された。
結論・展望
本装置は、従来のアクロスと比較してコストが大幅に削減された。これにより、複数台の震源装置を用いた三次元的な解析が容易になり、応用の幅が広がると期待される。また、装置が故障してもラボで容易に修理できるため、運用の柔軟性も向上している。
さらに、実際の実験において、従来のアクロスと同様の信号受信ができた。今後は、より高い周波数での稼働や、数日〜数週間にわたる長期実験を実施し、小型アクロスが様々な場所で実際に使用できることを確認するつもりである。