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[STT42-11] 桜島におけるDAS観測で推定した詳細なS波のサイト増幅特性と地表付近の構造との関係

キーワード:DAS、サイト増幅特性、コーダ規格化法、桜島
観測される地震波には、震源や経路の効果に加え、観測点直下のサイト増幅特性が含まれている。防災科学技術研究所が運用するJ-SHISでは250mメッシュでの全国各地における工学的基盤からのサイト増幅率の推定値が公開されており、都市防災計画に活用されている。近年地球物理の分野で活用が進んでいるDAS(Distributed Acoustic Sensing)は、光ファイバーケーブルに沿って数m間隔と、時空間的に高密度な地震波の観測が可能な手法である。DAS観測により、詳細な揺れの分布を捉えられるようになってきた。DAS観測データからサイト増幅率と浅部の速度構造を推定し、両者には負の相関があることが示された(Yang et al.,2021)。また、吾妻山におけるDAS観測データからサイト増幅率を推定し、表層の堆積物の厚みの違いが影響していることが示唆された(Nishimura et al.,2020)。地形や地質などの地表付近の構造による増幅率への寄与の理解を深めることで、より詳細なサイト増幅の空間分布を推定することが可能となる。そこで本研究では、多様な年代の溶岩や堆積物から構成され、地形の変化もある桜島におけるDASデータを使用して、これらと増幅率の関係を調べた。
2023年11月から12月にかけて桜島で約1か月のDAS観測が行われた。光ファイバーに接続してケーブルの歪変化を計測するインテロゲーターにはSintela社のONYXを使用し、砂防センターに設置し桜島外周沿いの道路38.8kmで観測を行った。ゲージ長は9.8m、チャンネル間隔は4.98m、サンプリングレートは250Hzで観測した。
観測期間中にDASで記録された地震のうち、気象庁一元化震源で照合を行い、23個の地震を特定した。地震の大部分は桜島北東から南東方向にかけての日向灘で多く発生しており、それ以外には天草地方や種子島近海、桜島近傍のものが存在していた。
23個の地震のS波直達の10秒間のRMS振幅から増幅率を求めた。ここで、増幅率は全区間の中央値からの相対的な値である。
増幅率の結果と比較するために、各区間でコーダ波部分の相互相関関数(CCF)を計算して伝播速度を推定した。
得られた増幅率はケーブルの方位や始点からの距離に相関はなく、溶岩流と堆積物により構成されている区間では大局的に異なり、相対的に溶岩が0.1~1倍、堆積物が2~5倍程度を示した。
CCFの波形のばらつきは大きかったものの、おおむね速度が500m/s未満で堆積物、600m/s以上で溶岩と区別でき、高い増幅率で低速度、低い増幅率で高速度と、速度と増幅率に負の相関がみられた。ただし、詳細に見ると1300から2300チャンネルにかけての大正溶岩の領域では高い増幅率で高速度と、全体とは異なる結果が得られた。
DASとJ-SHISのサイト増幅特性との相関係数は0.1未満と低かった。同一と評価された領域内でもDASの場合局所的な増幅率の変化が何ヶ所も見られるためと考えられる。これは、サイト増幅率には、より局所的な影響を評価することが重要であることを示す結果である。
得られた増幅率のばらつきをブートストラップ法で検証した。ばらつきは3000チャンネルや5000~6000チャンネル付近で特に大きくなった。
次に、震源距離による増幅率の違いを調べた。5000チャンネル以降の後半区間において、震源が桜島の近傍の場合中央値より高く、遠い場合は低い増幅率が推定された。震源が近い場合には、チャンネルごとの伝播経路の違いの影響が消えないことが原因の可能性がある。使用した地震の多くは50km以上離れた地震であったため地震ごとのばらつきは大きくなかったと考えられる。
また、時間窓による違いを調べるため、直達波の10秒後から20秒後までの時間窓と、コーダ部分の時間窓を用いた増幅率の推定も行なった。周波数依存性を含め、時間窓による変化は見られなかった。桜島の地下では微細不均質が強いことが示されているため(Shito et al.,2020)、直達波から10秒までの比較的早い段階においても、コーダ波同様に強い散乱を受けた散乱波で構成されており、震源から観測点までの経路の違いによる効果が小さくなっていたためだと考えられる。
大正溶岩では伝播速度は速く、増幅率は高く見積もられていた。増幅率にはVs30より深い構造も影響していることが示唆されており(Yang et al.2021)、増幅率とコーダCCFから求めた速度に感度がある深さが異なることが影響である可能性がある。また、DASで加速される物理量である歪の場合には、局所的な不均質の影響の可能性も考えられる(Capdeville and Sladen.2024)。
2023年11月から12月にかけて桜島で約1か月のDAS観測が行われた。光ファイバーに接続してケーブルの歪変化を計測するインテロゲーターにはSintela社のONYXを使用し、砂防センターに設置し桜島外周沿いの道路38.8kmで観測を行った。ゲージ長は9.8m、チャンネル間隔は4.98m、サンプリングレートは250Hzで観測した。
観測期間中にDASで記録された地震のうち、気象庁一元化震源で照合を行い、23個の地震を特定した。地震の大部分は桜島北東から南東方向にかけての日向灘で多く発生しており、それ以外には天草地方や種子島近海、桜島近傍のものが存在していた。
23個の地震のS波直達の10秒間のRMS振幅から増幅率を求めた。ここで、増幅率は全区間の中央値からの相対的な値である。
増幅率の結果と比較するために、各区間でコーダ波部分の相互相関関数(CCF)を計算して伝播速度を推定した。
得られた増幅率はケーブルの方位や始点からの距離に相関はなく、溶岩流と堆積物により構成されている区間では大局的に異なり、相対的に溶岩が0.1~1倍、堆積物が2~5倍程度を示した。
CCFの波形のばらつきは大きかったものの、おおむね速度が500m/s未満で堆積物、600m/s以上で溶岩と区別でき、高い増幅率で低速度、低い増幅率で高速度と、速度と増幅率に負の相関がみられた。ただし、詳細に見ると1300から2300チャンネルにかけての大正溶岩の領域では高い増幅率で高速度と、全体とは異なる結果が得られた。
DASとJ-SHISのサイト増幅特性との相関係数は0.1未満と低かった。同一と評価された領域内でもDASの場合局所的な増幅率の変化が何ヶ所も見られるためと考えられる。これは、サイト増幅率には、より局所的な影響を評価することが重要であることを示す結果である。
得られた増幅率のばらつきをブートストラップ法で検証した。ばらつきは3000チャンネルや5000~6000チャンネル付近で特に大きくなった。
次に、震源距離による増幅率の違いを調べた。5000チャンネル以降の後半区間において、震源が桜島の近傍の場合中央値より高く、遠い場合は低い増幅率が推定された。震源が近い場合には、チャンネルごとの伝播経路の違いの影響が消えないことが原因の可能性がある。使用した地震の多くは50km以上離れた地震であったため地震ごとのばらつきは大きくなかったと考えられる。
また、時間窓による違いを調べるため、直達波の10秒後から20秒後までの時間窓と、コーダ部分の時間窓を用いた増幅率の推定も行なった。周波数依存性を含め、時間窓による変化は見られなかった。桜島の地下では微細不均質が強いことが示されているため(Shito et al.,2020)、直達波から10秒までの比較的早い段階においても、コーダ波同様に強い散乱を受けた散乱波で構成されており、震源から観測点までの経路の違いによる効果が小さくなっていたためだと考えられる。
大正溶岩では伝播速度は速く、増幅率は高く見積もられていた。増幅率にはVs30より深い構造も影響していることが示唆されており(Yang et al.2021)、増幅率とコーダCCFから求めた速度に感度がある深さが異なることが影響である可能性がある。また、DASで加速される物理量である歪の場合には、局所的な不均質の影響の可能性も考えられる(Capdeville and Sladen.2024)。