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[STT42-P08] 既設計測用光ファイバケーブルを利用した大深度観測井地震観測とDAS-VSP解析
キーワード:大深度観測井、光センサ、既設計測用光ファイバケーブル、DAS、DAS地震記録、DAS-VSP解析
〇はじめに
3軸光センサ地震計とDAS (分布型音響センシング; Distributed Acoustic Sensing)を組み合わせた光ハイブリッド測定システムの開発と運用に向けた試験観測を新潟工科大学3000m級観測井(以後、観測井と略)にて行っている。測定システムは光センサ地震計(Yoshida et al, 2016, DOI 10.7567/JJAP.55.022701)とDASから構成され、光センサ地震計は2022年2月末に地上観測小屋内、及び、観測井深度1977m・温度約105℃の高温高圧環境下に設置した。また、既設の計測用光ファイバケーブル(以下、計測ケーブル)中のダークファイバを使用してDAS計測を2023年7月末から開始した(藤原・他, 2023, 第16回日本地震工学シンポジウム)。DAS計測の開始以降、複数の地震動(動的ひずみ;以下、DAS地震記録)を観測した。我々は、これらの記録を用いたDAS-VSP解析が可能か検証するため、DAS地震記録の相互相関解析を行った。
〇DAS計測設定と測定点位置
インテロゲーターはSINTELA社製ONYXを使用、ゲージ長6.38m、測定間隔3.19m、サンプリング間隔1m秒を設定した。DAS-VSP解析では観測井でのDAS測定点の位置把握(深度把握)が重要である。しかしながら、本試験観測のDAS測定は既設計測ケーブルを使用するため、測定点の“正確な”位置把握は難しい。計測ケーブルは孔口でクランプ固定しているため測定点の位置が入れ替わる可能性は無いと考え、最深部測定点(No.624)の位置は光センサのセンサヘッド部深度GL-1974.6m、それ以浅の測定点は測定間隔(3.19m)毎にあると仮定した(No.5がGL-0mとなる)。
〇相互相関解析
本報告で使用したDAS地震記録は、連続記録をアーカイブした2024年1月18日17時~6月17日に発生した令和6年能登半島地震(M7.6)の余震を対象とした(東経137°以東,M4以上; 19地震)。まず、各DAS地震記録について測定点(全624点)の波形を確認し、DAS-VSPの発振点となる深部測定点をNo.600(深度1898m)と選定した。次に、各DAS地震記録のP波初動を含む4秒間データおよびS波初動を含む5秒間データを抜き出し、受振点となるNo.600以浅の測定点の記録に対し、正規化相互相関解析を行い各測定点の相互相関関数を求めた。最後に測定点毎に19地震の相互相関関数を重合した。
〇解析結果
図にP波(図左)にS波(図右)に関する重合相互相関解析結果を示す(図示は、それぞれ測定点No.600~No.10)。解釈の一つとして、P波に関しては、時間0秒~0.6秒に直達P波(約3.0km/s;プロット上での概算結果)の上方進行波、また、0.8秒~1.5秒に速度約3.0km/sの下方進行波(反射P波)、および1.2秒~2.3秒にかけて速度約1.5km/sの下方進行波(反射波;PS変換波)が見られる。S波に関しては、時間0秒~1秒、深度1890m~約500mにかけて直達S波(約1.5km/s;プロット上での概算結果)の上方進行波、また、1.1秒~1.5秒、および1.6秒~2.0秒にかけて速度約3.0km/sの下方進行波(反射波;SP変換波)が見られる。P波、S波どちらにも、細かな上方および下方進行波が見られる。
〇まとめと今後の予定
解析結果は、既設計測ケーブルを使用したDAS計測でも、DAS-VSP解析に資するDAS地震記録が得られていること示しており、計測用光ケーブルを使用する他観測点においても同様に、DAS地震記録からDAS-VSP解析が行える可能性が示唆出来たものと考える。
しかしながら、解析結果の深度約500m以浅に関しては、約500m~約250m、約250m~地表0mと、約500m以深とは不連続な様子が見られる。これらは、①計測ケーブルとケーシングのカップリングが500m以浅、特に250m付近で弱くなっている可能性。②ケーシング構成プロファイルの影響(深度500m以浅が2段、深度500m以深が1段)。③深度420m付近の椎谷層と西山層の地層境界(新潟工科大資料)付近の物性変化の影響等が原因と考える。2025年3月以降に光センサ(深度1977m,550m,地上)およびDASシステムの再設置を行う予定である。設置後の光センサ地震計記録とDAS地震記録を併せ解析し、①~③に関する考察を進めたい。
3軸光センサ地震計とDAS (分布型音響センシング; Distributed Acoustic Sensing)を組み合わせた光ハイブリッド測定システムの開発と運用に向けた試験観測を新潟工科大学3000m級観測井(以後、観測井と略)にて行っている。測定システムは光センサ地震計(Yoshida et al, 2016, DOI 10.7567/JJAP.55.022701)とDASから構成され、光センサ地震計は2022年2月末に地上観測小屋内、及び、観測井深度1977m・温度約105℃の高温高圧環境下に設置した。また、既設の計測用光ファイバケーブル(以下、計測ケーブル)中のダークファイバを使用してDAS計測を2023年7月末から開始した(藤原・他, 2023, 第16回日本地震工学シンポジウム)。DAS計測の開始以降、複数の地震動(動的ひずみ;以下、DAS地震記録)を観測した。我々は、これらの記録を用いたDAS-VSP解析が可能か検証するため、DAS地震記録の相互相関解析を行った。
〇DAS計測設定と測定点位置
インテロゲーターはSINTELA社製ONYXを使用、ゲージ長6.38m、測定間隔3.19m、サンプリング間隔1m秒を設定した。DAS-VSP解析では観測井でのDAS測定点の位置把握(深度把握)が重要である。しかしながら、本試験観測のDAS測定は既設計測ケーブルを使用するため、測定点の“正確な”位置把握は難しい。計測ケーブルは孔口でクランプ固定しているため測定点の位置が入れ替わる可能性は無いと考え、最深部測定点(No.624)の位置は光センサのセンサヘッド部深度GL-1974.6m、それ以浅の測定点は測定間隔(3.19m)毎にあると仮定した(No.5がGL-0mとなる)。
〇相互相関解析
本報告で使用したDAS地震記録は、連続記録をアーカイブした2024年1月18日17時~6月17日に発生した令和6年能登半島地震(M7.6)の余震を対象とした(東経137°以東,M4以上; 19地震)。まず、各DAS地震記録について測定点(全624点)の波形を確認し、DAS-VSPの発振点となる深部測定点をNo.600(深度1898m)と選定した。次に、各DAS地震記録のP波初動を含む4秒間データおよびS波初動を含む5秒間データを抜き出し、受振点となるNo.600以浅の測定点の記録に対し、正規化相互相関解析を行い各測定点の相互相関関数を求めた。最後に測定点毎に19地震の相互相関関数を重合した。
〇解析結果
図にP波(図左)にS波(図右)に関する重合相互相関解析結果を示す(図示は、それぞれ測定点No.600~No.10)。解釈の一つとして、P波に関しては、時間0秒~0.6秒に直達P波(約3.0km/s;プロット上での概算結果)の上方進行波、また、0.8秒~1.5秒に速度約3.0km/sの下方進行波(反射P波)、および1.2秒~2.3秒にかけて速度約1.5km/sの下方進行波(反射波;PS変換波)が見られる。S波に関しては、時間0秒~1秒、深度1890m~約500mにかけて直達S波(約1.5km/s;プロット上での概算結果)の上方進行波、また、1.1秒~1.5秒、および1.6秒~2.0秒にかけて速度約3.0km/sの下方進行波(反射波;SP変換波)が見られる。P波、S波どちらにも、細かな上方および下方進行波が見られる。
〇まとめと今後の予定
解析結果は、既設計測ケーブルを使用したDAS計測でも、DAS-VSP解析に資するDAS地震記録が得られていること示しており、計測用光ケーブルを使用する他観測点においても同様に、DAS地震記録からDAS-VSP解析が行える可能性が示唆出来たものと考える。
しかしながら、解析結果の深度約500m以浅に関しては、約500m~約250m、約250m~地表0mと、約500m以深とは不連続な様子が見られる。これらは、①計測ケーブルとケーシングのカップリングが500m以浅、特に250m付近で弱くなっている可能性。②ケーシング構成プロファイルの影響(深度500m以浅が2段、深度500m以深が1段)。③深度420m付近の椎谷層と西山層の地層境界(新潟工科大資料)付近の物性変化の影響等が原因と考える。2025年3月以降に光センサ(深度1977m,550m,地上)およびDASシステムの再設置を行う予定である。設置後の光センサ地震計記録とDAS地震記録を併せ解析し、①~③に関する考察を進めたい。